
はじめてきいた
かわりなのに
かわりなんかじゃないその言葉
■料理上手な母のおかげでおいしい料理しか受け付けなくなっていた純可。母が亡くなった後、唯一口に出来たのは、爾好の作る料理だけだった。はじめて言葉を交わしたその日から、爾好は純可の専属料理人として、彼女に料理を作り続けている。食べる者と作る者…それ以上でもそれ以下でもない、不思議な関係。けれどもお互いの心の中には、今までとは違う感情が芽生えはじめていて…!?
平間要先生の初単行本だそうです。高飛車な性格・態度の持ち主であるヒロイン・純可は、幼い頃から料理上手の母の料理に食べ慣れたせいで、少しでも美味しくない料理は受け付けないという、変わった体質の持ち主。しかしその母は3年前に他界。以来母に代わって彼女に料理を作り続けるのは、同じ学年の男の子・爾好。食べるものがなく困っていた純可に手作りのお弁当を差し出し、それが気に入られ、以来彼女の専属料理人として、生活のほとんどを共にしてきたのでした。3年間ずっと、食べる者と作る者という関係にあった二人ですが、その関係にだんだんと変化が訪れ…というお話。
このヒロインはいわゆるツンデレ系に分類されるんですかね?いや、愛情の裏返しとはいえ、ちょいと不器用がすぎてわがままに見えてしまうので、少し違う気もしますが。ストーリーとしては、既存の関係を越えて新たな関係を築けるかというもの。料理という、決して切り離せないもので繋がっている二人はは、すでに特別な関係で結ばれており、他人が介入する余地はなし。しかし料理以外に関しては、介入の余地があるということで、ヒロインは不安・不満をためる事になります。人一倍不器用で、人一倍独占欲が強いヒロインの要求に、精一杯誠実に応える爾好の姿が、なんとも素敵に映ります。

口調のキツさは不器用さと必死さの表れ。端から見るとキツいですが、内面理解すると可愛いのですよ。
爾好のヒロインへの信頼は、料理が認められた時点で築かれているので、物語はどちらかというとヒロインが爾好との繋がりの強さを確認するという流れが多いです。不安感から、余計に強く言ってしまうのですが、すこしお子様すぎる気も。それが他にない個性を生み出しているのですが、同時にヒロイン仁感情移入できないと、物語を存分に楽しむのは難しくなってしまう可能性もあるという。おそらく元は読切りの作品で、1話目でくっついたような状況になります。故にそこから物語を展開するのはなかなか難しく、1巻でサクッと完結したのは正解だったように思います。
デビュー作ではないのですが、作品が進むごとに絵が固まっていっているように。最初はかなり粗い感じだったのですが、気がつけばしっかり見れる絵になっていたので、驚きました。これからどんどんキャリアを重ねて…という作家さんです。
【男性へのガイド】
→このヒロインを属性的に見ることが出来るかが、一つのポイントとなるように思います。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→ノリやストーリーは白泉社のそれですが、キャラや話運び、絵がまだまだ粗い。読切りの黒髪女の子が可愛かったので、今度は黒髪ヒロインを希望したいところ。
作品DATA
■著者:平間要
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:花とゆめ(平成21年5月号別冊付録~22号)
■全1巻
■価格:400円+税
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