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Tag [続刊レビュー] 2010.06.19
作品紹介→ジョージ朝倉「溺れるナイフ」
9巻レビュー→この年齢、この舞台だからこそ成立する物語《続刊レビュー》「溺れるナイフ」9巻
関連作品レビュー→「ピース オブ ケイク」「テケテケ★ランデブー」



1102915947.jpgジョージ朝倉「溺れるナイフ」(10)


うそつき
死んでなんてないじゃん
やっぱり神さん



■10巻発売しました。
 夏芽の心を救いあげてくれた大友。抑える事の出来ない想いを初めて言葉にした夏芽。ひたすらの、浮き立つ熱で始まった、華やいだ恋。大友がまとう清々しい空気と揺るぎない存在感に安堵して、夏芽は「幸せな恋」にひたり始めるが、ある日思いもよらない人物との再会を果たす。写真家・広能晶吾が、夏芽を芸能界に復帰させようと、迎えにきたのだった…。気高く危うい十代が、束の間夢む。兆しの10巻!!
 

~まだ大友リード~
 ついに10巻、二ケタにのりました。未だにコウちゃんとの仲はぎくしゃくしたまま、大友との恋を歩み始めた夏芽。大友ファンとしてはこの上ない展開ではあるのですが、やっぱりそれだけではもの足りない。そう、かませ犬は不遇のポジションにいてなんぼなんですよ!!(たぶん違う)。しかし大友との行く末に、確実に影響を与えるであろうできごとが。それが、広能晶吾による、夏芽の芸能界引き戻し。彼女をモデルにしたという映画脚本を用意し、わざわざ夏芽の住む村までやってきたのでした。
 

~やはり、コウちゃん?~
 大友との恋を楽しみながらも、心の端にはいつもコウちゃんの姿がありました。冒頭「目覚めればすぐ君を想う」というモノローグの後に、作為的にコウちゃんの姿が差し込まれますし、その他にも、大友オンリーではないシーンが。今回は夏祭りに行って、再び火付け祭りにて神様のように駆け回るコウちゃんの姿を目の当たりにします。そして一気に制される、夏芽の心。そこには大友の姿などありません。そして、こんなモノローグが…
 
 広能さんに撮られる
 あのスリルと恍惚は
 コウちゃんを見ているときのソレと
 ダブるのでした

 芸能人としての夏芽を復活させるのが広能晶吾なのだとしたら、一人の少女としての夏芽を魅了するのは、やはりコウちゃんなのでしょう。どこまでも「普通ではない」夏芽の相手が務まるのは、やはりそれなりの相手でないと。大友がそれに足らないからダメというわけではないのですが、どちらかというと大友って普通の子を相手にした方が俄然輝きそうなんですもん。それに広能さんに撮られているときや、コウちゃんと追いかけているときのような、本人の意思すら介在しないような「無我夢中」の状態が、大友相手のときはありませんし。 
 また今回のコウちゃんの火付け祭りでの行動は、自分をリンチした相手に復讐を果たすというもので、レイプ犯に復讐をして再び光を取り戻すことが必要である夏芽にとっては、強烈に印象づけられたはずです。
 
 とはいえ夏芽はまだまだ迷っています。先のモノローグに続いて、
 
 見つけにくいね
 わたしだけの光

 と。まだまだ大友にもチャンスがあるのでしょうか。あと1巻くらいはもってほしいなぁ。


~モチーフにも現れる、夏芽を照らし導く“光”~
 さて、この作品では夏芽の今の状態を「闇の中」と表現していて、その闇から救い上げてくれるものを「光」として表現しています。そして先程書いた、芸能人としての夏芽を導く広能と、少女としての夏芽を導くコウちゃんという二人は、その持ちたる道具にも、「光」が現れていたり。広能さんは言うまでもなく、カメラのフラッシュで、コウちゃんは火付け祭りのときの松明のようなもの。それに対し大友は、今回表紙にもあるようにギターを手に取るわけですが、そこには光がなかったり。狙っているわけではないのでしょうが、どうにも夏芽にとっての大友の存在を表しているようで、悲しくなります。だからあと1巻くらいはもt(ry
 

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