
広瀬くんと同じ高さから見える世界は
とてもキレイだった
■ひよりは、とっても人見知りでとっても体の小さい高校1年生。入学式前日に交通事故に遭い入院していたため、みんなより遅れてのスタートとなった高校生活。初めてのクラスである上に、遅れてのスタートということで、不安を感じていたひよりでしたが、隣の席になった広瀬くんの助けもあり、次第にクラスに馴染む事に成功。そして気がつけば、広瀬くんに恋をしていました。いつも周りに人がいて、明るく楽しく、そして背の高い彼は、自分とは何もかもが正反対なのですが…!?
月末にりぼんコミックスのレビューとか…今月は消化率悪めでお送りします。さて、ということで雪丸もえ先生の巻数つきのコミックスです。表紙からも分かる通り、身長差のある二人のお話。ヒロインは、人一倍人見知りな性格のひより。入学前に事故に遭い入院していたために、周りから遅れての高校新生活。そんな彼女のとなりの席になったのが(状況的には、彼女が隣に来た)、身長190センチの男子・広瀬くん。実に身長差・50センチ。しかし正反対なのは身長だけだはありません。明るく誰にでも親しげに接する彼は、いつもクラスの輪の中心。ひよりも彼によって、クラスに馴染んでいきます。そして気がついた時には、恋…。けれどもただでさえ人付き合いが苦手なひよりが、簡単に近づいていけるわけでもなく…というお話。

こういう引きの構図が好き。シンプルだけど、それが良い。二人のまっさらでピュアな関係を表しているようで、こういう話にはしっくり来ます。
物語はとっても基本に忠実。昔ながらのりぼんの恋愛もののエッセンスをしっかりと引き継いだような作品になっています。ゆえにインパクトには欠けるものの、こういうストーリーのほうが、おじさんとしては安心ですよ、うん。特に最近のりぼんは、なんだか変な方向に走りつつあるので、余計に。
この作品で特筆したいのが、相手役の広瀬くんでしょうか。とにかくプレイボーイの匂いがプンプンします。それも努力で身につけたようなものでなく、ナチュラルボーンな感じですよ。例を挙げるならば、「あずきちゃん」の勇之助くんのような。風早くんに代表されるような、いわゆる爽やかさとは違うフォロー、サポートの上手さが、ムカつくほどにしっくりくるというか。本当に自然に振る舞っているだけなので、結果的な「気遣い」も、本人的には「気遣い」でないという感じがビンビン伝わってくるんですよね。それが同じ男から見ると悔しい(笑)努力型のプレイボーイ(Ex.「花より男子」の西門)は好きなのですが、天才型のプレイボーイは応援できない、男の悲しい性ってヤツですよ。うわーん。
二人だけの関係を追っていっても良いのですが、それだけだとさすがに退屈…ということで、広瀬くんの近くにとっても魅力的な女の子を配置。ヒロインの心情及び物語の状況を引っ掻き回します。物語の盛り上がりは、彼女にかかっているような気がします。大人しすぎると退屈な恋物語になってしまうし、逆に動きすぎると物語が壊れてしまう。序盤のキーとなるべき冨永さんに注目です。
【男性へのガイド】
→オーソドックスな初恋物語がお好きな方は。低年齢向けとして、基本中の基本を抑えたような、安心の出来です。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→出来はいいと思いますが、そのぶんワンパンチ足りない印象。こういう作品があるっている安心感はものすごいですが、それと作品の評価はまた別な気もするわけで。
作品DATA
■著者:雪丸もえ
■出版社:集英社
■レーベル:りぼんますこっとコミックス
■掲載誌:りぼん(平成21年12月号~)
■既刊1巻
■価格:400円+税
■購入する→Amaozn