
エクソシストともさ
俺が勝ったらご先祖様のかわりに仲直りしたいんだ
だからがんばるよ
■学校に潜む吸血鬼の噂を聞きつけ、転入してきたのはエクソシストの娘・マナ。どうやって正体を暴き、どうやって捕らえようかと画策していたマナだったが、入学してびっくり。そこには現代風に進化し、輸血で栄養を取っているヘタレ吸血鬼・岡本くんの姿が。エクソシストが現れてもなんのその、むしろ友好的に接してくる彼に、マナの調子は狂いまくり。気がつけば、捕らえるどころか仲良く一緒に行動していて…!?
村崎翠先生の、デビュー作&初連載&初コミックスでございます。いやぁ驚き、デビュー作とは思えないほど熟れていて、読みやすく楽しい作品となっています。お話は、現代風に進化したゆるゆるの草食系吸血鬼・岡本くんと、ツンツンなエクソシストの末裔・マナが繰り広げる、学園ラブコメディ。昔と違って、今ではすっかり廃れたエクソシスト業。そんなエクソシストの末裔であるマナの元に、数年ぶりにターゲットが見つかったとの情報が。相手の居場所は学校ということで、彼女は生徒としてその学校に転入します。しかし入ってびっくり。そこには「吸血鬼」のイメージとは程遠い、現代風の男の子がいただけなのでした。
自分が吸血鬼である事はとっくにカミングアウトしており、食事は吸血ではなく輸血、昼もニンニクも十字架も平気な吸血鬼・岡本くんの性格は、明るくヘタレな草食系。敵であるはずのエクソシストが現れても、闘うわけではなくあくまで平和路線を進み、「人を襲わないのだったら問題無いよね?」とマナを納得させます。結局捕われずに終わった岡本くんは、どうせならエクソシストとも仲良くなりたいと、マナとも積極的に接するようになるのでした。一方のマナも、ペースは崩されつつも彼の魅力を知り、少しずつ打ち解けるように。気がつけば、特殊な能力を持った名(迷?)コンビとして、様々な出来事に首を突っ込んでいく事になります。

登場人物のキャラがみんな立っている中でも、ひと際活き活きしている(状況的にはむしろ何もできない感じなことが多いのに)のはヒロインのマナ。きっとリアクションがいいんだ。そうに違いない。地味な感じが逆にいいですよね。
基本はコメディ。キャラと属性をふんだんに活かしたテンポの良い掛け合いで、笑いを誘います。これホントに新人さんなんですかね?同人で実績残してたのかもしれませんが、それでもやっぱり読みやすいです。ツンツンながらも自分のペースに持っていけず困惑するヒロインをはじめ、とにかく明るく優しい性格で臆病な岡本くん、イケメンだけど田舎者で女性が苦手な夢魔・志水くん、メインキャラとなる3人みんながキャラ立ちしていて、みんな活き活き、そして動かしやすそう。マナの幼なじみで単純バカのエクソシストも、もしかしたらこれから話に絡んできそうで、楽しみですね。この手の話は最初からやたらと登場人物が多くて、覚えきれないということが得てしてあるのですが、収録6話でメイン4人と、スッキリしています。たぶんテンポの良さやキャラだけでなく、その辺も読みやすさに繋がっているのかも。
ストーリー的な広がりは、岡本くんとマナの恋愛のみになってきそうですが、お化け・怪物その他オカルト系は何でもござれな上に、学園の行事も絡めることができるということで、コメディとして考えるのならばネタには困らなそう。キャラが好みかどうか、そしてノリが合うかどうかで好き嫌いが変わってきそうですが、個人的にはどちらもヒットでした。いわゆるお耽美やシュール系の笑いではなく、どちらかというとわかりやすいかわいらしいネタが多いので、連載誌から受ける印象以上に男女関係なく読みやすい内容に仕上がっていると思います。まぁぶっちゃけるとヒロインのマナが可愛いかったので、それだけでもうごちそうさまなんですけどねー。
【男性へのガイド】
→男たちは基本ヘタレで鼻にかからないかと。ヒロインもかわいらしいので、ノリが合えば男性でも全然いけるはず。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→キャラを活かしたコメディは、その人の笑いのツボやキャラの好みが大きく関わってくるので、あまりオススメはしにくいんですが、いやこれは好きですね。楽しく可愛い学園コメディでした。
作品DATA
■著者:村崎翠
■出版社:アスキーメディアワークス
■レーベル:シルフコミックス
■掲載誌:シルフ(Vol.6~)
■既刊1巻
■価格:580円+税
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