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Tag [新作レビュー] 2010.04.10
1102902385.jpgキリシマソウ「忍びよる恋はくせもの」(1)


僕は…
どうしたらいいですか……



■忍者の家系に生まれた奏は、主である東城恵吾に絶対服従を誓い、彼の側に仕えていた。そんなある日、恵吾の通う男子校には東城家の仇敵・豊田詠士も通っていることを知った奏は、恵吾のためにと、詠士の命を狙うことを決意する。そのため、恵吾の同級生として学校に潜り込み、近くからそのチャンスを伺おうとしたのだが、相手がどうにも一筋縄ではいかずペースが乱されてしまう。また奏には、誰にも言えない大きな秘密があり…!?

 人気イラストレーターらしい(←すみませんイラストレーターさんにはあまり明るくないので…)、キリシマソウ先生の初コミックスです。主人公は、主人である高校生・東城恵吾に忍として仕える、奏。お話は、奏が昼間も恵吾の警護をすることになる(=一緒に学校に通うことになる)というところから始まります。その理由は、単に恵吾を守るということだけではなく、同じクラスにいる東城家の仇敵である豊田家の息子・豊田詠士の命を狙うため。早速恵吾の同級生として学校に潜り込み、奏は詠士に狙いをつけるのですが、どうにも上手くいきません。というのも、何を思っているのか恵吾は詠士と親しげで、当の詠士も奏に興味津々という状況になってしまったから。その後流されるように、二人の学校生活をおくっていく奏でしたが…という流れ。


忍びよる恋はくせもの
そりゃあ優しくされたら殺せない。一度ためらってしまったが最後、仇はどんどん心の中に入ってくる。


 奏にはとある秘密があるということでしたが、それは奏が女であるということ。側近として仕える同年代の男の子との関係に、命を狙うべき仇が介入。しかも仇はあろうことか、奏に(恋愛的に)好意を持ってしまう…という、疑似BL的な作品。現時点では、仇である詠士との関係に悩む奏の姿というものがメインで描かれており、最も近くにいる恵吾の真意は見えないという状況。これから本格的に三角関係になっていくのだと思われますが、現時点でどちらに転ぶのかまったくわからないので、続きを読み進める楽しみがありますね。
 
 恐らくこのまま三角関係の学園ラブコメという路線を進むと思われるのですが、イベントからの展開のさせ方が熟れていて、非常に読みやすい作品に仕上がっています。疑似BLとは言ってみたものの、捉えかたによっては「僕っ子ヒロイン漫画」でもあるわけで、男性でも楽しめる要素はあるのかもしれません。振り回され系のラブコメがお好きな方はひとつ。


【男性へのガイド】
→基本的には女性が楽しむ用。僕っ子好きでキラキラした男キャラが苦手でなければ。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→ありがちといえばありがちなのかもしれませんが、まとまりが良いためにとても読みやすく仕上っています。この手の作品がお好きな方ならば、安心して楽しめるのではないでしょうか。


作品DATA
■著者:キリシマソウ
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:ビーズログコミックス
■掲載誌:コミックB's-LOGキュン!(2009年11月号増刊~)
■既刊1巻
■価格:620円+税


■購入する→Amazon

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