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ユーリがやってくれました《続刊レビュー》高屋奈月「星は歌う」6巻
高屋奈月「星は歌う」(7)
…虚しい 嘘だ
悲しい 嘘だ
…優しい 嘘だ■7巻発売です。
二学期が始まり、優しくなった千広の態度にドキドキするサクヤ。ホカン部で星空観賞会に出かけた帰り道、千広と急接近して…!?それと同時に、サクヤにはまたひとつ大きな悩み事が。カナデとの関係が、修復できないままでいたのだ。部屋に閉じこもって出てこようとしない彼に、何もしてあげられないサクヤは、悩みに悩みを重ねて彼のことを思うが…?
なんだかんだで7巻。相変わらず重いというか痛い物語が続いていますが、序盤とは違いその端々に救いがみられ、読んでいてもそれほどしんどくなくなってきました。7巻では主に、距離が少し縮まった千広との関係と、サクヤとカナデの過去について描かれることに。特にカナデが現在のような人間になった経緯が、事細かに描かれていました。
~カナデの過去~ 物語開始当初から謎だったままの、カナデの過去と、サクヤと同居することになった経緯。序盤、カナデのことを悪く言う周囲の人間に対し、サクヤが過剰なまでに庇う態度を見せていたことから、彼もまた過去に何かあったということは明白でした。それが今回明らかになったわけですが、カナデの場合は親の過剰な期待と挫折が原因。全てに耐えきれなくなった彼は、親との関わりを全て断ち、死んだように生きていました。そんな中打診された、親との別居とサクヤの引き取り。同じ「いらない者」同士、無気力に希望もないまま過ごしていればいい、そう考えていた彼でしたが、そのぽっかり開いた心の穴を、サクヤが期せずして埋めてくれたのでした。そしてさがし始める、再生への道。彼もまた、自分の居場所を探し必死に生きていたのです。
~カナデ,サクヤ,千広,みな傷を抱え生きている~ サクヤも千広もカナデも、みな心に深い傷を抱えています。端から見れば「弱いもの」という印象のある彼らですが、その内面には大きく強い「何か」を持っており、弱々しい光でも、近くで見れば地球の何百倍、何千倍と大きく強い光を放つ星のよう。そんな彼らが寄り添い輝きあえば、それはもう素敵で美しい星空になります。そんなメッセージが込められているような気が、なんとなくするのですがどうでしょう。
~だからせーちゃんかわいいよせーちゃん~ 8巻ではせーちゃんになにやら起こるようですよ!?辛い過去を持ったキャラクターが多い中、健やかに育つせーちゃんとユーリが私は大好きでして。ユーリは本当に素直に真っ直ぐ育ったという感じで本当に爽やかですし、せーちゃんも千広に似て見えますが、千広のように歪んでいるというよりは、単にひねくれてるだけですし、そんなところがすごくカワイイです。どうせ本編なんて遅々として進まないんだから、多少の脱線なんていくらでもOKですよ。
あと表紙が誰なのか、未だに判然としないんですが、誰か教えてくださいませんか?
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