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Tag [続刊レビュー] 2010.03.31
作品紹介→かわい千草「101人目のアリス」


1102890019.jpgかわい千草「101人目のアリス」(4)


それでも好きだったのよ
あなたのチェロも
あなたのバッハも
あなた自身も



■4巻発売です。
 ヴィックのキスシーンを目撃したアリスは、なぜか動揺を隠せず、ヴィックの顔をまともに見ることができない。そして二人の間に微妙な溝が開いたまま、学校は学園祭の準備で慌ただしい空気を纏うようになる。アリスのクラスの出し物は、演劇。そこでアリスは、女装してシンデレラを演じさせられることになる。アリスは断固反対するも、周囲の意見に押し切られ、渋々了承。ヴィックとの関係に女装、そして迫り来る発表会…アリスの悩みは尽きないけれど…!?


~クレア一色の4巻~
 前巻ラストにて、アリスの女装が決定。一部の方はさぞ期待して4巻を購入なされたことと思うのですが、期待を裏切ることはなく、しっかりと女装してくれました。しかし4巻のメインとなったのは、体を張って話題を作ったアリスではなく、今まで脇役に徹していたクールビューティー・クレアでした。
 クレアというと、群れることを嫌い、あくまで自分主義の冷静沈着(冷酷)なお嬢様というイメージ。3巻まではあくまで脇役の一人という感じで、彼女の良い面を描かれることもほとんどなく、メインキャラには一歩及ばないというような立ち位置でした。それが今回は、物語に終始絡んできます。そして見えてくる、彼女の素敵な部分。
 

~恋する乙女としてのクレア~
 まずは恋する女の子としての顔。突如として現れた彼女の想い人は、彼女にチェロの存在を教えてくれた、何歳も年上のゲイの男性。ゲイという時点で彼女の想いが届くことはないのですが、それでも彼女は頑に彼のことを思い続けます。諦めようと努力することはなく、その想いを大事に大事に育ててきたという。なんだ、なんだこの健気さは。こんな一面を隠しもってるなんて、反則ですよ、反則。そして彼と再び対面し、彼が恋人と別れたと知った時のクレアの行動がまたかわいかった…
 
101人目のアリス私は、つき合ってるの

 出たー!!ベタすぎるこの反応。冷静沈着なクレアがこんな行動に出るなんて、お前どんだけ好きなんだよ、と。普段どんなに大人びて落ち着いていても、好きな相手の前では、ただの恋愛下手な15歳の女の子。しかもその後そのことをアリスに笑われても、素直に認めてしまうというひよりっぷり。もうギャップがありすぎてニヤニヤしっ放しでした。
  

~頼れる存在としてのクレア~
 クレアは見た目通り素直ではない性格で、言葉では「友達なんかどうでもいい」なんて言っていますが、実は人一倍他人を気遣える女の子なんです。いや、気遣わざるを得ない役回りといったほうが正しいのか。例えばキスシーンを目撃して以来、ギクシャクしているアリスとヴィック。ヴィックはそのことに困り、クレアに愚痴半分で相談しにいき、彼女から助言を貰います。学年はヴィックのほうが上。しかしこのシーンでは、むしろクレアの方が上に感じてしまいました。歳上でも頼りたくなる、その落ち着き。わかりますよ、うん。
 
 またアリスとの会話シーンでも、彼女のその頼られっぷりが実によく出ていて面白かったです。最初はクレアが自分の恋の話をしていて、アリスに「どうしたらいい?」と尋ねるのですが、なぜかまわりまわって最後はアリスが励まされて終わるという(笑)あれ、いつの間にアリスの相談コーナーになったんだ?と、そしてクレアの質問はどうなったんだ?と。こういう最後まで頼られるポジションの人って、実際にもいますよね。


~色々な格好が見れたんですよ~
 そういえば、4巻はクレアのプチファッションショー状態でした。普段は制服一択の彼女ですが、先の画像にもあるとおり、ジャージ姿で登場。あまり活動的でない印象の彼女がジャージ着るとか、予想外の破壊力にやられてしまいました。いいですよね、ロングヘアーにジャージ。なんかこう、相容れない何かが奇跡的に融合したかのような感動を覚えます…って私は何を言っているんだ。また後半には…

101人目のアリス4-2きぐるみ

 きぐるみで登場。しかもまさかのコスプレーヤー発言です(違う)。正直アリスの女装よりも、個人的にはこちらの二つの方がよっぽど印象的だった4巻。本当にクレアを推していた身としては、嬉しすぎる展開でした。


~せーちゃんに似ているよね~
 彼女、誰かに似ていると思ったら、「星は歌う」(→レビュー)のせーちゃんだ。せーちゃんほど胡散臭くはないものの、高飛車なお嬢様キャラで黒髪ロング、そして年上の相手に叶わぬ想いを抱いているあたり、そっくりです。ただクレアの方が素直な分、イタさがないという感じでしょうか。

 5巻へのひきは特になし。これからどう展開するかはまったくわかりませんが、相変わらずのペースで楽しく気楽に進んでいくのでしょう。また5巻が発売されたらレビューする予定です。
 

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