
ふたりなら
ふたりで村を出られるなら…
…いいかもしれない
■美貌の宮廷神官・鶏冠は、護衛を引き連れてとある山奥の村を目指していた。王命を受けて次の大神官の決定に必要な「奇跡の目:慧眼」をもつ少年を捜しており、その少年が山奥にあるハシバミの村というところにいるというのだ。その少年は人の悪しき心を見抜くと言われており、鶏冠はさぞ聡明な少年だろうと想像するも、現れたのは聡明さを感じさせないヤンチャな少年で…!?美貌の神官・鶏冠、奇跡の目を持つ少年・青天、そして青天を守る剣の達人・曹鉄の、王都への旅が始まった!
人気アジアン・ファンタジー小説のコミカライズ作品でございます。主人公は、女性顔負けの美貌を持つ宮廷神官・鶏冠。王命により、次期大新官の決定に必要な「奇跡の目」を持つ少年を探し、その少年がいるとされる山奥の村・ハシバミ村にやってきます。奇跡の目:慧眼とは、人の悪しき心魂を看破する眼であり、その眼を持つ者:慧眼児は、三百年にひとりの奇跡といわれる存在。さぞ聡明な少年であろうと想像していると、出てきたのは活発で猿のように駆け回るヤンチャな少年。どうにもその少年・青天が慧眼児であるとは信用できないものの、村の者たちの強い推しにより連れて帰ることに。そしてその夜、一緒にきた護衛が突如として鶏冠と青天の命を狙い襲ってきます。狙いは恐らく、慧眼の持ち主を連れて帰らせないこと。幸い命は、青天の保護者・曹鉄によって守られますが、命が狙われていると知ったらじっとしているわけにもいきません。鶏冠と青天、そして正当防衛とはいえ王仕えの人間を殺めてしまった曹鉄は、王都を目指して旅をしていくことになります。

途中で仔虎も仲間になる。可愛げがあり、マスコット的存在に。
最終的な目標がよくわからないのですが、これは王都についたらお終いなんでしょうか。1巻で、物語の進み方を見ていると、着いた後も物語は続きそう。とりあえず1巻までの流れを説明すると…次々にやってくる刺客と、それに立ち向かう3人。鶏冠は基本何も出来ませんが、それを青天のヤンチャさと曹鉄の剣技で切り抜けていきます。青天は確かに不思議な力を持つ証(額に石がある)はありますが、不思議な力に関しては自覚は出来ておらず、都に向かうことを決めたのも、村では奇異の目で見られているため抜け出したかったという想いから。その後のことはあまり考えてはいません。そして一緒についてくることになった曹鉄も、途中までは彼らについていきながら、どこかで隙を見て逃げ出そうと考えています。それぞれに想いを抱えながら、都を目指す一行は、やがて様々な人に出会い、想いとは裏腹にその絆を深めていくことになります。
RPGってこんな感じだよね。というのが最初の印象。目的地が設定され、行き当たりばったりでイベントが発生し、その都度切り抜けていく。故に出会いも豊富で、キャラガたくさんみたいような人にはうってつけの内容。いっそ水滸伝みたいに108人仲間に…なんて思いましたが、さすがにそこまですると誰が誰だかわからなくなっちゃうのか。キャラが多く登場する割に、描き分けはしっかりできており、そのへんで困ることはないと思います。ただ場面の切り替えと、見所の強調に拙さがみられるのか、読んでいてあまりに引っ掛かりがなく流れていってしまう印象だったのがちょっと残念なところ。とはいえ初連載ですから、そのへんを考えるとご愛嬌とというところなのでしょうか。
【男性へのガイド】
→キャラ重視だとすると、やっぱり女性の方が楽しめるのかな、という印象。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→原作はまた違うのかもしれませんが、あまり引っ掛からなかったというか。ただ物語的な齟齬があるわけではないので、十分楽しめる内容にはなっていると思います。
作品DATA
■著者:カトーナオ/榎田ユウリ
■出版社:角川書店
■レーベル:ASUKAコミックスDX
■掲載誌:Asuka(2009年5月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:560円+税
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