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Tag [BL] 2010.06.23
07225890.jpgフジサワユイ「夏の逢瀬」


数年分の想いは降り積もり
やがて心へと溶けてゆく



■上京して2年。彼氏にフラれた涼は、幼なじみの一馬からの電話で、久しぶりに正月を実家で過ごすことにする。高校時代、周りからは「遊び相手」ではなく「おもちゃ」として扱われるようになっていた涼。そんな彼を、一馬が助けたてくれたのだった。以来、二人は時折体を繫ぐようになっていたが、その関係も涼の大学進学で終結。そして久々の帰郷で、涼を出迎えた一馬は…!?

 変則的にBL作品をご紹介。すみません、明日が発売ラッシュで、それまでちょっと開くんです。その繫ぎ的な感じで。久々に帰郷した、主人公とその幼なじみとの関係を描いた作品です。主人公は、中性的でかわいらしい風貌の大学生・涼。上京して2年、彼氏にフラれたというタイミングで、故郷の幼なじみ・一馬から電話が入り、その流れで久々に正月を地元で過ごすことに決めます。一馬は涼の幼なじみで、高校時代、その見ためから周囲の男たちからおもちゃとして遊ばれていた涼を、一馬が助け、以来体を重ねるようになっていたという微妙な関係を持っていました。しかしそれも涼が大学進学するまでの話。その距離が、再び二人をただの幼なじみに戻していました。そんな中久々に再会した二人は…?という流れ。実にオーソドックスな題材で、絵柄にマッチした可愛らしい、比較的爽やかなストーリーが展開されます。


夏の逢瀬
表題作「夏の逢瀬」は、冬に再会したふたりのそれからを描いた続編。状況は違えど、久々に会うというのはドキドキするもので、そのたびに初々しい反応をみせてくれます。たまらん。


 ルチルってのはエロ少なめなのでしょうか?エロシーンはほとんどなく、あったとしても局部モロってことはまずありません。表題作も、キス止まり。しかも幼なじみで距離感に困るという、やたらと初々しい絡み方。可愛らしく明るい表紙ですが、作品もまさにそんな感じで、青春臭のする瑞々しいストーリーを展開してくれます。
 
 表題作の他にも、4作ほど収録されています。どれも学生を描いた、青春ベースのお話。高校生だったり、大学生だったり、それぞれ違いはありますが、初々しさや痛々しさ、そしてそこからくる可愛らしさは共通して出ており、またあまりエグくないなラブシーン描写ということも相まって、サクサクとごく普通に読み進めていくことができました。個人的には、大学生の先輩後輩を描いた「意気地なしの恋」と、教師と生徒の話である「君と見る夢」がグッドでした。特に「意気地なしの恋」の先輩可愛すぎます。一方で、転校生といじめられっ子を描いた「嵐を呼ぶ転校生!」と、屋上で出会った青年との秘密を描いた「空渡る飛行機雲」は、どちらも満足感に欠けたというのが、素直な感想。あまり好みでなかった2作のうち、前者はデビュー作で、後者はファンタジックな要素が入っていたということも影響しているのかもしれません。また特に気に入った2作はどちらも年の差の組み合わせということで、年の差良いよ!年の差!という感じで、フジサワ先生は私の中でインプットされたのでした。


【男性へのガイド】
→抵抗感は少なめも、同時にひっかかりもなさそうで、どっちつかずという感じ。あ、あくまでBL基準ですが。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→非常に読みやすかったのですが、どこかワンパンチ足りない印象。なんてデビュー作ということですから、それを考えるとレベル高ッ!って感じではありますが。


作品DATA
■著者:フジサワユイ
■出版社:幻冬舎コミックス
■レーベル:バーズコミックスルチル
■掲載誌:ルチル
■全1巻
■価格:619円+税


■購入する→Amazon

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