作品紹介→田村由美「7SEEDS」
16巻レビュー→温室育ちは、温室でこそ生きられる《続刊レビュー》田村由美「7SEEDS」16巻
田村由美「7SEEDS」(17)
テストが始まった
夏のBチームのテストが始まる
■17巻発売です。
コミュニティから追放されてしまった安吾と涼は、目的もなく移動を続け、やがて夏のBチームを発見する。手違いで合流することになった二人は、一定の距離を取りつつも、コミュニケーションを図り、自分たちのポジションを獲得していく。エリートである二人と、落ちこぼれのBチーム。この二つが対峙したとき、そこに生まれるのは共闘か、対立か、それとも!?
~出会ってしまった夏チーム~
ついに出会ってしまった夏のAチームの二人と、夏のBチーム。未だ他人に対して強い警戒心を持ち、テストから意識を変えられない二人は、夏のBチームに対しても一歩引いた位置から注意深く観察。それに対しBチームの面々は、そんな視線に気がつきつつも、今までと同じようにその日暮らしの生活を続けていきます。安吾はそんな楽観的なBチームを見て、「どうして何もやらないんだ」と驚き、そして苛立ちを覚えることに。ししてその中に見つけた、茂に似た存在。鈍臭く助けてやらないと何もできない、そして自分に尊敬の目を向けてくれる…安吾はナツに、かつて自分を慕ってくれた茂の影を重ねていったのでした。
やがて夏Aの二人の手によって、座礁した船は動き出し、再び出発することに。そしてそこから、AチームはBチームに対して、とある動きを見せるようになっていきます。
~テストの意味とは~
夏のAチーム…というよりも、涼の手によって起こされる、テストの数々。そして突如として命の危機にさらされる、夏のBチームの面々。夏Aの過去が描かれたことによって、テストに対する嫌悪感は大きいものとなっているでしょうし、読者の涼に対する怒りや嫌悪感は嫌でも高まっているはずです。だって、普通に考えれば必要のないことなんですよね、テストなんて。弱い者は、テストでふるい落とさずとも勝手に死んでいきますし。けれども涼はテストを秘密裏に進めていきます。17巻の、そしてこれから先の見所になるであろう「テスト」ですが、今回はその意義について少し書きたいと思います。
①夏Bチームの力量を計る
②安吾の精神衛生のため
~18巻も楽しみ~
どちらにせよ涼の行っていることは、あまり意味のないことだと思うのですが、これが夏のBチームにどういった変化を与えるのか気になるところではあります。ただ安吾にとってはこの措置は、決して良いとは思えないわけで。変化できるチャンスを、涼の行いによって潰されてしまっている気がしてならないんですよね。これじゃあいつまでも同じことの繰り返しじゃないの、と。もし救いがあるとすれば、ナツと安吾の二人がピンチに晒されて、それを安吾が助けるという、茂を救ってやれなかった後悔(=安吾の心を縛り付けているもの)からの解放という展開か。まぁとにかく可哀想な役回りです、安吾は。
■購入する→Amazon
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16巻レビュー→温室育ちは、温室でこそ生きられる《続刊レビュー》田村由美「7SEEDS」16巻

テストが始まった
夏のBチームのテストが始まる
■17巻発売です。
コミュニティから追放されてしまった安吾と涼は、目的もなく移動を続け、やがて夏のBチームを発見する。手違いで合流することになった二人は、一定の距離を取りつつも、コミュニケーションを図り、自分たちのポジションを獲得していく。エリートである二人と、落ちこぼれのBチーム。この二つが対峙したとき、そこに生まれるのは共闘か、対立か、それとも!?
~出会ってしまった夏チーム~
ついに出会ってしまった夏のAチームの二人と、夏のBチーム。未だ他人に対して強い警戒心を持ち、テストから意識を変えられない二人は、夏のBチームに対しても一歩引いた位置から注意深く観察。それに対しBチームの面々は、そんな視線に気がつきつつも、今までと同じようにその日暮らしの生活を続けていきます。安吾はそんな楽観的なBチームを見て、「どうして何もやらないんだ」と驚き、そして苛立ちを覚えることに。ししてその中に見つけた、茂に似た存在。鈍臭く助けてやらないと何もできない、そして自分に尊敬の目を向けてくれる…安吾はナツに、かつて自分を慕ってくれた茂の影を重ねていったのでした。
やがて夏Aの二人の手によって、座礁した船は動き出し、再び出発することに。そしてそこから、AチームはBチームに対して、とある動きを見せるようになっていきます。
~テストの意味とは~
夏のAチーム…というよりも、涼の手によって起こされる、テストの数々。そして突如として命の危機にさらされる、夏のBチームの面々。夏Aの過去が描かれたことによって、テストに対する嫌悪感は大きいものとなっているでしょうし、読者の涼に対する怒りや嫌悪感は嫌でも高まっているはずです。だって、普通に考えれば必要のないことなんですよね、テストなんて。弱い者は、テストでふるい落とさずとも勝手に死んでいきますし。けれども涼はテストを秘密裏に進めていきます。17巻の、そしてこれから先の見所になるであろう「テスト」ですが、今回はその意義について少し書きたいと思います。
①夏Bチームの力量を計る
涼も安吾も、Bチームのことは仲間だとはみなしていません。スタートは「敵」、せいぜい「使える人間」ってところかもしれません。仲間であれば的確に指示を出し、また敵であればその対策をしっかりと練る。そのためには、相手の力量およびその特徴をしっかりと把握しておかなくてはなりません。指導者的に、危機感の植え付けを図っているとも取ることができますが、そこまでの甲斐性が涼にあるかと言うと、正直疑問。
また高い能力が備わっているからこそ選ばれていると思っている彼らにとって、夏Bチームのできない子っぷりは極めて不審に映るのかも。春・秋・冬のチームに出会った時は、観察はせよこんなテストは行いませんでした。まぁこれについては状況が違うので、何とも言えませんが。
また高い能力が備わっているからこそ選ばれていると思っている彼らにとって、夏Bチームのできない子っぷりは極めて不審に映るのかも。春・秋・冬のチームに出会った時は、観察はせよこんなテストは行いませんでした。まぁこれについては状況が違うので、何とも言えませんが。
②安吾の精神衛生のため
テストを課すのはいつも涼で、安吾は恐らくそのことを知りません。基本的には、涼が仕掛ける→Aチームピンチ→安吾が助けるというパターンで、助けるときは安吾も慌てた様子を見せています。普通であれば、ここまでこういった出来事が起こるのは不審であると気がつくはずですが、安吾はごく自然にそれを受け入れています。それはまだ彼が、地獄のようなテストの呪縛から逃れられていないから。しかも悲しいことに、彼の存在意義を最も強く示してくれるのが、他でもないテストなのです。茂に似た存在を見つけ、それをテストと同じような状況の中で助ける。そうすることで安吾は存在意義を見出すことができ、精神は安定。安吾は涼に、船の中に「温室」を創り出してもらっているという感じでしょうか。てかなんかBLっぽさを感じさせるんですよね、この二人。
~18巻も楽しみ~
どちらにせよ涼の行っていることは、あまり意味のないことだと思うのですが、これが夏のBチームにどういった変化を与えるのか気になるところではあります。ただ安吾にとってはこの措置は、決して良いとは思えないわけで。変化できるチャンスを、涼の行いによって潰されてしまっている気がしてならないんですよね。これじゃあいつまでも同じことの繰り返しじゃないの、と。もし救いがあるとすれば、ナツと安吾の二人がピンチに晒されて、それを安吾が助けるという、茂を救ってやれなかった後悔(=安吾の心を縛り付けているもの)からの解放という展開か。まぁとにかく可哀想な役回りです、安吾は。
■購入する→Amazon