
俺達だ
俺達で明かすんだ
■明治維新後、「廃刀令」は施行されず、時の流れた現代・東京。今もなお帯刀の文化は続き、士族の末裔達にのみ帯刀が許されている。そんな士族の末裔が通う、名門男子高校「至誠館」。人に慣れない一年最強の剣士・九重晴馬と、晴馬のクラスに転入してきた貧乏剣士・高原伊吹。この運命的な出会いが、冷たく心を閉ざし孤立しがちだった晴馬を少しずつ変化させていき…!?
湖住ふじこ先生の初オリジナル連載作でございます。帯刀令が施行されず、未だ帯刀の文化が続いている世界が舞台の、疾走系剣士ストーリー。帯刀文化が続いていると言っても、帯刀が許されるのは士族の末裔のみ。彼らは若い頃からサムライとしての心と技術を学ぶため、剣士高校に集い切磋琢磨しているのでした。舞台となるのは、都内でも有数の名門男子高校・至誠館。そこに転入してきた貧乏剣士・高原伊吹は、ある日町中でケンカをする少年に遭遇。後日その姿を、同じクラスの中に発見します。その子の名前は、九重晴馬。周囲とコミュニケーションを取らず、孤立気味の彼は、剣の腕前は学年トップ。伊吹は興味を持って、彼に近づこうとするのですが…というストーリー。

ひっぱるのは伊吹。実力が高いのは九重。お互いに足りないところを補い合い、さらに新たな部分を引き出し合うという関係。バトルもの少年漫画っぽい!
表紙を見たときは一体どんなお話なのかと思ったのですが、帯刀令が施行されずに現在まで帯刀の文化が残っているという舞台設定。これを最初の1ページで説明し、あとは当たり前のように物語が進められていきます。お調子者で単純な貧乏剣士と、言葉足らずで不器用な剣士が出会う事で始まる、学園剣士ストーリー。物語の軸となるのは、とある有名剣士の起こしたとされる事件。生ける伝説として皆から尊敬された剣士が、一般人を殺め、本人も何者かに殺されたと伝えられている事件で、その剣士を信奉する二人が、その真相を明らかにしていくことで、物語は進んでいきます。
このレーベルらしく、イケメン達が多数登場。一つの謎を追いかけていくと、次々と鍵を握る人物達が登場してくるという、お約束な展開でございます。基本的には、伊吹と九重の、少年漫画的友情がメインディッシュで、そこに様々な美味しい男の子達の関係が散りばめられているという。個人的には、抜けたところのある九重が好きですが、人気があるのは誰なのでしょうか。また男の子以外では、中学生の女の子とメイドさんが登場。設定的に狙っている感バリバリで、さすが角川というところ。
一つ気になったのは、先輩剣士が茶室を使っているところ。茶室というのはにじり口になっていて、刀が持ち込めないようになっているのですが、その辺意識した上で登場させたのか、よくわからないんですよね。もし狙って使っているのなら、ちょこっと説明してあげて「なるほど」と感心させればいいと思うのですが、もしそうでないのなら、ちょっとよろしくないな、と。なんてさすがにないか。
【男性へのガイド】
→ノリ自体は少年マンガ的ですが、怒濤のイケメンパラダイスに耐えられるのかどうか。腐臭がしますします。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→ワンパンチ足りない印象はあるものの、ライトに親しみやすい内容で一定数ファンはつきそう。
■作者他作品レビュー
*新作レビュー* 湖住ふじこ/墨染蓮「DANGEROUSシェア」
作品DATA
■著者:湖住ふじこ
■出版社:角川書店
■レーベル:角川ASUKA
■掲載誌:ASUKA(2009年9月号~)
■既刊1巻
■価格:560円+税
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