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Tag [新作レビュー] 2010.01.27
akumazeruma.jpg御船麻砥「アクマゼルマ」(1)


どうであれ奴はすでに俺のしもべ
最後まで働いてもらうだけだ



■逢う魔町の団地に住んでいる、ごくごく普通の少年・丸是召真。忙しい母に代わって家事をしたり、隣に住む幼なじみの女の子・望に毎朝声をかけたり…代わり映えのない、けれども楽しい毎日を送っていた。そんなある日望の飼い猫・サバトが姿を消し、町中を捜していた丸是は、ゼルマと名乗る謎の少年に出会う。彼は自分自身を悪魔だと告げるが、それはどうやら本当のことらしくて…!?幼なじみがいて、友達がいて、そして悪魔がいる毎日…昨日までとはちょっと違う、丸是の不思議な毎日が幕を開けた…!!

 悪魔との同居生活を描いた新感覚ストーリー。主人公はごくごく普通の高校生・丸是召真。ある日隣りに住む幼なじみの猫を捜すため、町の公園にやってきた所、怪しげな少年・ゼルマに出会います。悪魔だと名乗るその少年に猫を捜していることを告げると、とある場所が怪しいとのこと。他に手がかりもないので、直ちにそこに向かってみると、そこにはこの世のものとは思えない恐ろしい姿の化け物が。そこに捜している猫の姿も見つけたのですが、召真ひとりの力ではどうすることもできません。そんな彼に対しゼルマは、「猫を助けたいのなら俺のしもべになる契約を結べ」と提案。その提案を呑んだ召真は、悪魔の力を得て見事に敵を撃破するのでした。その後面倒見の良い召真は、家に帰りづらいというゼルマをそのまま家に引き止め、気がつけば一緒に暮らすようになったのでした。以降ゼルマは、人間界に巣食う悪魔の封印に勤しみ、召真は契約のもと一緒に封印の手伝いをするようになるのですが…というお話。


アクマゼルま
毎回変身するが、その姿は毎回異なり、かつインパクト抜群。


 かなりクセのある絵柄で、こりゃ話も取っつきにくいのかな、なんて思っていたのですが、作り自体はどちらかというとシンプル。悪魔でも偉い存在であるゼルマがとある事情から、人間界で悪魔の封印をしなければならなくなってしまったところ、召真に出会い、しもべとしての契約を結び戦いのパートナーにする…というところがスタートで、以降物語では、そのちょっとヘンテコな悪魔との毎日が描かれていきます。
 
 見所となるのは2つ。ひとつはバトルシーンで、召真は契約によりゼルマのしもべである他の悪魔の力を得て、変身することができるようになるのですが、それが特撮チックなノリで、そういったお話好きな人には大喜びという感じ。というかバトルシーンに限らず、物語全体として特撮というか少年向けのそれに近いノリがあり、少年誌連載でも全然違和感がないという印象です。またもうひとつの見所は、ゼルマをはじめとした悪魔たちとの同居生活。一緒に生活するのはゼルマだけではなく、彼のしもべたちも。それが物語が進むにつれどんどん増えていくのですが、それぞれに個性的なキャラ達で、なかなか楽しいコメディを見せてくれます。話はまったく違いますが、雰囲気として似ているかな、と感じたのは「家庭教師ヒットマンREBORN!」だったり。
 
 またその他に、隣に住む幼なじみの女の子もいい味出していますね。彼女は主人公のことが好きなのですが、悪魔がやってきて以降それほど構ってもらえなくなり、気を惹こうと行動が徐々にエスカレートしていくという。その様子がなんともキュートでした。


【男性へのガイド】
→男性が読んでも全然OK。ノリ的には少年漫画みたいな感じ。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→クセが強いので、絵がダメだったらだめかなぁ、と。大きな物語を描くのではないので、話自体は親しみやすいです。


作品DATA
■著者:御船麻砥
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUMコミックス
■掲載誌:WARD(平成21年No.8~連載中)
■既刊1巻
■価格:552円+税

■購入する→Amazonbk1

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