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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2010.05.25
360°マテリアル南塔子「360゜マテリアル」(1)


まっすぐに
胸の中に
消えずに残った
無垢なライン



■大高美桜は、勉強が少し苦手なごく普通の女子高生。ある日未桜は、駅のホームで空を見上げている、同じクラスの男の子・滝くんに遭遇。見ためはそれなり、纏う雰囲気はゆるふわで不思議系。勉強はできるけれど、ボーッとしているので色々わかりにくい。そんな彼が、空を見上げたままホームに落ちそうに…!美桜は間一髪で彼を助けるも、彼は状況がよくわかっていない様子。何やら飛行機雲を見ていて、明日の天気を予想していたんだとか。そして浮かべた、彼のやわらかな笑顔に、美桜はなんだかとっても幸せな気分に。それから、一緒に話すようになった二人は…!?

 南塔子先生の初連載作品です。南先生、おめでとうございます。読切りのときから、コンスタントに良作を生み出し続けていた南先生が、満を持して別マ連載。内容は予想通り…いや期待通りの、スタンダード恋愛青春ストーリーでした。ヒロインは、ちょっぴり勉強が苦手な女子高生・大高美桜。彼女はある日、電車のホームに落ちそうになったクラスの男子・滝くんを間一髪で助けます。ボーッとしていて、不思議系の男の子、滝くん。とっつきにくい彼と、そのことがきっかけで話をするように。ボーっとしているけど、纏う雰囲気は優しくふわふわで、時折見せる笑顔が素敵。一緒に過ごす時間を重ねるうち、美桜の中の彼の存在はだんだん大きくなっていくのでした。


マテリアル
悟られないよう色々頑張ってみるが、そんな余裕あるわけもなく。不器用に、けれど精一杯恋愛を頑張り、ひとつ一つの出来事に一喜一憂するヒロインの姿がとっても眩しいです。


 いや~、恋をするって本当にいいものですね。学生たちの派手でない普通の恋愛を、丁寧に丁寧に描くことには一日の長がある別冊マーガレット。久々に正当派の恋愛ものが来た気がします。ゆえに派手さはないですが、恋をすることの楽しい部分や嬉しい部分がぎゅっと凝縮されているので、読んでいてとっても幸せな気分になって楽しいです。相手役が天然系で、ユルかわということですが、ヒロインもまたバカ正直でユルめの雰囲気を纏った女の子。この二人が一緒になれば、もうふわふわーな空気が形成されるわけですよ。この空気感が心地よいです。そしてまた、ちょっとしたハプニングからのドタバタや、相手の一挙手一投足に過剰に反応してしまう、恋に落ちた時の諸症状がなんとも甘酸っぱいのです。
 
 読切りが長かったということもあって、一話目はこの上ないほどに素敵なお話となっています。スタートを切ったというところで切れるのですが、それでもこれが読切りとして載っていても全然大丈夫なほどに、爽快感がありました。そこからひとつ一つ、物語を消化していくのですが、くっつくくっつかないと引っぱることはなく、比較的順調に距離を縮めていきます。この二人なら、くっつかなくとも話は持つ気がしますが、初連載で長期化も約束されていないということで、この展開は致し方ないのかもしれません。そこでヒロインのライバルとなる女の子を投入。メイン二人で緩みがちな空気を、ピシッと締めるスパイスに。その子は中学生なので、そんなに暗い方向にはいかないはず。2巻以降の展開も楽しみ。これはちょっと応援したい一作です。


【男性へのガイド】
→ゆるふわで甘めのお話がお好きな方は。ただしどぎつい甘さではないので、ご安心を。相手役の行動が、受け入れられるかちょいと心配ではありますが。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→スタンダードな恋愛ものは好き。メイン二人が纏う優しくふんわりとした雰囲気も好き。もちろん少女漫画スタンダードなので、普通の恋愛模様ってわけじゃないですけど。話も今のところ丁寧で、続きが楽しみです。


作品DATA
■著者:南塔子
■出版社:集英社
■レーベル:別冊マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット(平成22年2月号~)
■既刊1巻
■価格:400円+税


■購入する→Amazonbk1

カテゴリ「別冊マーガレット」コメント (7)トラックバック(0)TOP▲
コメント

まず、この単行本の帯表紙ですが、これは和紙でしょうか?いい手触りでした。

恋愛部分の内容の面白さについては、いづきさんがすでに書かれているので、それ以外の印象に残ったことを書きますね。
携帯メールのやりとりのシーンは、イマドキの学園ものだと思いますが、「高校1年 仲秋の候」といった古風な表現も出てくるところが、なかなか渋い表現だと思いました。
また、理数系の豆知識も出てきますが、これも面白かったです。

ところで、いづきさんは「360°マテリアル」のタイトルには、どんな意味があると思いますか?
「マテリアル」は、直訳すると「材料・原料」ですので、私は「恋愛のきっかけ」といった意味だと思います。
From: シャドー * 2010/06/06 14:01 * URL * [Edit] *  top↑
こんばんは。

所々で見られる堅い表現は、正直なところあまり“使う意味”がわからなかったのですが、
全体的にふわふわしていている雰囲気なので、そういった空気を少し締めるといった狙いがあったのかもしれません。

タイトルの意味ですか…。
まったく思いつきません(笑)
恋の材料というのは、素敵な解釈ですね。
個人的には、なんとなく言葉の響きが良かったからつけた…に一票。

From: いづき * 2010/06/07 22:41 * URL * [Edit] *  top↑
初めまして。私もこの作品、別マで読んでなんとなく気に入って単行本まで買っちゃいました。こういうふわふわな絵やストーリーはいかにも女の子好みで男子受けはしなそうとか思っていたので、いづきさんの評価がけっこう高くてびっくりしました。この作者の読みきりの作品もぜひ読んでみたいです。

ちなみにタイトルの意味ですが、「マテリアル=素材→天然」ってことで、超天然な滝君のキャラを表してるのかなあとか勝手に思ってました。でも、なんだかんだ「言葉の響き」ってのが一番ありえそう(笑)

From: dina * 2010/06/17 01:07 * URL * [Edit] *  top↑
コメントありがとうございます。
男ではありますが、日常的に少女漫画を読んでいるので、こういう作風はむしろ大好きだったりします(笑)

読切りも面白いですよね。
また機会があればレビューしたいと思っています。

タイトル、どういう由来なんでしょうね。
言葉の響き以外の理由があると嬉しいですが(笑)
From: いづき * 2010/06/17 22:08 * URL * [Edit] *  top↑
こんにちは。

「360°マテリアル」2巻では、滝くんの元カノが出てきたり・・・・。

少しハラハラしましたが、それ以上に滝くんの行動にドキドキしてしまいました。
滝くんは少し変な所もあるけれど、とっても優しくて美桜ちゃん一筋なんですね(笑)

それと、これから始りそうな丸井くんの恋にも注目したいです。

あと、私は南 塔子先生にファンレターを送りたいのですが、住所をどこあてにしたらいいか分りません・・・。
なので、ファンレター用の住所を教えて下さい。

お願いします。
From: みるみん * 2011/01/06 16:04 * URL * [Edit] *  top↑
コメントありがとうございます。
滝くんは何考えてるかよくわからないですが、一途で安心感がありますよね(笑)

ファンレターの宛先がわからないのであれば、
別マの編集部に送れば大丈夫なのではないでしょうか。。。
すみません、自分はファンレターとか送ったことないものですから。
From: いづき * 2011/02/06 09:50 * URL * [Edit] *  top↑
そうですか^w^
それじゃあそうしてみます^A^
From: みるみん * 2011/02/08 20:53 * URL * [Edit] *  top↑

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