
ここに集う人たちみんなにとって
ここは
もうひとつのホームなのかなって
■幼い時に親の借金で、家族とは散り散りに。マグロ漁船に乗り、帰ってきたら20歳になっていた麻子。行くあてもなく空腹で倒れた所を、コンビニの店長をやっている青年・尾崎に拾われ、バイトとして働く代わりに店のバックヤードに住まうことを許される。小卒、家なし、金なし、家族なし、けれども住む場所と食べ物があるだけで幸せ!と思ったら、コンビニは潰れかけの経営危機!?それでもめげずに、一生懸命頑張る麻子は…!?
波瀾万丈の人生を歩んできた女・麻子が、コンビニに住み店員や地域の住民と触れ合い、頑張っていく姿を描いたコメディです。ヒロインの麻子は、借金まみれでマグロ漁船に乗り、家族とは離別、学校には殆ど行っていないという波乱の経歴の持ち主。日本に帰ってくるも、行くあてもなく、野宿に拾い食いなどでなんとか凌いできたものの、それも限界。そして行き倒れたところを、コンビニの店長(と言ってももの凄く若い)に拾われ、そこで住み込みで働くことになったのでした。そんな麻子を拾った変わり者の店長・尾崎は、亡くなった親から店を引き継いだ二代目店長。経営にやる気はなく、友人の協力も空しく店は閑古鳥が鳴いているという状態で、このまま行けば半年後には閉店という。そのことを知った麻子は、始めてできた居場所を守るため、立ち上がるのですが…?という流れ。

不思議な温かさを含んでいます。この感覚は、ホームコメディのそれに近いような気も。
波乱の人生を歩んできた影響からか、ヒロインの麻子にとっては、普通であることそのものがまず珍しく、様々なことに感動、非常に表情豊かに毎日を送ります。それがプラスに作用して、やる気の無かった店長に影響を与えたり、近隣住民から慕われたり、経営も良いほうに転んだりと、まさに“座敷童”のような活躍(失敗も多いけど)。 言ってみれば大きな子供が一人いる感じで、その純粋さ・真っ直ぐさが良い作用を及ぼしていくんだよ、という読んでいて非常に気持ちの良い展開が続きます。ヒロインがよく動く作品は、退屈にならないのですが、この作品もそう。
コンビニ経営に関してなどは、やや現実感のない部分もあるように思いましたが、そういった狙いでやる作品ではないので、気にしたらだめ。軸となるのは、ヒロインと周辺人物たちとの触れ合いで、コンビニというのはひとつの器にすぎません。とはいえそれでも立派な「意味」が与えられるわけで、コンビニという無機質で画一的な枠に、物語を付与したという部分は評価したいです。コメディ昼ドラっぽいチープさはありますが、それは同時に読みやすさと親しみやすさをもたらしてくれて、まさにこの作品自体がコンビニ的要素を持ち合わせているのではないかな、と思ったのでした。
【男性へのガイド】
→コメディっぽい感じなのでとっても読みやすいです。そこにほっこりあたたかい感じが加わる。そういった系統のお話がお好きな方は。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→一応「閉店回避」という目標はあるものの、そこまでストーリーの流れを感じないです。オススメまではいきませんが、読みやすく親しみやすい作品だと思います。
作品DATA
■著者:五郎丸えみ
■出版社:講談社
■レーベル:KC Kiss
■掲載誌:Kiss Plus(2009年5月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:419円+税
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