作品紹介→高屋奈月「星は歌う」
6巻レビュー→ユーリがやってくれました《続刊レビュー》高屋奈月「星は歌う」6巻
7巻レビュー→傷を抱え寄り添う者たち《続刊レビュー》高屋奈月「星は歌う」7巻
高屋奈月「星は歌う」(8)
でもやっぱり
素直になるのは
難しい
■8巻発売です。
星空観賞会の夜、ユーリにお守り役の沙己との関係を指摘されて以来、なんだか調子がおかしい聖。小学生の時も、中学生の時も、沙己から“好きだ”と言われ続けても、まったく動じなかった聖だけど、高3の今、変化の兆しが?しかし彼女が好きだと言われても、素直になれなかったのには、とある理由があって…。一方文化祭を前に盛り上がる校内で、サクヤとユーリの親密な姿を目にした千広は、ある想いを自覚する…
~せーちゃんのための8巻~
帯には…
裏表紙側の帯には…
と書いてあり、どう見てもせーちゃんがヒロインになってます。というか、裏表紙のあらまし紹介も帯に隠されてしまっているので、説明だけ読むと一瞬なんの話かわからないっていう。しかし帯で大プッシュするくらい、今回はせーちゃんが大活躍の巻となっていました。恋の自覚から、恋のかけひき。今までにも、多少弱いところは見せていましたが、今回ほど振り回されて、赤面して、涙目になることはありませんでした。とにかくせーちゃんかわいいよ、せーちゃん。
言ったもん!
もうね、こんな顔とかされると、それだけでご飯2杯はいけちゃいます。だってこの表情、完全に恋する女の子が強情になった時の顔ですよ?今までも、ほくそ笑んだり、憂鬱そうな表情を見せたり、サクヤの前で悲しい表情を見せたりしたことはありましたが、こんな表情したことはありませんでした。少しだけ想いを寄せていた、先生に対してもです。というか先生のこと好きだった設定とかもうあっという間に消えていこうとしてますよ!?でも良いんです、だって今の恋のほうが、断然ニヤニヤできるんですもの。そして恋すれば恋するほど、記号化されたキャラクターのような振る舞いをする彼女。そしてついにこんな発言まで…
バカ犬!
高飛車な態度で素直になれないキャラのテンプレ台詞「バカ犬」をせーちゃんまで使うとは。普段のキャラも作られた感バリバリですが、焦って素が出てしまう時も、作られキャラっぽいというところが、せーちゃんらしくて素敵です。本当に本当の“素”が出るのは、気を許せるごくごく限られた相手だけ。そんな彼女がふと素の部分を見せたとき、私は嬉しくて、思わずガッツポーズしてしまうんですよ。
~サクヤとではない、もうひとつのせーちゃんの友情~
せーちゃんの一番の友達といえば、サクヤに他ならないでしょうが、二番目は一体誰なのでしょうか。順当にいけばユーリなのですが、もう一人せーちゃんと比較的距離が近い友人が居ます。それが生徒会長さん。ところでみなさん、生徒会長さんの名前わかります?せーちゃんったら、彼女のこと「アンタ」としか呼ばないので、今ひとつ名前が浸透していないような気がするのですが名前は…私もわかりません(´・ω・`) 誰か教えてください。
せーちゃんとセットで、星ヶ原二大美女として男子から羨望の目で見られる彼女は、生徒会長を務めるしっかり者(だと思う)で、あろうことか(失礼)ユーリに恋をしている素敵女子。彼に好きな人がいることを知り傷つき涙を流しても、その想いは変わることはない、一途な女性です。そしてそんなとき、いつも彼女の隣にいたのは、せーちゃんでした。言葉では厳しく突き放しつつも、なんだかんだで話を聞いてあげて、時には手助けもしてあげるせーちゃん。こういう友情ってのも、ありだと思うんですよね。

制服が高校のものとは異なるので、中学時代と思われる。その頃から、二人の仲は良かった。
ユーリの近くにいるというのも大きいのでしょうが、彼女たちは中学の頃からの付き合いがあり、よく一緒に行動していたみたいです。男子たちからも「仲が良い」と噂されているくらいですし、結構頻繁に一緒にいるのでしょう。例えユーリが目当てであっても、嫌われがちな自分に、近づいてきてくれることはそれなりに嬉しいのかな、と。8巻のラスト付近では、自ら彼女のことを「一応”友達“だし」と発言しています。これってせーちゃん基準でいったら、かなりの高評価だと思うんですよね。“友達”の定義をどうするかという問題はあるのですが、会長との関係は、ユーリとの関係よりもより“友達”らしい気がしてならないのです。
~千広さん、それはないっすよ~
さてさて、せーちゃんについてばかり話してしまいましたが、本筋のほうでも動きがありました。前述した帯の「サクヤたちにも恋の花…咲く!?」という部分ですね。今回動いたのは、サクヤではなく、千広の心。しかもサクヤと一緒にいるユーリの姿を見て、嫉妬するというところから動き出すという、まさかの展開。いや、確かに嫉妬というのは大きなきっかけになります。しかし千広は背景が背景だけに、そんな簡単なきっかけで動いては欲しくなかったな、というのが正直な感想だったりします。こと彼の場合は、サクヤのような家庭環境が問題となっているわけではなく、100%恋愛絡みのトラウマ。それを癒すのは、やはりそれに足るだけの大きな恋愛イベントなりを消化してからのほうが、物語的な説得力はあったのではないかな、と。
しかしながら、リアルだったらこんな感じのほうが多いのかもしれません。物語全体の雰囲気も、以前の辛気くさいものから、青春風びゅんびゅん吹かすようなムズかゆいものになって、多くの人が読みやすい状態になっていると思いますし(ここから読む人なんていないだろうけど)、これはこれでアリなのかな、と。というか、別のお話かのように面白いんですよ、これが。まだ全てが解決したわけではなく、また問題は再噴出しそうでもあります。9巻いよいよ大きく動き出しそうで、とりあえずはそちらを見守っていきましょうかね。
■購入する→Amazon
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bk1
6巻レビュー→ユーリがやってくれました《続刊レビュー》高屋奈月「星は歌う」6巻
7巻レビュー→傷を抱え寄り添う者たち《続刊レビュー》高屋奈月「星は歌う」7巻

でもやっぱり
素直になるのは
難しい
■8巻発売です。
星空観賞会の夜、ユーリにお守り役の沙己との関係を指摘されて以来、なんだか調子がおかしい聖。小学生の時も、中学生の時も、沙己から“好きだ”と言われ続けても、まったく動じなかった聖だけど、高3の今、変化の兆しが?しかし彼女が好きだと言われても、素直になれなかったのには、とある理由があって…。一方文化祭を前に盛り上がる校内で、サクヤとユーリの親密な姿を目にした千広は、ある想いを自覚する…
~せーちゃんのための8巻~
帯には…
影に日向にお守りします…
一生…命をかけて。
意地っ張りお嬢様・聖とお守り役・沙己がすれ違い!?
もどかしさに胸騒ぎする最新刊☆
一生…命をかけて。
意地っ張りお嬢様・聖とお守り役・沙己がすれ違い!?
もどかしさに胸騒ぎする最新刊☆
裏表紙側の帯には…
お守り役の沙己から“好きだ”と言われ続けてきた聖。
全く動じなかったけれど、変化の兆し!?
サクヤたちにも恋の花…咲く?
全く動じなかったけれど、変化の兆し!?
サクヤたちにも恋の花…咲く?
と書いてあり、どう見てもせーちゃんがヒロインになってます。というか、裏表紙のあらまし紹介も帯に隠されてしまっているので、説明だけ読むと一瞬なんの話かわからないっていう。しかし帯で大プッシュするくらい、今回はせーちゃんが大活躍の巻となっていました。恋の自覚から、恋のかけひき。今までにも、多少弱いところは見せていましたが、今回ほど振り回されて、赤面して、涙目になることはありませんでした。とにかくせーちゃんかわいいよ、せーちゃん。

もうね、こんな顔とかされると、それだけでご飯2杯はいけちゃいます。だってこの表情、完全に恋する女の子が強情になった時の顔ですよ?今までも、ほくそ笑んだり、憂鬱そうな表情を見せたり、サクヤの前で悲しい表情を見せたりしたことはありましたが、こんな表情したことはありませんでした。少しだけ想いを寄せていた、先生に対してもです。というか先生のこと好きだった設定とかもうあっという間に消えていこうとしてますよ!?でも良いんです、だって今の恋のほうが、断然ニヤニヤできるんですもの。そして恋すれば恋するほど、記号化されたキャラクターのような振る舞いをする彼女。そしてついにこんな発言まで…

高飛車な態度で素直になれないキャラのテンプレ台詞「バカ犬」をせーちゃんまで使うとは。普段のキャラも作られた感バリバリですが、焦って素が出てしまう時も、作られキャラっぽいというところが、せーちゃんらしくて素敵です。本当に本当の“素”が出るのは、気を許せるごくごく限られた相手だけ。そんな彼女がふと素の部分を見せたとき、私は嬉しくて、思わずガッツポーズしてしまうんですよ。
~サクヤとではない、もうひとつのせーちゃんの友情~
せーちゃんの一番の友達といえば、サクヤに他ならないでしょうが、二番目は一体誰なのでしょうか。順当にいけばユーリなのですが、もう一人せーちゃんと比較的距離が近い友人が居ます。それが生徒会長さん。ところでみなさん、生徒会長さんの名前わかります?せーちゃんったら、彼女のこと「アンタ」としか呼ばないので、今ひとつ名前が浸透していないような気がするのですが名前は…私もわかりません(´・ω・`) 誰か教えてください。
せーちゃんとセットで、星ヶ原二大美女として男子から羨望の目で見られる彼女は、生徒会長を務めるしっかり者(だと思う)で、あろうことか(失礼)ユーリに恋をしている素敵女子。彼に好きな人がいることを知り傷つき涙を流しても、その想いは変わることはない、一途な女性です。そしてそんなとき、いつも彼女の隣にいたのは、せーちゃんでした。言葉では厳しく突き放しつつも、なんだかんだで話を聞いてあげて、時には手助けもしてあげるせーちゃん。こういう友情ってのも、ありだと思うんですよね。

制服が高校のものとは異なるので、中学時代と思われる。その頃から、二人の仲は良かった。
ユーリの近くにいるというのも大きいのでしょうが、彼女たちは中学の頃からの付き合いがあり、よく一緒に行動していたみたいです。男子たちからも「仲が良い」と噂されているくらいですし、結構頻繁に一緒にいるのでしょう。例えユーリが目当てであっても、嫌われがちな自分に、近づいてきてくれることはそれなりに嬉しいのかな、と。8巻のラスト付近では、自ら彼女のことを「一応”友達“だし」と発言しています。これってせーちゃん基準でいったら、かなりの高評価だと思うんですよね。“友達”の定義をどうするかという問題はあるのですが、会長との関係は、ユーリとの関係よりもより“友達”らしい気がしてならないのです。
~千広さん、それはないっすよ~
さてさて、せーちゃんについてばかり話してしまいましたが、本筋のほうでも動きがありました。前述した帯の「サクヤたちにも恋の花…咲く!?」という部分ですね。今回動いたのは、サクヤではなく、千広の心。しかもサクヤと一緒にいるユーリの姿を見て、嫉妬するというところから動き出すという、まさかの展開。いや、確かに嫉妬というのは大きなきっかけになります。しかし千広は背景が背景だけに、そんな簡単なきっかけで動いては欲しくなかったな、というのが正直な感想だったりします。こと彼の場合は、サクヤのような家庭環境が問題となっているわけではなく、100%恋愛絡みのトラウマ。それを癒すのは、やはりそれに足るだけの大きな恋愛イベントなりを消化してからのほうが、物語的な説得力はあったのではないかな、と。
しかしながら、リアルだったらこんな感じのほうが多いのかもしれません。物語全体の雰囲気も、以前の辛気くさいものから、青春風びゅんびゅん吹かすようなムズかゆいものになって、多くの人が読みやすい状態になっていると思いますし(ここから読む人なんていないだろうけど)、これはこれでアリなのかな、と。というか、別のお話かのように面白いんですよ、これが。まだ全てが解決したわけではなく、また問題は再噴出しそうでもあります。9巻いよいよ大きく動き出しそうで、とりあえずはそちらを見守っていきましょうかね。
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