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Tag [オススメ] 2010.04.01
07152871.jpg森ゆきえ「ブレイク・カフェ」(1)


オレが苦しいなら
他の人間もみんな苦しめばいい!!



■5巻発売しました。
 本日いよいよ、私達の店がオープンします!寿々子と兄ちゃん、二人で経営するオシャレなカフェは、毎日閑古鳥がないていた…?それもそのはず、バカな兄は不動産屋に騙されて、見晴らしのいい自殺の名所の土地を購入。そんなところにお客など来るはずもなく、来るのはもっぱら兄の元カノや借金取り。たまにお客がきても、バカな兄のせいでリピートされることもありません。お客のいないそのオシャレなカフェには、兄の奇行による騒音と、寿々子による殴打の音が鳴り響くばかりであった。
 
 森ゆきえ先生が描くギャグマンガ。気がつけばもう6年連載していることになるんですね。すごい。物語の舞台となるのは、寿々子と兄の二人が経営する、見晴らしのいい崖上にあるカフェ。「見晴らしがいい」と言えば聞こえは良いものの、実際のところは自殺の名所として有名な断崖絶壁。普通のお客さんなど来るはずもなく、たまに来るのは借金取りや二人の知り合いなど、ごくごく限られた人たち。奇跡的に普通のお客さんがきても、アホな兄の奇行によって、高確率で逃げられてしまうという、本当に救いようのない店なんです。そんなカフェで繰り広げられる、ハイテンションでとにかくバカな日常を、寿々子の的確なツッコミと共におくっていきます。


ブレイクカフェ
ハイテンションに変態な兄に、全力で突っ込む妹。この作品が崩れないのは、常に的確なツッコミを飛ばす寿々子がいるからだと個人的に思っています。


 少女漫画のギャグって何気にレベルが高いと思うのですが、森先生もまたそんなギャグ少女漫画界を支える人気作家さんの一人。元々りぼんで「めだかの学校」を連載していたので、ネタはわかりやすいものが多く、比較的広い世代に受け入れられそうな印象があります。特筆すべきは、その力技。ページ数やコマ割り的にも、少し大味なところはあるのですが、それゆえのパワフルさがこの作品にはあります。しかも結構な確率でヒットさせてくるから侮れません。「なんでこんな下らないネタで笑ってんだろ…」きっとあなたも読んだらそう呟くこと受け合いです。
  
 基本は勢いと変態ということで、もしかしたら少年漫画的に見れば、あまり新鮮さはないのかもしれません。但しそれはあくまで少年漫画的なギャグ絵であることが前提で、それが少女漫画絵だとまた違って見えてくるから不思議。あ、これ少年漫画だったら外野フライだな…っていうネタがホームランになったりするイメージ。いや、たぶんネタ自体もなんだかんだでクオリティ高いのかも。それを高く見せない技術…みたいな。
 
 長期連載すると、マンネリ化してくることが多いのですが、この作品に限って言えば、マンネリどころかパワーアップすらしている感があります。どこまでこの勢いで突っ走れるのやら。非常に気楽に読める、良作ギャグ漫画だと思います。


【男性へのガイド】
→男性でも普通に楽しめる作品かと思います。笑いのツボは人それぞれですけど。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→勢い衰えず突っ走るそのパワフルさに脱帽。面白いですよ。


作品DATA
■著者:森ゆきえ
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット(平成16年No.11~)
■既刊5巻


■購入する→Amazon

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