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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2009.02.12
キミはキラキラ吉野阿貴「キミはキラキラ」


心震えるほど
私を走らせてくれるもの
アイツを
捕まえる



■暇を持て余す大学3年生のヒロイン・忍。することがなく、休日の大学をうろついていたときに、偶然アメフト部の康介に出会う。ふてぶてしい態度の彼にムカついた忍だったが、試合で彼が活躍する姿を見て心震え、気がつけば目が離せなくなっている自分がいた。彼の姿をファインダーに捉えたい。康介の姿に心を突き動かされた忍は、一度はやめたカメラを再び手に取り、キラキラに向かって走り出した!

 恋愛マンガ?いいえ、違います。まぎれもなくこれは青春マンガ!最近では珍しいくらいの、ど真ん中もど真ん中の青春ストーリーを、小学館で、それもプチコミックで拝めるなんて…本当に驚きです。エロは一切なし。それどころか、恋愛展開も薄め。とにかく青春汁たっぷり。
 
 夢に向かってひた走る康介の姿を見て、自分も夢を見つけ、追いかけるようになるというのが大筋のストーリー。また、「写真」が離婚して出ていった父親の仕事であったり、彼女に想いを寄せるもずっと伝えられずにいる幼馴染がいたりと、ちょっとした要素を仕込んできていて、それがまたクサいんだ!(←褒め言葉)。
 
 あだち充ラインって気がしないでもない。でもモチーフはむしろ「耳をすませば」か。中学生や高校生って設定だとしても、このストーリーは…(思わず赤面)。ギップルなら死んでるね。とはいえこのご時世、こと少女マンガにおいてこういう作品に出会えるってのは、結構貴重なことなんじゃないかな、と思います。


【オトコ向け度:☆☆   】
→男性にも読めないことはないと思います。ただ基本は女性向け。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→作品自体を評価するわけではなく、なんていうか、これだけの衝撃を与えてくれたことにひとつ賛辞を贈りたいというか。


作品DATA
■著者:吉野阿貴
■出版社:小学館
■レーベル:プチコミックフラワーコミックスα
■掲載誌:プチコミック(2008年9月号~2009年1月号)
■全1巻
■定価:400円+税

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