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Tag [オススメ] [新作レビュー] 2009.01.06
津田雅美「ちょっと江戸まで」津田雅美「ちょっと江戸まで」

「気に入った わしに仕えよ!」
「いやです!」


■物語の舞台は江戸開府405年後の江戸時代。21世紀に入ってもなお江戸時代が続いているのだ。大身の旗本である貴晄は、女性にだらしない父が外に作った子供(実に11人!)の行き先を、父の死が近いということで全て世話するが、最後の最後でさらにもう1人子供がいることを知る。その子の様子をみるため腹心を使いに出すのだが、腹心はその子供に貴晄の面影と武士としての素養を見いだし、江戸に連れてきてしまう。しかし連れきた後で明らかになる衝撃の事実。その子供・そうびは、なんと女の子だったのだ。
 それでも旗本の家で暮らすことになったそうびは、武士としての修練を積みながら学校に通うことになる。そこで同じクラスになったのは、水戸家の跡継ぎで、なんとも女の子らしい男の子・廸聖。廸聖に気に入られたそうびは、毎週末「遊び相手」としてお屋敷に出入りするようになる。
 
 なんとも奇妙な設定の作品ですが、カテゴリはコメディ(だよね?)。御三家の一つ・水戸家の跡取りで、とってもガーリッシュな廸聖が、ボーイッシュな女の子・そうびやお供を巻き込んで、いろいろ騒ぎ(ともいえないようなイベント)を起こすというもの。名家の息子というのが足かせになるのかと思いきや全く逆で、むしろ行動の幅は拡がります。身分が身分だけに、やりたいことはできるし、危険にさらされることもないという。あと全然関係ないけど廸聖は「彼氏彼女の事情」の芝姫に似てると思った。
 
 津田雅美先生の作品に関して、1巻時点でどうこう言うつもりは毛頭ありません。「彼氏彼女の事情」も「eensy-weensyモンスター」も、味が出てきたのは続刊が出てから。今作も巻を重ねて面白くなってくるのでしょう。

【オトコ向け度:☆☆☆☆ 】
→「カレカノ」好きな男子は意外と多い。だからこれもって考えるのは安直かしれんけどさ。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→ベテラン作家で、どっちかわからんときはとりあえず推しといたほうが得策。多分この後、本格的に面白くなってくると思います。

作品DATA
■著者:津田雅美
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLa(平成20年7月号~連載中)  
■既刊1巻
■定価:400円+税

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