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Tag [新作レビュー] 2010.03.25
1102898769.jpg三島一彦「Vitamin Z」vol.1


みんな…
いったい
どんだけなのよっ…!!



■務めていた学校が潰れたところ、名門私立校「聖帝学園」にまさかの採用をされ赴任してきた新米教師・北森真奈美。こんないい話ありえるの…?とは思いつつも、あまりに簡単だった採用試験に不安を覚えていた。そんな彼女が担当することになったのは、芸術・芸能クラス、通称「ClassZ」。生徒数はたったの4人、イケメンばかりの「ClassZ」だけど、彼らは学園でも選りすぐりの問題児集団で…!?果たして真奈美は彼らを無事卒業へと導いてゆけるのか!?

 人気乙女ゲーのコミカライズでございます。新米教師が、名門高校の問題児クラスの担任になり、彼らを卒業に導いていくというお話。わけのわからない採用試験をクリアして、新米教師・北森真奈美が担当することになったのは、4人だけが所属する芸能・芸術クラス。喧嘩っ早いリーダー格の成宮天十郎、クールで面倒くさがりの不破千聖、人気アイドルグループのメンバーの多知花八雲、何もかも女性優先の嶺アラタ…見ために関してはトップクラスの彼らですが、バカな上に何かと問題行動の多い彼らは、他の生徒や教師陣から目の敵にされ、「A4(=アホ)」なんて呼ばれています。新米教師には難しすぎる相手…かと思いきや、熱意たっぷりの真奈美に彼らは感化され、徐々に学校・授業というものに目を向けていくように。そしていつしか打ち解けた彼らは…!?って話になっていくのかな、と思われます。とりあえず今のところは「信用してやるか」って段階。


Vitaminz.jpg
アホだけど、もちろん4人はいいアホ。多少アホな方が、よく動くし話も動きやすい。

 
 いきなり登場人物が多いのですが、これ原作だとルートどれくらいあるんですかね?まず先にご紹介したA4、そして彼らのクラスの各個性派教科担任がおり、さらにA4に敵対する生徒会のイケメン秀才兄弟が登場、物語に絡んできます。これだけ登場すると、原作ファンでなくては覚えられないんじゃないかと思ったのですが、読んでても意外と気になりません。それは、教師陣が今のところあまり登場しないからってのもあるかもしれませんが、それぞれA4やP2など、ユニット分けしているのが一番大きいのかな、と(なんか「花より男子」を思い出しました)。こういったセパレートの仕方は上手。原作もので人数多いときは、こうはできなくとも、これに準ずるような分け方をしてもらえるとありがたいと思いました。
 
 ストーリーはあってないようなものなのかもしれませんが、なんだかもったいないような感じでした。物語早々に、真奈美は生徒たちの信頼を勝ち得てしまうのですが、これ物語的には、「ごくせん」 チックに打ち解けるのに1話~3話くらい使って良かったんじゃないかな、とも。またP4はそれぞれ特別な力があるらしいのですが、物語中でそれに関する描写は一切なし。芸能・芸術コースなのですが、アイドルユニットに所属している八雲以外は、どうしてこのクラスにいるのか不明。これって結局なんなんでしょう。どうせならもっと強調しても良いと思うのですが、恋愛シミュレーションだと別に必要ないんでしょうか。ストーリーでなくキャラ重視なのはわかりますが、どうにもわかりやすい属性のみ追いかけてしまって、キャラすらぼやけているような気がしてなりませんでした。
 

【男性へのガイド】
→これはどうだろうか。乙女ゲーなので、難しいところです。
【私的お薦め度:☆    】
→私は乙女ゲーのコミカライズは向かないということを確信しました。いや、この作品に限らず。評価が低いのではなく、評価できない感じなので、額面通り受け取らない方がよいかと。


作品DATA
■著者:三島一彦、D3パブリッシャー
■出版社:アスキーメディアワークス
■レーベル:シルフコミックス
■掲載誌:シルフ(Vol.6~)
■既刊1巻
■価格:580円+税
■購入する→Amazon

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