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Tag [新作レビュー] [4コマ] 2010.05.17
1102905654.jpg胡桃ちの「パパロバ」(1)


オレたちは
ここにこれから誰も見たことのない宿を作るんだ



■接客のプロ・なごみは、大失恋の末に務めていたホテルを退職。そんな中、同窓会に出るために地元に戻った際、高校時代の親友から、徳島での宿屋経営を手伝ってくれないかと持ちかけられる。実家は少々居づらいし、再就職先もないということで、宿屋経営を協力することに。親友の夫婦が経営と料理を、なごみが接客を、元カレの建築家がデザイン・建築を…「眺居座 ゆほびか」で、プロ集団が究極の癒し空間を提供します   

 胡桃ちの先生が描く、四国の小規模経営宿屋ライフ4コマでございます。ヒロインは、失恋の末に勤め先のホテルを辞めた26歳、なごみ。同窓会で地元に戻ったところで、高校時代の親友夫婦から、徳島で宿屋を経営するから手伝ってもらえないかと頼まれます。最初は一緒に開店準備をするだけ…という約束だったのですが、なんだかんだで乗り気になり、結局一緒に宿屋経営に携わることに。一日一組限定、極上の癒しのひと時を提供する、オーシャンビューの素敵な宿屋「眺居座 ゆほびか」で、騒々しくも楽しい毎日を過ごしていくことになります。


パパロバ
こういう女性ならではの視点というものは、とてもためになります。理想を詰め込んだような、素敵な空間をマンガで再現。


 癒し空間を提供する、お宿漫画。とはいえ作品が癒しに満ちた雰囲気系の4コマかというと、そういうわけではありません。むしろキャラはがっしり確立されていて、個性のぶつかり合い。淡く空気を壊さないように、なんてことはなく、むしろ色濃く自分たちが空気を作り出してやる!という勢い。宿屋経営に携わる友人夫婦は、元ヤン旦那に、そんな旦那を尻に敷く強気奥さん。ヒロインのなごみは、恋愛になると弱ものの、なんだかんだでちゃっかりしている抜け目のない性格。そこに宿屋のデザイン設計を担当する、なごみの元カレが加わるのですが、彼もまた気が強いんだ。だから歯に衣着せぬ会話がデフォで、ときに下世話な話題も。こういったノリもまた、芳文社きららにはないノリですよね。
 
 序盤は宿屋作りということで、ストーリー展開はあるのですが、後半はお客さんごとに様々なサービスを施すという形で、ストーリー的な進展ではなく、横の広がりで話を持たせます。双方が丁度良い分量で、いい塩梅。物語的展開は、これから恋愛方面で動くか動かないかという感じ。しばらくは宿屋で楽しいひと時を…という方向で持ちそうなので、ゆっくりとこちらは進展してもらいたいですね。また舞台となる宿屋は実在する宿がモデルとなっているそうです。一日一組限定って、どんだけセレブなお客たちだよ…なんて想像する方もいらっしゃるかもしれませんが、どうやら庶民でも十分手が届く範囲のよう。またレストランも同時に経営しているので、金銭的なやりくりは心配ないみたいですね。和気あいあいと楽しみながら宿屋経営。読む側は、経営側とお客側、双方の視点から楽しむことができる内容となっています。自分もいつか行ってみたいですね。まぁ行く相手がいないんですけど。


【男性へのガイド】
→まんがタイムなので、別枠。男性でももちろん楽しめます。一応ラブリー連載なので、女性向け感は出てますけど。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→安定感のある4コマ作品。あとは絵柄とノリの好み次第じゃないでしょうか。


作品DATA
■著者:胡桃ちの
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイムラブリー(2008年9月号~)
■既刊1巻
■価格:619円+税


■購入する→Amazonbk1

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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