
願わくば
互い互いの
たったひとりでありますように
■2巻発売しました。
「ひとりで外食できる」「仕事が結構好き」「買い物は一人が気楽」「しっかり者だと言われる」…一つでも当てはまった貴方は、おひとり様の素質あり!?文字通り、恋人なしで一人で生きる女性から、恋人がいても一人の時間は目一杯楽しむ人まで、「おひとり様」の定義は様々。ときに気楽で、ときに寂しい、おひとり様LIFEを、名手・谷川史子が描きます!
タイトル通り、「おひとり様」を描いた読切り集でございます。一口に「おひとり様」と言っても、文字通り「独身である」とか「特定のパートナーがいない」といった人だけでなく、「パートナーはいるけれども物理的に離れている」という人や、「パートナーはいるけれども心が離れている」という人も含まれ、割と自由に物語が描かれています。主人公は大体20代~30代の女性。そのほとんどの女性は、仕事していたり学校に行っていたり(当たり前か)。したがって、それだけで良くも悪くもスケジュール的には充実していたりするわけですが、ふと寂しくなるときも。そんなおひとり様たちの日常に訪れる、少しだけの、本当に些細な変化を、谷川史子先生が繊細に描き出します。

基本は恋愛を絡める。おひとり様と恋愛は、永遠のテーマでもあります。
谷川史子先生が描く作品ってことで、読む前からほぼオススメは決定しているわけですが、それにしてもこの「おひとり様」というテーマはずるいなぁ、と。「独身」とか「パートナーがいない」という女性ならまだしも、そうではなく、物理的にも心理的にもパートナーと離れていればそれでOKという緩いルール。そして谷川先生の描く作品に登場する女性たちは、高確率ですでにそのルールに当てはまっているという(笑)それゆえに、このテーマなんてあってないようなものなのですが、だからこそ先生の持ち味を存分に発揮できるということでもあるわけで、相変わらず非常に読み心地の良い作品が連なっています。
シチュエーションでいうと、なんとなくぼやっとした印象のある「おひとり様」ですが、要はしっかり者で、ひとりでいる時間を満喫できている人のことを指すのかな、と個人的には思います。そういう人、あなたの周囲にもいませんかね?私の知り合いにも一人、まんま「おひとり様」な感じの女性がいるのですが、ちょっとその人に読ませてみたいな、と思ったのでした。
短めのストーリーなので、物語の中ですべてが完結みたいなことにはなりません。これからスタート…!という感じの話が多く、読み終わった後前向きな気持ちにさせてくれます。一人でいることも、二人でいることを選択する事も、どちらも正解というスタンス。大事なのは、自分で決める事。自分で選んだ道は、例え思わぬ答えが待っていたとしても受け入れられるものなんですよね。それが結果的にストーリーの前向きさに繋がっているように思います。それは実生活でも大事な事。しかしこれ、男だけの「おひとり様物語」とかだと寂しくむさ苦しいんだろうなぁ。
【男性へのガイド】
→男女関係なく読みやすいと思います。だって谷川史子先生ですしね。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→読後感の良さは相変わらず抜群。ファンの方も、そうでない方も。清々しく前向きな気持ちになれる一冊です。
■作者他作品レビュー
谷川史子「手紙」
谷川史子「P.S.アイラブユー」
作品DATA
■著者:谷川史子
■出版社:講談社
■レーベル:ワイドKC KISS
■掲載誌:(2008年No.5~)
■既刊2巻
■価格:667円+税
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