このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [続刊レビュー] 2010.02.27
作品紹介→高梨みつば「紅色HERO」
16巻レビュー→カナコと嶋の、ベタで素晴らしき師弟関係《続刊レビュー》高梨みつば「紅色HERO」16巻




11028758.jpg高梨みつば「紅色HERO」(17)


春高に行けたら…
その時は…



■追い風に押される勢いで冬季大会2回戦へと勝ち進んだ紅野女子。祐信率いる男子も、最終予選出場を決めた。男女揃っての、春高出場の可能性に、俄然色めき立つ紅野高校。そんな中、のばらが居候させてもらっている桃子の家に、祐信が訪ねてくる。「春高に行けたら、その時は…」あの時の約束を忘れずに、お互い今も大切に覚えていることを確認した二人は、春高へ向けてさらに気持ちを高めていく。しかし最終予選を間近に控えた晩、とある事件が起き…!?


~バレーしてるシーンが少なかった…~
 とりあえず、バレーしようぜ。この作品を読むにあたり、巻によって満足度の振れ幅がかなり違うのですが、その振れ幅を生み出しているのは、バレーシーンがあるかないかなんですよ、私にとって。恋愛も悪くはないんですが、やっぱり彼ら・彼女らをアイデンティファイするのは、他ならぬバレーであって、やっぱりバレーありきで物語は進んで欲しいと言いますか。恋愛は2番目以降であって欲しいと言いますか。なんて読者のわがままだってのはわかってるんです。スポーツ一本で行っても本道の読者はついて来ちゃくれないことだって。
 
 
~のばらにとっての「バレー」の在り方を決定的に変化させた今回の出来事~ 
 さて、17巻ですが、後半に衝撃の展開が待っていました。スポーツものらしく爽やかさ一本で行くのかと思いきや、まさかの重苦しい展開。こういう方向で行くのかー。これによって大きな感動を作り出すことは可能ですが、同時にのばらのバレーをする意味が全く違うものになってきそうで、そこだけが気がかり。物語が始まった当初は、のばらにとってはバレーしかなく、「バレーをすることで自分らしくいられる」といった意味合いが強く含まれていたように思います。それが祐信との出会いによって、バレーをやる中に恋愛という要素が含まれるように。他にも仲間との友情といった要素もあったわけですが、今回の出来事によって、のばらにとっての最終予選は、ほぼ100%祐信のためという意味合いになってきます。気がつけば、のばらにとってのバレーの在り方が、開始当初とは全く違ったものになっているという。恋愛重視の少女漫画としてならば、この持っていきかたは正解。ただスポーツ漫画としての可能性に懸けていた自分としては、ちょっと残念でもあったり。とりあえず祐信はどんな反応するんでしょうか。のばらだけ春高に行っても彼は決して納得しないような気がするんですが。でも作者さん曰くラストが近いって言うし、もしかしたら意外と春高には祐信も出場しちゃうのかもしれませんね。
 

■購入する→Amazonbk1

カテゴリ「別冊マーガレット」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。