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芦原妃名子「Piece」3巻レビュー→
「砂時計」との違いを生む相手役の性質 《続刊レビュー》「Piece」3巻関連作品紹介→
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芦原妃名子「Piece」(4)
キラキラ光る
七色の未来を
全力で創造しよう■4巻発売です。
心理学者の母親に、人格をコントロールされて育ったという、成海。そのくらい過去を知って以来、彼から逃げ続けた水帆。けれど、今度こそ成海と向かい合おうと決心をする。そして飛び込んできた、折口はるかに関する新情報。同時に、成海家の家政婦・七尾から明かされる、衝撃の事実…その時水帆の脳裏には、ついに“はるかの元カレ”の姿が浮かび上がる!しかし成海は突然姿を消してしまって…!?
~「ミステリー界大注目」~ 4巻発売です。今月はやたらと芦原先生の過去作品を紹介した気がしますが、目玉はこれ。段々と明かされていく、事の真相。パズルのようにピースがハマっていく状況に、快感を覚えると同時に、ハマればハマるほどに明らかになっていく全景の広さに、途方に暮れてしまいます。上手い、深い。帯には「ミステリー界大注目」とか書いてありますが、実際どうなんでしょうか。まぁどちらにせよ、すごいし面白いってのは間違いないわけですから、まぁとりあえず読んでおきましょうよ。
~二つのPiece~ 「Piece」というタイトルは、最初から提示されているように、折口はるかの死に関わる謎=パズルを解き明かしていくという意味で用いられているわけですが、もうひとつの意味がこの作品では与えられています。それが、各人の人格形成のピース。自分自身の性格に、何か欠落したもの(ピース)があると考える水帆が、謎を追ううちに、成海という人物を構成するパーツの謎を追い求めるという状況に。その他にも、4巻で言えば家政婦の七尾さんなど、これまでに少しずつ、この謎に関わってきた人たちの“ピース”が描かれてきました。
しかしながら、謎を解き明かすという意味でのピースと、人物像を構成するという意味でのピースは、その性質が全く異なるものとなります。前者はすでに、パスルの大枠は出来上がっていて、抜け落ちた部分に、ピースをはめ込んで完成を目指すという形になります。一方の、人物構成というパズルに関しては、大枠や完成図なんてものはありません。例えば水帆に関しては、抜け落ちたピースをはめ込んでいるというよりも、すでにあった組合わさったピース群の外側に、新たに付け足していっているような印象を受けます。異なる性質を持つ、二つのピースを繋げ合わせ、ひとつの物語にする。この作品の面白さや深さは、そういった単調でない、ちょっとした工夫の数々から生み出されているのではないかなぁ、と思うのです。
~流れに身を任せるんだ!~ あれ、そういえばストーリーの軸に全然触れてないですね。いいんですよ、ただ身を任せれば!いや、ここで中途半端に推理なんてして、大外ししたらしんどいじゃないですか。まぁ予想を裏切られるってのは、読んでいて快感になるわけですが、どう考えても裏切られそうな気しかしないので(笑)目下気になるのは、「本来人と人の間にあるべき境界線を踏み越えて」という部分。その結果、卵を受け付けなくなっという。何、産卵とかそっち?とかいうアホな発想しか出てこない私には、予想なんてできようものがなかろうという話ですよ。
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