硝音あや「S・L・H ストレイ・ラブ・ハーツ」(1)


このポンコツハート…
泣きたくなんてないのに…


■４巻発売です。
　普通の女子高生・梢ひよきは１６歳の誕生日、夢の中でタトゥを持つ白銀の髪の男
心臓（ハート）を奪われてしまう。以来ひよきは感情を失い、何をしても何が起きても何も感じなくなってしまう。そんな中、両親の単身赴任により転校した全寮制の聖ナザレス学園で、あのタトゥとそっくりの紋章を、とある寮にて発見する。奪われた心臓を見つけるきっかけになるのではと、ひよきはその紋章があった寮・S寮に早速入寮するも、そこには空き部屋がなく、ひとつ屋根のしたでルームシェアすることになってしまい…!?

　硝音あや先生の人気連載作でございます。奪われたハートを取り戻すため、手がかりである紋章のある学園寮に入りてんやわんやするという、逆ハーレム学園ラブコメです。ヒロインは、夢の中で心臓を奪われて以来、無気力無感情な毎日をおくっている女子高生・梢ひよき。ある日両親の都合で転校した先で、彼女は心臓を奪った男にあったタトゥと同じ紋章のある学生寮を発見します。奪われたハートを取りもどすため、早速彼女はその寮・S寮に入寮するのですが、そこにいたのは個性派揃いの男の子ばかり。しかも空き部屋がないから、とりあえず一定期間ごとにルームシェアという形で各部屋を回ってくれとのこと。最初は嫌がった彼女ですが、これもハートを取りもどすためと同じ部屋での生活を決意。新たな学生生活をスタートさせていくことになります。



キャラ重視。ゆえにみなさん濃いです。

　
　これだけだと説明不足になりそうなので、さらに捕捉を。心臓を奪われ無気力無感情になったヒロインが、男の子達と生活を共にしても面白くないんじゃないかという懸念があるりますが、彼女が入寮したS寮には彼女の事情を知る男がおり、彼女の空っぽのハートにニセモノのハートを収めます。これにより、ヒロインは感情を回復。しっかりとヒロインを全うしてくれます。また無駄に同じ部屋に住まわせるわけではありません。彼女は他人の夢を見て入り込むことができるという“夢見”の能力を持っており、そこで主にハート探しをすることになります。容疑者はS寮の住人たちですので、部屋を渡り歩いてそれぞれシェア生活をするというのは実に理にかなった方法。ちょっとした設定によって、夢のような生活を自然に物語中に再現しています。
　
　基本的には逆ハーレムを存分に楽しみましょうというお話。「薔薇嬢のキス」(→レビュー)もそうですが、本当に設定がうまいですね。オタク系の雑誌ですので、相手役は軒並み濃いめ。ゆえに男性からすると結構とっつきにくい部分はあるかもしれません。ただヒロインのひよきは気弱だけどちょっとおせっかいなところがとってもかわいいです。


【男性へのガイド】
→繰り返しになりますが、やはり男性陣のキャラの濃さがかなりハードルを高くしています。ヒロインが一縷の望みになるか。
【私的お薦め度：☆☆☆　　】
→手堅く読みやすい作品。読み手は選ぶと思いますが、こういうの好きな人は一定数いるでしょ。


作品DATA
■著者：硝音あや
■出版社：アスキーメディアワークス
■レーベル：シルフコミックス
■掲載誌：シルフ（Vol.1～）
■既刊４巻
■価格：各580円＋税


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