
告白みたいに話したら
照れくさいけど
泣きそうになった
■読切り5編を収録。ということで、表題作をご紹介。
辻川英子、高校3年生。新しいクラスになった春、バレー部のグループ,オシャレなグループ,ちょっと暗い人たちのグループと、クラスの住人たちがグループを固めはじめた頃、一人の転校生がやってきた。彼女の名前は北原泉。女の匂いの充満した教室で、彼女はどこか異質だった。事なかれ主義の英子にとって、何事もハッキリと主張する北原さんは、なんだかとっても“特別”に映り、英子はまるで恋に落ちるように、彼女のことが気になっていった…
ピュアでキラキラした想いに溢れる、タアモ先生珠玉の読切り集でございます。表題作である、少女達の友情を描いた「少女のメランコリー」をはじめ、10代少年少女たちの純粋でトクベツな想いを描いたお話が、計5編収録されています。それでは表題作以外のお話を、少しずつご紹介しましょう。まずは、関東から京都に引っ越してきたヒロインが、犬の散歩で迷い込んだ林で不思議な男の子に出会う「蛍火の雨が降る」。冷めた考えの持ち主だった女の子が、文化祭の劇を通して少しずつ変わっていく「ピーターパン・モノクローム」。大事な妹と片想いの女の子、クリスマスの予定がダブルブッキング!「銀のなみだ 銀のゆき」。そして先生に興味を持った小さな魔法使いのお話「先生と小さな魔女」。表題作の「少女のメランコリー」と、かきおろしの「先生と小さな魔女」をのぞいた3編は、どれも恋心を大事に大事に描いた恋愛色の強い内容。かわいらしい絵柄にマッチした、フワフワとした甘いストーリーが描き出されています。

大ゴマのインパクトがいつにも増してすごい。とても印象に残ります。
タアモ先生の作品でどれが一番好きかと聞かれたら、間違いなくこの「少女のメランコリー」を選びます。それだけ素敵な作品が目一杯なんですよ!まずは表題作になっている「少女のメランコリー」ですが、この話、男の子が全く登場しない、女の子の友情を描いたお話なんですよね。これがなかなか爽やかなお話で、先の百合姫移籍もこの話があったからこそ納得できたといいますか。恐らく系統としては「百合」とはまた違うのでしょうが、そこに繋がる欠片みたいなものは見えるのではないかな、と思います。
またその他は、バッチシ恋愛色強め。どれもそれぞれキュンとする話なんだ。「蛍火の雨が降る」は、“二人だけの秘密の場所”という何とも心躍るシチュエーションが存分に活かされ、恋愛感情の芽生えがキレイに描かれているように思います。また「ピーターパン・モノクローム」は、ひねくれた性格の女の子がヒロインのお話なのですが、タアモ先生の作品には珍しく、段階としてセックスが話に組み込まれており(描写はないけど)、甘さだけではない違った一面を見ることができます。そして何といっても「銀のなみだ 銀のゆき」。終始男の子視点で描かれるストーリーなのですが、ヒロインの女の子がかわいいんですよね。そして途中まで激甘の展開なのに、突然絶望が訪れて、でも最後の最後にまた激甘というズルい構成。タアモ先生はやっぱり甘さが一番の売りだと思うんですよ。個人的にはこの作品が、一番甘かった。他の男の子視点の話でもそうなのですが、決して一途な天使のような女の子ではないんですけど、だからこそ素敵に映るといいますか。悲しさを含んでいるからこそ守ってあげたくなる感情ってのが、この話を読んでいると沸き立ってくるんですよね。とにもかくにも甘いです。しかもこれは男の方が断然得をする構成という。
【男性へのガイド】
→男の子視点の物語もあり、恋愛色強めですが、男性でも読みやすいと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】
→タアモ先生の作品でイチオシなのがこちら。ぜひともチェックを!
■作者他作品レビュー
タアモ「お願い、せんせい」
タアモ「初恋ロケット」
タアモ「吾輩は嫁である。」
タアモ「ライフル少女」
タアモ「あのこと ぼくのいえ」
作品DATA
■著者:タアモ
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:Betsucomi
■全1巻
■価格:400円+税
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