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Tag [新作レビュー] 2009.02.20
海賊と人魚木内たつや「海賊と人魚」


これから何度
今日見た様な朝焼けをみれるだろう
きっと
数えきれないほどだといい



■白い髪を持ち、海水にさらすと髪の色が鮮やかな色に変わる、ごく稀に生まれる亜人のことを、人々は「人魚」と呼ぶ。彼らは観賞用として、高値で取引される。緋水もまた、そんな人魚のひとり。観賞用の人形として、自由を奪われ飼われていたが、ある日海賊が町を襲い、緋水も強奪されてしまう。また売り飛ばされるのかと思いきや、海賊の頭・イクタは、売り飛ばすことはしないと言い、それどころか緋水をひとりの人間として扱う。思わぬことから自由を得て、陽気な海賊の一員として旅に出ることになったが、行く先々で困難は起こるもので…!?

 人魚の少年・緋水が、海賊の一員として旅をするファンタジーです。それまで人として扱われることのなかった緋水が、海賊の頭・イクタと出会い、初めて人の優しさに触れることで、変化していくストーリー。そこにあるのは、無償の承認。心を閉ざしていた緋水に、とにかく懐の大きいイクタ、そしてイクタと何やら因縁がある海軍大尉クロイツェル。この3人を軸として、話が展開されます。
 
 描こうとしているのは緋水とイクタの触れ合い。歳の離れた兄弟みたいなのが狙いなのでしょうか。ただ描写が妙にBLっぽい。このレーベルなのでソッチはないとは思いますが、現時点で女性の登場人物はナシと、恋愛展開は望み薄。「腐」開眼への格好の教材ですね。
 この設定だけに展開の幅は自由度が高そうですが、ふたりの触れ合いを描きつつ、最終的にはイクタとクロイツェルの因縁決着で、みたいな流れになりそう。花ゆめらしい、明るく優しいファンタジーです。


【オトコ向け度:☆    】
→登場人物は男だけ、しかもなんだかBLっぽい雰囲気を醸し出していて…。これはなかなか男にはキビシいかもしれません。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→話の作りはオーソドックスなものなので、読みやすさはあると思います。明るく楽しく、そして優しい。恋愛以外の触れ合いを楽しみたい方は。


作品DATA
■著者:木内たつや
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:花とゆめ(平成20年2号~連載中)
■既刊1巻
■定価:400円+税

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