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Tag [続刊レビュー] 2010.06.29
作品紹介→芦原妃名子「Piece」
3巻レビュー→「砂時計」との違いを生む相手役の性質 《続刊レビュー》「Piece」3巻
関連作品紹介→「ユビキリ」「蝶々雲」「月と湖」



1102916117.jpg芦原妃名子「Piece」(4)


キラキラ光る
七色の未来を
全力で創造しよう



■4巻発売です。
 心理学者の母親に、人格をコントロールされて育ったという、成海。そのくらい過去を知って以来、彼から逃げ続けた水帆。けれど、今度こそ成海と向かい合おうと決心をする。そして飛び込んできた、折口はるかに関する新情報。同時に、成海家の家政婦・七尾から明かされる、衝撃の事実…その時水帆の脳裏には、ついに“はるかの元カレ”の姿が浮かび上がる!しかし成海は突然姿を消してしまって…!?


~「ミステリー界大注目」~
 4巻発売です。今月はやたらと芦原先生の過去作品を紹介した気がしますが、目玉はこれ。段々と明かされていく、事の真相。パズルのようにピースがハマっていく状況に、快感を覚えると同時に、ハマればハマるほどに明らかになっていく全景の広さに、途方に暮れてしまいます。上手い、深い。帯には「ミステリー界大注目」とか書いてありますが、実際どうなんでしょうか。まぁどちらにせよ、すごいし面白いってのは間違いないわけですから、まぁとりあえず読んでおきましょうよ。


~二つのPiece~
 「Piece」というタイトルは、最初から提示されているように、折口はるかの死に関わる謎=パズルを解き明かしていくという意味で用いられているわけですが、もうひとつの意味がこの作品では与えられています。それが、各人の人格形成のピース。自分自身の性格に、何か欠落したもの(ピース)があると考える水帆が、謎を追ううちに、成海という人物を構成するパーツの謎を追い求めるという状況に。その他にも、4巻で言えば家政婦の七尾さんなど、これまでに少しずつ、この謎に関わってきた人たちの“ピース”が描かれてきました。
 
 しかしながら、謎を解き明かすという意味でのピースと、人物像を構成するという意味でのピースは、その性質が全く異なるものとなります。前者はすでに、パスルの大枠は出来上がっていて、抜け落ちた部分に、ピースをはめ込んで完成を目指すという形になります。一方の、人物構成というパズルに関しては、大枠や完成図なんてものはありません。例えば水帆に関しては、抜け落ちたピースをはめ込んでいるというよりも、すでにあった組合わさったピース群の外側に、新たに付け足していっているような印象を受けます。異なる性質を持つ、二つのピースを繋げ合わせ、ひとつの物語にする。この作品の面白さや深さは、そういった単調でない、ちょっとした工夫の数々から生み出されているのではないかなぁ、と思うのです。
 

~流れに身を任せるんだ!~
 あれ、そういえばストーリーの軸に全然触れてないですね。いいんですよ、ただ身を任せれば!いや、ここで中途半端に推理なんてして、大外ししたらしんどいじゃないですか。まぁ予想を裏切られるってのは、読んでいて快感になるわけですが、どう考えても裏切られそうな気しかしないので(笑)目下気になるのは、「本来人と人の間にあるべき境界線を踏み越えて」という部分。その結果、卵を受け付けなくなっという。何、産卵とかそっち?とかいうアホな発想しか出てこない私には、予想なんてできようものがなかろうという話ですよ。
 

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
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レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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