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Tag [続刊レビュー] 2010.04.12
作品紹介→ *新作レビュー*山田デイジー「ボーイフレンド」
2巻レビュー→これだけヒロインに厳しいのも珍しい《続刊レビュー》 「ボーイフレンド」2巻
関連作品レビュー→山田デイジー「ギリコイ」



1102894181.jpg山田デイジー「ボーイフレンド」(3)


はなればなれになるのなら
このまま時間が止まればいいのに



■3巻発売完結しました。
 美紀のいる私立校への編入試験にトップ合格した空木。このまま編入すれば、離ればなれになってしまう。そんな中、何かが変わりはじめた空木がとった選択とは…?そしていっぽうの聖姫は、家庭の事情からもとの学校に戻らねばならなくなってしまう。運命が二人を再び引き離す…!?二人の行く末やいかに!?


~完結ですが…~
 完結しました。まさか3巻で終わるなんて思ってもいなかったので、びっくりです。一応山田先生的には最高記録になるのでしょうか。読切りを同時収録しての、かけ足でのクライマックスに、思わず「どうしてこうなった…」と呟いてしまいました。3巻の見所は主に二つで、空木の編入試験合格に関するごたごたと、聖姫の家庭の事情による転校騒動になります。2巻までに提示されていた越えるべきハードルは、聖姫のトラウマ克服とライバルからの勝利。この二つを乗り越えて、晴れて物語として完結に至るわけですが、3巻にて、まさかのかけ足での回収。1巻での丁寧さはどこへやら、怒濤すぎる展開にびっくりでしたよ。

 これ単行本だからそう思えるだけで、意外と連載誌でリアルタイム追いしているのであれば受け入れられるものなのかもしれません。なかよし読者がどういったスピードのストーリーを求めているのかがわからないので、断言はできないのですが。とはいえラストはやっぱりかけ足すぎたなぁ…という印象が。


~同時収録の読切り「ともだち以下っ!」~ 
 さて、むしろ3巻の見所は同時収録の読切りの方だったのではないかと個人的には思ったり。朝から早起きしてメイクに励むモテモテなヒロインが、ある朝新聞配達をしている同じクラスの男子にメイク前の顔を見られてしまうというところから始まる恋物語。このヒロインがとってもかわいらしいんですよ。普段は計算通りに動き動かしのびのびと生活をおくっているヒロインが、相手役の男の子の前ではどうしても調子が狂ってしまうという、その様子がとっても愛くるしいのです。困った女の子の表情って、いいですよね。


ボーイフレンド
意地っ張りなヒロインがとってもかわいらしかったです。「バーカ!!」とかもうかわいい意外の何者でもないですよ。色々な意味で「お返し」ですね、はい。



~新連載もすぐに始まるはず~
 今度の新連載は結構な色モノキャラで、今回のようにトラウマや暗い影があるようなキャラじゃない方が個人的には嬉しいなぁ…と思ったり。恐らく早々に新連載を開始してくると思うので、期待して待ちたいと思います。あ、今回なんか辛口になってしまったのは、別に展開がどうとかいうことではなく、あまりにそのペースが早過ぎたという部分での愚痴みたいなものです。恐らくこのペースは作者さん自身が予想していなかったものだと思われるので、次こそは読者さんからの高い支持を得られるようがんばって欲しいな、と思っているのでございますよ。だって絶対デイジ―先生素敵な恋物語描くんですもの。


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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
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レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




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いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
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高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。