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Tag [続刊レビュー] 2010.02.21
作品紹介→槇村さとる「RealClothes」
7巻レビュー→《気まぐれ続刊レビュー》槇村さとる「Real Clothes」7巻
8巻レビュー→意見を闘わせずして、前進はない《続刊レビュー》槇村さとる「Real Clothes」8巻



1102875326.jpg槇村さとる「Real Clothes」(9)


カラを破って外に出ないと
自分で自分を殺したことと同じなんだよ



■9巻発売です。
 大量のメーカー切りに始まり、稲村の大抜擢へと至った、松越の婦人服売り場改革。しかし稲村は、「押しつけられた」という感覚を抱き続けたままで、なかなか話は進まない。そんな彼女を何とか動かそうとする絹恵は、田渕とニコにアドバイスを求める。絹恵の尽力と、稲村の覚悟が重なり、彼女は一気にリーダーへと覚醒。松越再生のキーアイテムを、「デニム」に定めた絹恵と稲村は、こだわりの強いメーカーを口説き落とそうと決めるが…!?


~ドラマ化後の1冊~
 9巻はなんだか厚いですね。ドラマ化後の刊行ということで、気合いが入っているのか。帯にはドラマのDVD-BOXの広告が。全巻揃って23,940円というのは比較的良心的なイメージですが、どうなのでしょうか。アニメとはまた違うのか。ということで、サクッとこの感をレビューしてみましょう。


~既視感はあるもの、物語的には意味のあった松越再生編~
 とか言ったものの、この巻に関してはそこまで目新しいことはなかったという印象。軸として描かれているのは、稲村さんをリーダーとして目覚めさせ、松越の婦人服部門を生き返らせるというものなのですが、舞台は違えど行っていることは小西さんのそれと同じ。焼き直しという感が強かったですね。そして桃太郎ブランドの口説き落としもまた、今までにあったことの応用です。これだけ見ると、見所なく同じことを描いただけというイメージを受けてしまいますが、ポイントはこの一連の流れを絹恵ひとりで切り抜けたということ。今までは田渕やニコ、美姫さまの助けあってのことでしたが、今回はアドバイスのみに留まっています。確実に絹恵は成長している。見所にはやや乏しい内容だったかもしれませんが、物語的には必要なイベントだったのかな、と思います。
 
 そしてそんな不完全燃焼感(読者の)をすべて吹き飛ばすかのような、ラストの怒濤の展開。仕事だけならまだしも、ニコさん、そっちで用意してきますか…。これは10巻もの凄く面白くなる予感がしますよ。この引っぱりは今までで一番。今から次が待ち遠しいです。


~ニコの一言~
 最後に一つ、ニコの言葉がやけに印象に残ったので、書き留めておきましょう。
 
不満というのは
「何もしたくない人の意見」でもあります

 
 そうなんだよなぁ。別に「何もしたくない人の意見」とは言わずとも、不満を漏らしているその時点では、少なからず何もしていないわけで。解決なり消化なり、不満を漏らしてもいいけどその次の行動をとってみるということを考えてみたいなぁと思った今日この頃でした。


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