作品紹介→吉岡季々子「彼はトモダチ」
5巻レビュー→やはり青春群像は、奇数人数の方が動かしやすい 《気まぐれ続刊レビュー》 吉岡李々子「彼はトモダチ」5巻
6巻レビュー→いきなり爆笑したら、その次は怒濤の鬱展開だったでござる《続刊レビュー》「彼はトモダチ」6巻
吉岡季々子「彼はトモダチ」(7)<完> 
宝物を最初に見つけた場所に
行ったんだよ
■7巻発売、完結しました。
佐々本に最後の言葉を伝えられずに、転校することになったヒヨリ。転校先は伝えられず、逃げるように去ることになってしまった。どうしてこんなことになったのか、どこで間違えてしまったのか、いくら考えても出てこない…。最悪の状況の中、ヒヨリは事件の責任を負っての佐々本の退学危機の話を知り…!?
~完結しました~
完結しました。ええ、もはやハッピーエンドなんてありえませんよ。だったら笑って終わろうじゃないか!ということで、7巻のレビューです。物語が始まった当初は、はじめて知る恋に恐る恐る近づいていくような、初々しい女の子だったのに、6巻が終わる頃には妊娠、さらには流産していたという、ケータイ小説ばりな状況に。どうしてこうなった。そんな重苦しい状況の中、挽回を見せるのはなかなか難しそうに見えたのですが、しっかりと完結させてきましたよ。いや、全然解決なんかしてないと思うんですけどね、それでもひよりが笑顔になったらOKなんですよ、このお話は。
~水野と琴音の迷走のおかげ?~
さてこのお話、冷静にふりかえると、ヒヨリはとばっちりくらいまくりで、不幸が際立った内容になっています。彼女自身は何も悪いことしてないんですよ。悪いというか、こんな状況にさせたのは、2人の戦犯がいたから。その戦犯とは、水野と琴音です。何をしたかは今さら説明しませんが、物語序盤は琴音が傍若無人に関係をかき回し、さらにその煽りを食らう形で、後半は水野が暴走。ひよりは何もしていないのに、転校ですよ。さらに佐々本も退学の危機。この二人さえいなければ…なんて思いつつも、この二人がいたからここまで盛り上がったわけで、逆に言えば一番の功労者なのかもしれません。特に7巻は、琴音と水野のやりとりで爆笑してしまいました。

ヒヨリの転校および、佐々本の退学の危機の話を聞いて落ち込む水野への、容赦ない言葉。靴を投げつけて水野を叱責した琴音はこの後、「このクズ!!」とか「ホントムカつく、ホントサイテー」果ては「シネ」とまで言い放ちます。もう完全に正義の味方ですよ。むちゃくちゃ琴音カッコいい!強い!読者の言いたいことを全部言ってくれた!凄いっす!とにかくこのシーンの琴音は本当にカッコ良かった。しかしその数ページ後、ひよりの電話に関する話題が出ると…
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気まずい表情
変わり身はえー(笑)ええ、ヒヨリの電話恐怖症の原因を作ったのは他でもない、琴音です。さっきの勢いの良さはどこへやら、この気まずい顔。素敵すぎると思いませんか?そして実生活でもこういうことあるある。最終的にどちらも気まずいという、誰得なやり取りを繰り広げることになりました。いや、ほんとは爆笑するようなシーンじゃないのですが、どうにもツボに入ってしまって。
~当道も女々しさを発揮~
そういえば7巻では、当道の過去の女性関係も明らかになりました。ヒヨリを勇気づけるために自信の恋愛を語ったのですが、1年以上前に別れた相手のプリクラを未だに携帯に貼り続けているという。佐々本、水野ともに未練たらしくウジウジしている男で、当道は違うだろうと思っていたのですが、彼もまた引きずるタイプなんですねー。彼の場合、少しばかり事情は違いますが、それでも1年間連絡取れない相手をずっと待ち続けるって、なんて女々しいんだ、と。お前らみんな女々しすぎる。ヒヨリもどちらかというとそういう気質かな。そりゃひとり残った琴音も、開き直ったら男らしくなるわなぁなんて思った次第。
~終わりよければすべてよし?~
というわけで、本当にハッピーエンドなのかよくわからない終わり方だったのですが、いいじゃないですか、ヒヨリがそれで良いのなら。彼女が納得していれば、許そうと許さなかろうと、それで良いのです。水野は退学になったらしいですが、これからどうするんでしょうね。できれば琴音がどれだけ開き直るのか、後を追ってみたかったですが、無理か。琴音は前巻の件があるので、なんとなく担当さんから嫌われているのかな、と思ったり。
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bk1
5巻レビュー→やはり青春群像は、奇数人数の方が動かしやすい 《気まぐれ続刊レビュー》 吉岡李々子「彼はトモダチ」5巻
6巻レビュー→いきなり爆笑したら、その次は怒濤の鬱展開だったでござる《続刊レビュー》「彼はトモダチ」6巻

宝物を最初に見つけた場所に
行ったんだよ
■7巻発売、完結しました。
佐々本に最後の言葉を伝えられずに、転校することになったヒヨリ。転校先は伝えられず、逃げるように去ることになってしまった。どうしてこんなことになったのか、どこで間違えてしまったのか、いくら考えても出てこない…。最悪の状況の中、ヒヨリは事件の責任を負っての佐々本の退学危機の話を知り…!?
~完結しました~
完結しました。ええ、もはやハッピーエンドなんてありえませんよ。だったら笑って終わろうじゃないか!ということで、7巻のレビューです。物語が始まった当初は、はじめて知る恋に恐る恐る近づいていくような、初々しい女の子だったのに、6巻が終わる頃には妊娠、さらには流産していたという、ケータイ小説ばりな状況に。どうしてこうなった。そんな重苦しい状況の中、挽回を見せるのはなかなか難しそうに見えたのですが、しっかりと完結させてきましたよ。いや、全然解決なんかしてないと思うんですけどね、それでもひよりが笑顔になったらOKなんですよ、このお話は。
~水野と琴音の迷走のおかげ?~
さてこのお話、冷静にふりかえると、ヒヨリはとばっちりくらいまくりで、不幸が際立った内容になっています。彼女自身は何も悪いことしてないんですよ。悪いというか、こんな状況にさせたのは、2人の戦犯がいたから。その戦犯とは、水野と琴音です。何をしたかは今さら説明しませんが、物語序盤は琴音が傍若無人に関係をかき回し、さらにその煽りを食らう形で、後半は水野が暴走。ひよりは何もしていないのに、転校ですよ。さらに佐々本も退学の危機。この二人さえいなければ…なんて思いつつも、この二人がいたからここまで盛り上がったわけで、逆に言えば一番の功労者なのかもしれません。特に7巻は、琴音と水野のやりとりで爆笑してしまいました。

ヒヨリの転校および、佐々本の退学の危機の話を聞いて落ち込む水野への、容赦ない言葉。靴を投げつけて水野を叱責した琴音はこの後、「このクズ!!」とか「ホントムカつく、ホントサイテー」果ては「シネ」とまで言い放ちます。もう完全に正義の味方ですよ。むちゃくちゃ琴音カッコいい!強い!読者の言いたいことを全部言ってくれた!凄いっす!とにかくこのシーンの琴音は本当にカッコ良かった。しかしその数ページ後、ひよりの電話に関する話題が出ると…
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変わり身はえー(笑)ええ、ヒヨリの電話恐怖症の原因を作ったのは他でもない、琴音です。さっきの勢いの良さはどこへやら、この気まずい顔。素敵すぎると思いませんか?そして実生活でもこういうことあるある。最終的にどちらも気まずいという、誰得なやり取りを繰り広げることになりました。いや、ほんとは爆笑するようなシーンじゃないのですが、どうにもツボに入ってしまって。
~当道も女々しさを発揮~
そういえば7巻では、当道の過去の女性関係も明らかになりました。ヒヨリを勇気づけるために自信の恋愛を語ったのですが、1年以上前に別れた相手のプリクラを未だに携帯に貼り続けているという。佐々本、水野ともに未練たらしくウジウジしている男で、当道は違うだろうと思っていたのですが、彼もまた引きずるタイプなんですねー。彼の場合、少しばかり事情は違いますが、それでも1年間連絡取れない相手をずっと待ち続けるって、なんて女々しいんだ、と。お前らみんな女々しすぎる。ヒヨリもどちらかというとそういう気質かな。そりゃひとり残った琴音も、開き直ったら男らしくなるわなぁなんて思った次第。
~終わりよければすべてよし?~
というわけで、本当にハッピーエンドなのかよくわからない終わり方だったのですが、いいじゃないですか、ヒヨリがそれで良いのなら。彼女が納得していれば、許そうと許さなかろうと、それで良いのです。水野は退学になったらしいですが、これからどうするんでしょうね。できれば琴音がどれだけ開き直るのか、後を追ってみたかったですが、無理か。琴音は前巻の件があるので、なんとなく担当さんから嫌われているのかな、と思ったり。
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