作品紹介はこちら→*新作レビュー* ろびこ「となりの怪物くん」
2巻レビュー→《気まぐれ続刊レビュー》ろびこ「となりの怪物くん」2巻
3巻レビュー→三者三様の考え方…女の子たちがとっても魅力的です《続刊レビュー》「となりの怪物くん」3巻
ろびこ「となりの怪物くん」(4)
んで いい恋愛てのは
人間をまーるくしてくれるんだよね
■4巻発売です。
ちゃんと好きになってもらえたら、もう一度告白しようと決意した雫。けれどどうすれば好きになってもらえるかわからず、自分ばかりが乱されてしまうことに戸惑い、恋心を封印してしまう。ギクシャクしたままの毎日に、お互い苛立ちに似た感情を募らせるも、なかなか元に戻るきっかけはつかめない。それでもハルの友達・ヤマケンのアドバイスによって、次第に雫はちゃんと人と向き合おうと変わり始めるが、今度はハルがそのヤマケンを意識しすぎてしまい…!?役者は揃った。みんな、恋にはまりだす…!
~4巻の内容に、あさ子好きは万々歳~
4巻に突入しましたが、その勢いは落ちるどころか一層増してきています。特に4巻は、お気に入りの夏目あさ子にスポットが当てられたということもあり、テンションMAX。ヒロインは雫ですが、シチュエーションや言動はむしろあさ子の方がよっぽど少女漫画っぽいような気も。優しく受け入れてくれる男の子2人がいて、本人も少しずつ恋心を自覚してきて、挙げ句ラストのあの台詞ですよ!何この可愛らしさ。今日はそんなあさ子について、少し書こうかな、と思います。
~あさ子の望む幸せの形~
3巻レビューの際に、「あさ子は他人に向いた変化志向だ」と書きましたが、4巻を読んで決してそうは言えないことに気がつきました。確かに変化は望んでいるんです。しかしそれは、お互いの関係性そのものを変化させてしまうような強い変化ではなく、あくまで形は保ったままで、その結びつきを一層強化するようなもの。4巻では、そんな彼女の望む幸せの形が、具体的に提示されます。
今の関係がずっと続けば、それだけでいい。今まで不幸に慣れてきたあさ子は、初めて得られた小さな世界を大事に大事に抱え、いつまでもそれを保持しようとしていたのでした。この構図は、雫も同じ。彼女の場合、それが友達ではなく、勉強置き換わっただけ。ハルの登場によりその世界が揺るがされようとしたとき、雫は頑にそれを拒もうとしましたが、あさ子もまたその世界を変化させんとする存在を、なんとかして排除しようとするのでした。
~小さな世界の平穏を必死に守ろうとする姿~
友達として、雫とハルの恋路を応援するあさ子ですが、その二人の仲を邪魔しそうな存在であるヤマケンと大島さんに対する反応の仕方が全く違っていて面白かったです。ヤマケンには「邪魔しないでください!ムダです!」とビシッと言うのに対して、大島さんには「ハルくんじゃなきゃだめですか?」と申し訳なさそうに思いやりをもって言葉をかけるのですが、これは単純に大島さんが王国の住人で、ヤマケンが外敵ってことなんでしょう。ヤマケンには排除で、大島さんには調整を持ちかける…その役回りは、なんというかまるで行政のよう。「みんなが幸せに」という想いを叶えようとするその必死さが、コマの向こうからダイレクトに伝わってきて、ついつい気持ちを入れて彼女のことを応援してしまうのです。
~美味しいとこ取りのみっちゃん~
しかしどんなに守っても、いつまでもその世界を保つことができないことに、あさ子は気づいていきます。外からの変化は止められても、中からの変化は止めようがありません。雫とハルが結ばれたら、自分の居場所はなくなってしまうのでは?そんな思いがふと頭をよぎるように。そんなおセンチな気分になった彼女のところに、タイミングよく現れて心をガシっと掴んでいくのが、みっちゃんでございますよ。あさ子が雫とハルが結ばれた際の自分の居場所について考え、寂しい気持ちになるシーンというのが、今までに二度ほどあるのですが(一度目は文化祭,二度目は初詣後)どちらも間に何かしらの出来事をはさみつつも、最後はみっちゃんが回収するという美味しい役どころで。そりゃササヤンじゃないですけど、惚れるでしょ、確実に。
~風早くんになり損ねたササヤン~
そういえばライバルになり得そうだったササヤンは、それなりの存在感を放ちつつも、一歩引いた位置から傍観という姿勢を崩しませんねー。登場するキャラの中では一番モテそうですし、風早くん的に気が利きます。大島さんを誘ったあたりとか、野球部ってところも相まって、思わず「お前は風早くんか!」と。しかし決定的になにかが違う。彼が風早くんになれない所以は、その距離感の取り方にあるのかもしれません。どちらかというと「花より男子」の西門みたいな印象。もし長期化するようであれば、彼の恋物語なども描いてくれると嬉しいかな、と思ったり。大島さんとなんて、どうですか?安直すぎますか。そうですか。
~あさ子の寂しさのバロメーター~
これはもう完全に余談ですが、あさ子は寂しいとき必ずと言っていいほど膝を抱えて座るんですよね。その様子がもの凄くかわいい。もうね、その場に居たら後ろからd(ry 体の小さい女の子がこういう体勢になると、非常にかわいらしいですが、あさ子のようにスタイルの良い子があえてこういう体勢になるのもまたいとをかし。

初の膝抱えは1巻のとき。この時から寂しさとリンクしていた。これパンツ見えませんか。大丈夫なんですか。

4巻でももちろんやってます。膝抱え座りの涙とか、破壊力抜群すぎて困る。
~有り余る不器用さこそ、この作品の宝だ!~
今回はあさ子について書きましたが、やっていることは雫もあさ子も似ているのかな、と。どちらも自分が信じていた「幸せ」というものがあり、それに向かって邁進していた。けれどもそれがある日突然崩れそうになり、慌てふためく。雫にとっての恋と勉強も、あさ子にとっての友情・友達の恋・自分の恋も、どれも両立可能なのですが、彼女たちにはそれをこなすだけの器用さがないのです。一つのことに、100の力を傾けてしまい、他は0。加えて「幸せ欠乏症」だから、妙にみんなストイック。そんな健気に全力な不器用さに、私たちはついつい夢中になってしまうのではないでしょうか。そこが私がこの作品を読む際の、キャラ評価の一つの指標になっていて、だからこそ大島さんもヤマケンも、もっと不器用になれよ!(←無理難題)と。
5巻は7月に発売だそうですが、まだまだあさ子は存在感を発揮してきそうです。加えてヤマケンも。とりあえず当て馬だけで終わるなんて、そんな悲しい結末はイヤ…と思ったら表紙裏に…(ホロリ)弔いはしっかりしてあげるから、安心してください。
次回レビュー:「ヤマケンよ、永遠に…」ご期待ください!
■購入する→Amazon
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3巻レビュー→三者三様の考え方…女の子たちがとっても魅力的です《続刊レビュー》「となりの怪物くん」3巻

んで いい恋愛てのは
人間をまーるくしてくれるんだよね
■4巻発売です。
ちゃんと好きになってもらえたら、もう一度告白しようと決意した雫。けれどどうすれば好きになってもらえるかわからず、自分ばかりが乱されてしまうことに戸惑い、恋心を封印してしまう。ギクシャクしたままの毎日に、お互い苛立ちに似た感情を募らせるも、なかなか元に戻るきっかけはつかめない。それでもハルの友達・ヤマケンのアドバイスによって、次第に雫はちゃんと人と向き合おうと変わり始めるが、今度はハルがそのヤマケンを意識しすぎてしまい…!?役者は揃った。みんな、恋にはまりだす…!
~4巻の内容に、あさ子好きは万々歳~
4巻に突入しましたが、その勢いは落ちるどころか一層増してきています。特に4巻は、お気に入りの夏目あさ子にスポットが当てられたということもあり、テンションMAX。ヒロインは雫ですが、シチュエーションや言動はむしろあさ子の方がよっぽど少女漫画っぽいような気も。優しく受け入れてくれる男の子2人がいて、本人も少しずつ恋心を自覚してきて、挙げ句ラストのあの台詞ですよ!何この可愛らしさ。今日はそんなあさ子について、少し書こうかな、と思います。
~あさ子の望む幸せの形~
3巻レビューの際に、「あさ子は他人に向いた変化志向だ」と書きましたが、4巻を読んで決してそうは言えないことに気がつきました。確かに変化は望んでいるんです。しかしそれは、お互いの関係性そのものを変化させてしまうような強い変化ではなく、あくまで形は保ったままで、その結びつきを一層強化するようなもの。4巻では、そんな彼女の望む幸せの形が、具体的に提示されます。
わたしは わたしの
小さな世界を守るのに
精一杯だ
小さな世界を守るのに
精一杯だ
…わたしは
ミッティやハルくんや 大好きな人たちがいれば
他はいらないです
…誰も傷つかない
ずっと楽しい
永遠の王国です
ミッティやハルくんや 大好きな人たちがいれば
他はいらないです
…誰も傷つかない
ずっと楽しい
永遠の王国です
今の関係がずっと続けば、それだけでいい。今まで不幸に慣れてきたあさ子は、初めて得られた小さな世界を大事に大事に抱え、いつまでもそれを保持しようとしていたのでした。この構図は、雫も同じ。彼女の場合、それが友達ではなく、勉強置き換わっただけ。ハルの登場によりその世界が揺るがされようとしたとき、雫は頑にそれを拒もうとしましたが、あさ子もまたその世界を変化させんとする存在を、なんとかして排除しようとするのでした。
~小さな世界の平穏を必死に守ろうとする姿~
友達として、雫とハルの恋路を応援するあさ子ですが、その二人の仲を邪魔しそうな存在であるヤマケンと大島さんに対する反応の仕方が全く違っていて面白かったです。ヤマケンには「邪魔しないでください!ムダです!」とビシッと言うのに対して、大島さんには「ハルくんじゃなきゃだめですか?」と申し訳なさそうに思いやりをもって言葉をかけるのですが、これは単純に大島さんが王国の住人で、ヤマケンが外敵ってことなんでしょう。ヤマケンには排除で、大島さんには調整を持ちかける…その役回りは、なんというかまるで行政のよう。「みんなが幸せに」という想いを叶えようとするその必死さが、コマの向こうからダイレクトに伝わってきて、ついつい気持ちを入れて彼女のことを応援してしまうのです。
~美味しいとこ取りのみっちゃん~
しかしどんなに守っても、いつまでもその世界を保つことができないことに、あさ子は気づいていきます。外からの変化は止められても、中からの変化は止めようがありません。雫とハルが結ばれたら、自分の居場所はなくなってしまうのでは?そんな思いがふと頭をよぎるように。そんなおセンチな気分になった彼女のところに、タイミングよく現れて心をガシっと掴んでいくのが、みっちゃんでございますよ。あさ子が雫とハルが結ばれた際の自分の居場所について考え、寂しい気持ちになるシーンというのが、今までに二度ほどあるのですが(一度目は文化祭,二度目は初詣後)どちらも間に何かしらの出来事をはさみつつも、最後はみっちゃんが回収するという美味しい役どころで。そりゃササヤンじゃないですけど、惚れるでしょ、確実に。
~風早くんになり損ねたササヤン~
そういえばライバルになり得そうだったササヤンは、それなりの存在感を放ちつつも、一歩引いた位置から傍観という姿勢を崩しませんねー。登場するキャラの中では一番モテそうですし、風早くん的に気が利きます。大島さんを誘ったあたりとか、野球部ってところも相まって、思わず「お前は風早くんか!」と。しかし決定的になにかが違う。彼が風早くんになれない所以は、その距離感の取り方にあるのかもしれません。どちらかというと「花より男子」の西門みたいな印象。もし長期化するようであれば、彼の恋物語なども描いてくれると嬉しいかな、と思ったり。大島さんとなんて、どうですか?安直すぎますか。そうですか。
~あさ子の寂しさのバロメーター~
これはもう完全に余談ですが、あさ子は寂しいとき必ずと言っていいほど膝を抱えて座るんですよね。その様子がもの凄くかわいい。もうね、その場に居たら後ろからd(ry 体の小さい女の子がこういう体勢になると、非常にかわいらしいですが、あさ子のようにスタイルの良い子があえてこういう体勢になるのもまたいとをかし。

初の膝抱えは1巻のとき。この時から寂しさとリンクしていた。これパンツ見えませんか。大丈夫なんですか。

4巻でももちろんやってます。膝抱え座りの涙とか、破壊力抜群すぎて困る。
~有り余る不器用さこそ、この作品の宝だ!~
今回はあさ子について書きましたが、やっていることは雫もあさ子も似ているのかな、と。どちらも自分が信じていた「幸せ」というものがあり、それに向かって邁進していた。けれどもそれがある日突然崩れそうになり、慌てふためく。雫にとっての恋と勉強も、あさ子にとっての友情・友達の恋・自分の恋も、どれも両立可能なのですが、彼女たちにはそれをこなすだけの器用さがないのです。一つのことに、100の力を傾けてしまい、他は0。加えて「幸せ欠乏症」だから、妙にみんなストイック。そんな健気に全力な不器用さに、私たちはついつい夢中になってしまうのではないでしょうか。そこが私がこの作品を読む際の、キャラ評価の一つの指標になっていて、だからこそ大島さんもヤマケンも、もっと不器用になれよ!(←無理難題)と。
5巻は7月に発売だそうですが、まだまだあさ子は存在感を発揮してきそうです。加えてヤマケンも。とりあえず当て馬だけで終わるなんて、そんな悲しい結末はイヤ…と思ったら表紙裏に…(ホロリ)弔いはしっかりしてあげるから、安心してください。
次回レビュー:「ヤマケンよ、永遠に…」ご期待ください!
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