このエントリーをはてなブックマークに追加
2010.05.18
1102850078.jpg鈴木有布子「Bino! Bino! (ビーノ!ビーノ!) 」


この「特別」は
俺たちだけの最っ高   に楽しい秘密なんだ



■秀の飼い犬のバンビーノ(通称ビーノ)は、大の仲良し。そんな二人(一人と一匹?)には、とある秘密が。物心つく前から家にある、不思議な枕で一緒に眠ると、お互いの体が入れ替わってしまうのだ。頭もよく、勉強も得意なビーノは、入れ替わっても全く問題なし。そのため度々入れ替わっては、お互いの日常を楽しんでいた。けれど人間以上に人間らしいビーノが、円という少女に出会った事から、秀とビーノの関係に変化が起こって…!?

 鈴木有布子先生がウィングスにて連載していた作品。今年はじめに発売されていたのですが、レビュー漏れしていたので、ネタ切れのこのタイミングでご紹介。主人公は二人。一人はごく普通の小学生・秀。そしてもう一人は、秀の飼い犬であるバンビーノ(通称ビーノ)。生まれたときから一緒に過ごしてきた、大の仲良しの二人には、家にある不思議な枕で一緒に寝ると、体が入れ替わってしまうという秘密が。ビーノは賢く、自由に外を歩き回ることができるため、入れ替わっても損はなし。そのため頻繁に入れ替わっては、お互いの生活を楽しんでいるのでした。人間よりも人間らしい、元気一杯、ちょっと生意気なビーノと、優柔不断で優しい性格の秀。いつも一緒の二人でしたが、ある日ビーノがとある女の子に出会ったことで、その関係性に変化が訪れて…というお話。


ビーノ
独特の感性を持った、不登校の少女との出会いから、それまでの楽しい雰囲気は一変。物語は一気に動きだす。厚みも増し、読み応えは十分です。


 入れ替わりものですが、相手は犬。入れ替わったら色々と支障があるのでは?と思うかもしれませんが、ビーノはとっても賢い犬で、勉強なんて朝飯前。苦手な教科のテストがある日には入れ替わって、秀の代わりにテストを受けるほど。犬だから、きっと従順な優しい性格だろうな…なんて思いきや、むしろ勝手気ままで元気一杯向こう見ず。そのため、やや自分を押し込める所がある秀よりも、人間らしく感じさせます。序盤はそんな二人が、入れ替わりで町の小さな事件を解決したり、好き放題に暴れ回ります。そして中盤、ビーノがとある女の子に出会い、物語は一気に転換。いつまでも変わらないと思われた二人の関係に、徐々に変化が生じはじめます。犬と少年、少年と家族、そして少女と犬。様々な関係性が物語の中に埋め込まれ、色々な味わいをもたらしてくれます。
 
 鈴木先生の作品を読むのはこれが初めてなのですが、どうやらこの作品、過去に出版された作品と繋がっているようです。秀の両親の恋愛を描いた「旬」、そして秀のお姉さんと現在の彼氏を通して家族の絆を描いた「丘の上のバンビーナ」、そして今回は、少年少女の成長の成長を描くといった感じでしょうか。それぞれ独立してはいるものの、やはり背景を知っていたほうが、より楽しめるのでしょう。秀の姉ともう一匹の飼い犬・バンビーナはかつて入れ替わりができたという関係を持っており、秀とビーノの秘密を唯一知っている良き理解者でもあります。姉が他の作品へと物語を繫ぐハブ的役割を果たしており、彼女の物語を知っているかどうかで、この作品に対する感想というのもだいぶ違ってきそうな気がします。度々挟み込まれる彼氏とのやりとりも、シリーズ初見だと必要性がわからなかったりなので。


【男性へのガイド】
→恋愛要素はほとんどなし。ちょっと不思議な少年と犬の物語です。感動をあからさまに狙ったような作りではないので、そういうのが苦手な男性でも全然大丈夫かと。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→前のシリーズを読んでから読めば良かったと今さらながら思ってしまったり。少女が登場して以降は、全く別の物語に。読み応えはあるも、ページ数的にそのペース配分はどうなのだろうと若干疑問。しかしこの作品を悪く思う人はいないでしょう。表紙やレビューで気になったら、買ってオッケーだと思いますよ。


作品DATA
■著者:鈴木有布子
■出版社:新書館
■レーベル:ウィングスコミックス
■掲載誌:ウィングス(2008年10月号~2009年6月号)
■全1巻
■価格:562円+税


■購入する→Amazon

カテゴリ「Wings」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。