作品紹介→乙橘「少年メイド」
乙橘「少年メイド」(3)
円が
何を喜んで
何を幸せと感じていたか
■3巻発売です。
ダメダメ大人の円と、しっかりもののメイド少年・千尋の生活も、はや半年。時にはぎくしゃくしつつも、少しずつ“家族”になってきた二人。千尋がケガをしちゃったり、円の誕生日が近づいてきたり、突然竜児がおしかけてきたり、千尋の授業参観があったり…今回も千尋の周りは賑やかで、千尋も大忙し!ますますハートフルな第3巻、登場です!
~発売待ってました!~
ほんとは年明け発売予定だったのですが、ずれ込み2月に。待ってましたよー!そしてやっぱりハートフル!少年メイドを読むたび「ウチにも千尋、来ないかなぁ」とか「千尋が目の前にいたら確実に連れ去るな」とか、「結婚して息子が生まれたら千尋と名付けよう」とか、わけの分からないことを考えてしまいます。それだけ魅力的なんですよ、千尋は!基本的にはストーリー進行のない、単発ネタで話が続いていくのですが、それでもその中に、千尋と円の信頼関係の変化が見てとれたりして、なんとも微笑ましい気分にさせてくれるのです。今回は、そんな千尋と周囲の人間との関係について、少し書いてみたいと思います。
~家事をこなしてやっとチャラ~
家事の全てをこなす千尋に対し、家のことは一切せずに仕事以外ではぐーたらな円。一見すると、「好きとはいえ千尋が全部やらされてかわいそう。」なんて思えてくるのですが、千尋にはそんな感覚は全く無いようです。それどころか、「全部貰ってばかりで、少しぐらい返したい」と考えています。それは、衣食住および学費を工面してもらうかわりに、家事をしているという感覚があるため。住み込みで学校に通えている時点で、千尋的にはチャラなんですよね。そこに加えて、円は千尋に必要以上のものを与えており、千尋的には「貰いすぎている」という感覚が生まれてくるのでしょう。そこで千尋は、円の誕生日にパーティーを企画してプレゼントを用意するわけですが、これはいわば契約外の行動。義務や契約上の関係を越えたところにある、より「家族」的な行動であり、見ていて本当にほっこりあたたかい気持ちになりました。理屈では「貰いすぎているから」なんて言っていますが、彼の誕生日を知らされていなかった時のリアクションを見れば、それだけじゃないってわかります。ムッとする千尋もまたカワイイ。
~千尋の考えを尊重~
円も桂一郎も、千尋の言うこと・やることは徹底して尊重するようにしています。基本的に反対することはありません。また、強制も一切しません。

千尋の考えはちゃんと賛同してあげる。さらにフォローできるってのもすごいですが。
これがとんでもないわがまま少年であったら問題ですが、千尋の場合はそれでOKというか、むしろプラスかも。幼い頃から、自分ではなく他人の都合を考えて(相手が困らないように)行動するクセがついている千尋は、どうしても自分の欲求を抑えがち。家事などは必要とされていることが明白ですから率先して行えますが、誕生会の企画や授業参観などは、相手の考えがわからずいちいちためらってしまいます。それでもそのためらいを越えて、「やりたい」「来て欲しい」なんて思って出た頼み事や提案を、却下できようものですか!一度でも断ってしまえば、それは人一倍ナイーブな千尋にとって大きな傷になりますし、提案を受け入れ続けることによって、どんどん自分の欲求を出してくれるようにもなってくれるはず。千尋にとっての幸せは、円を困らせず円の喜ぶことをすることですが、円にとっての幸せは、円の手を煩わせてでも千尋の喜ぶことをさせてあげたい・してあげたいということ。もっともっと、千尋はわがままになっていいんですよ。それが円にとって、一番の幸せのはずなんですから。千尋が円に何かわがままを言ったときが、二人が本当の家族になる瞬間なのかもしれません…なんて、考えすぎか。4巻ではさて、どんな歩み寄りを見せるのでしょうか。楽しみです。
■購入する→Amazon
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bk1

円が
何を喜んで
何を幸せと感じていたか
■3巻発売です。
ダメダメ大人の円と、しっかりもののメイド少年・千尋の生活も、はや半年。時にはぎくしゃくしつつも、少しずつ“家族”になってきた二人。千尋がケガをしちゃったり、円の誕生日が近づいてきたり、突然竜児がおしかけてきたり、千尋の授業参観があったり…今回も千尋の周りは賑やかで、千尋も大忙し!ますますハートフルな第3巻、登場です!
~発売待ってました!~
ほんとは年明け発売予定だったのですが、ずれ込み2月に。待ってましたよー!そしてやっぱりハートフル!少年メイドを読むたび「ウチにも千尋、来ないかなぁ」とか「千尋が目の前にいたら確実に連れ去るな」とか、「結婚して息子が生まれたら千尋と名付けよう」とか、わけの分からないことを考えてしまいます。それだけ魅力的なんですよ、千尋は!基本的にはストーリー進行のない、単発ネタで話が続いていくのですが、それでもその中に、千尋と円の信頼関係の変化が見てとれたりして、なんとも微笑ましい気分にさせてくれるのです。今回は、そんな千尋と周囲の人間との関係について、少し書いてみたいと思います。
~家事をこなしてやっとチャラ~
家事の全てをこなす千尋に対し、家のことは一切せずに仕事以外ではぐーたらな円。一見すると、「好きとはいえ千尋が全部やらされてかわいそう。」なんて思えてくるのですが、千尋にはそんな感覚は全く無いようです。それどころか、「全部貰ってばかりで、少しぐらい返したい」と考えています。それは、衣食住および学費を工面してもらうかわりに、家事をしているという感覚があるため。住み込みで学校に通えている時点で、千尋的にはチャラなんですよね。そこに加えて、円は千尋に必要以上のものを与えており、千尋的には「貰いすぎている」という感覚が生まれてくるのでしょう。そこで千尋は、円の誕生日にパーティーを企画してプレゼントを用意するわけですが、これはいわば契約外の行動。義務や契約上の関係を越えたところにある、より「家族」的な行動であり、見ていて本当にほっこりあたたかい気持ちになりました。理屈では「貰いすぎているから」なんて言っていますが、彼の誕生日を知らされていなかった時のリアクションを見れば、それだけじゃないってわかります。ムッとする千尋もまたカワイイ。
~千尋の考えを尊重~
円も桂一郎も、千尋の言うこと・やることは徹底して尊重するようにしています。基本的に反対することはありません。また、強制も一切しません。

千尋の考えはちゃんと賛同してあげる。さらにフォローできるってのもすごいですが。
これがとんでもないわがまま少年であったら問題ですが、千尋の場合はそれでOKというか、むしろプラスかも。幼い頃から、自分ではなく他人の都合を考えて(相手が困らないように)行動するクセがついている千尋は、どうしても自分の欲求を抑えがち。家事などは必要とされていることが明白ですから率先して行えますが、誕生会の企画や授業参観などは、相手の考えがわからずいちいちためらってしまいます。それでもそのためらいを越えて、「やりたい」「来て欲しい」なんて思って出た頼み事や提案を、却下できようものですか!一度でも断ってしまえば、それは人一倍ナイーブな千尋にとって大きな傷になりますし、提案を受け入れ続けることによって、どんどん自分の欲求を出してくれるようにもなってくれるはず。千尋にとっての幸せは、円を困らせず円の喜ぶことをすることですが、円にとっての幸せは、円の手を煩わせてでも千尋の喜ぶことをさせてあげたい・してあげたいということ。もっともっと、千尋はわがままになっていいんですよ。それが円にとって、一番の幸せのはずなんですから。千尋が円に何かわがままを言ったときが、二人が本当の家族になる瞬間なのかもしれません…なんて、考えすぎか。4巻ではさて、どんな歩み寄りを見せるのでしょうか。楽しみです。
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