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Tag [新作レビュー] 2010.05.08
1102908495.jpg河内遥「はてなの花」


愛のコトバがずれ込んでゆく
この際どんなカタチでも
喜ぶ顔が見てみたい



■結婚3年目の主婦・ヨーコは、最近とある悩みを抱えていた。セックスレス。旦那が自分に反応しなくなって、もうすぐ半年が経とうとしている。セックスがしたいというわけではない、ただセックスがないと相手の心が確かめられない。そんな彼女の前に現れたのは、子供の頃に大好きだった少女漫画のヒロイン!?付録から飛び出してきたなのかちゃんに戸惑いつつも、夢見心地で様々なことを話す。思わぬ救世主の登場に、ヨーコの運命は…!?

 河内遥先生のリレーでの一作。倦怠期に悩むヒロインの目の前に、かつて好きだった少女漫画のヒロインが現れ、救世主となるというお話。区分はラブストーリーです。。。ですよね?飛び出すと言っても、生身の人間みたいな物が現れるわけではなく、付録の紙みたいなものがしゃべったり表情を変えたりするという感じ。その様子を見ることができるのはヒロインのみで、旦那にはただの紙人形にしか見えません。セックスレスと少女漫画。なんとなく相見えることのなさそうな二つが、この作品ではメインテーマとして描かれます。いや、セックスレスよりも、もっとすごいモチーフが出てくるんですが…


はてなの花
未来の自分へ向けた手紙を見て、懐かしいと思いつつも少し落ち込む。救世主のなのか自身は何もしてくれないが、変化を促すきっかけを与えてくれる。


 3年目でセックスレスというのは珍しいのでしょうか?結婚したことないのでわからないのですが、普通の恋人であれば3年というのはかなり早いような気もします。いや、実際に行為に及べるのであれば良いのですが、こちらの夫婦の場合は、夫が全く反応しないという状況。しかしそれには、ちゃんと理由があったのでした。その原因というのが、SM。表紙のヒロインの格好からもわかるように、旦那さん、友達に誘われて行ったSMクラブでまんまとハマってしまったのでした。そのことが妻のヨーコにバレてからは、SMプレイに挑戦するように。しかしヨーコからすると、SMプレイなんてのは不本意な行動であるわけで、自分と相手の感覚のズレに悩みを募らせるようになります。そしてそれを見守る、少女漫画のヒロインキャラ。なんとも不思議な関係性が構築されていますが、物語はさらに不可思議な関係性を形成。良くも悪くも“変”な作品になっています。

 SMと少女漫画。奇妙な三角関係から四角関係への変化。とにかく独特な設定・展開。ゆえにおすすめはしづらいのですが、私は不意にも私泣いてしまって(笑)書き下ろしにて完結したのですが、その書き下ろし部分がズルい。というかこれ、書き下ろしがなかったら物語として破綻していたんじゃないかという。ちなみに泣いた所というのは、最後に旦那さんが妻へとある言葉を贈るシーン。言ってみればこいつが全部悪いわけですが、最後に持っていたのもまたこの男だったのですよ。その言葉は、本当に情けなくてわがままで、どうしようもない言葉です。けれども、だからこそ沁みるといいますか。いや、たぶんあまりの情けなさに涙が出たんでしょうね。正直この一言がなかったらとんでもない作品だったんじゃないかと思うんですよ。でもあってよかった。ギリギリの所で、ちゃんと作品として形になってくれました。


【男性へのガイド】
→変な作品。男女向けとかあるのだろうか。しかし旦那の情けなさが身にしみるんだ。少女漫画というモチーフが大丈夫なら、多分大丈夫かと。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→さすがにおすすめはどうだろう。どうせ河内遥先生の作品を読むのであれば、「夏雪ランデブー」(→レビュー)とか「ケーキを買いに」の方が。泣いておきながら何言ってんだか。

■作者他作品レビュー
河内遥「真空片戀パック」
河内遙「へび苺の缶詰」
河内遥/墨染蓮「ラブメイク」


作品DATA
■著者:河内遥
■出版社:集英社
■レーベル:愛蔵版コミックス
■掲載誌:コーラス
■全1巻
■価格:930円+税


■購入する→Amazonbk1

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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