作品紹介→*新作レビュー*中村世子「ニブンノワン!王子」
中村世子「ニブンノワン!王子」(2)
あの時
鳴っていたのはどっちの音
うるさかったのはどっちの音?
■2巻発売です。
お姫さまに憧れる平凡な女子高生・月子と、半人半犬な異国の王子・ジン。二人は現在、紆余曲折あって、(仮)婚約中。が、ジンからの突然のキスに、月子の心臓は暴走気味。ジンとのキスを、どう消化して良いかわからず、その時のことを思い出しては、ドキドキして悶絶するのでした。それに対して、何一つ変わったところを見せないジンに、月子は…!?さらに、心乱れる月子の前に、ジンの弟・シビが現れ、お妃候補が他にもいると伝えるが…!?
~ばか、もう知らない~
ジンからのキスで、取り乱しっぱなしの月子。他のことに集中したくても、キスのことが頭から離れず、赤面ばかりしてしまいます。そんな月子に対し、ジンは平然。そんな彼の態度を見て、月子は苛立ちと絶望を覚えます。そしてとった行動が…

ジンのバカ
もう知らない
まさかの突き放し。しかも捨て台詞が「ばか」ですからね。何度か書いてますが、出す言葉がなくなった上での、必死さからの汚い言葉って、本当にかわいらしくて素敵なんですよ。まぁこの場合は、自分自身への絶望も少し入っているので、事情は少々異なるのですが。
~それだけじゃないんです~
しかし子供っぽいばかりではありません。中盤からは、ジンの婚約者として、相応しい人間になろうと、懸命に努力をする月子の姿が見られるようになります。キスひとつでいっぱいいっぱいの女の子が、王子に相応しい妃になれるよう、努力する。しかもただの憧れや背伸びで言っているのではなく、ちゃんと彼の背負う重責を理解した上での行動です。その直前の6話では、こんなモノローグが描かれていました
そこにあるのは「好き」や「憧れ」を越えた、「覚悟」。ついその直前まで、子供らしい振る舞いをしていた彼女とは、まるで別人のよう。その前後でのギャップから、私は一層彼女に心惹かれるのです。けれども覚悟をしただけで、そう易々としっかりと振る舞えるわけではありません。彼女のジンへのご奉仕は、失敗ばかり。挙げ句頑張りすぎたのか、熱まで出して、逆にジンに介抱されてしまいます。そんな状況に落ち込む月子でしたが、ジンのフォローもあり、二人は再び良き雰囲気に。そしてその後の、月子の言葉がもう本当に可愛くて、ニヤニヤでした…

じゃあ
手ぇ握ってて
ここで子供っぽい感じ!子供っぽい→大人らしく覚悟→とっても子供っぽい。下げて上げて最後にずどんと下げるという、この切り替え。反則も良いところですよ。最後の最後でこういう面を覗かせる月子に、ジンがご執心なのも良くわかります。そして気になるのが、このシーンのあと。手を繫いだまま一緒に眠った二人でしたが、最初のラブ握りから、朝起きたときは普通の握りに変わっているんですよね。これどういうことなんだろうという。眠りの中、無意識で繫ぎ合っていたのか、はたまた手がほどけそうになる度に、ジンが握り直していたのか。真相は定かではありませんが、最後まで一緒に手を繫いで眠るなんて、素敵じゃないですか。中村先生は、「未だに自分で描いている感じがしない。二人の世界すぎるからでしょうか。」とあとがきで書かれているように、とにかくこの二人の間には、誰も割り込めないような雰囲気というのがあるんですよね。そしてそれが目に見える形で現れたのが、例えば今回の手を繫いで眠っているところだったりするのかも。さてさてこれから、さらにどんなニヤニヤな展開を見せてくれるのか、楽しみで仕方ありません。
■購入する→Amazon
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あの時
鳴っていたのはどっちの音
うるさかったのはどっちの音?
■2巻発売です。
お姫さまに憧れる平凡な女子高生・月子と、半人半犬な異国の王子・ジン。二人は現在、紆余曲折あって、(仮)婚約中。が、ジンからの突然のキスに、月子の心臓は暴走気味。ジンとのキスを、どう消化して良いかわからず、その時のことを思い出しては、ドキドキして悶絶するのでした。それに対して、何一つ変わったところを見せないジンに、月子は…!?さらに、心乱れる月子の前に、ジンの弟・シビが現れ、お妃候補が他にもいると伝えるが…!?
~ばか、もう知らない~
ジンからのキスで、取り乱しっぱなしの月子。他のことに集中したくても、キスのことが頭から離れず、赤面ばかりしてしまいます。そんな月子に対し、ジンは平然。そんな彼の態度を見て、月子は苛立ちと絶望を覚えます。そしてとった行動が…

ジンのバカ
もう知らない
まさかの突き放し。しかも捨て台詞が「ばか」ですからね。何度か書いてますが、出す言葉がなくなった上での、必死さからの汚い言葉って、本当にかわいらしくて素敵なんですよ。まぁこの場合は、自分自身への絶望も少し入っているので、事情は少々異なるのですが。
~それだけじゃないんです~
しかし子供っぽいばかりではありません。中盤からは、ジンの婚約者として、相応しい人間になろうと、懸命に努力をする月子の姿が見られるようになります。キスひとつでいっぱいいっぱいの女の子が、王子に相応しい妃になれるよう、努力する。しかもただの憧れや背伸びで言っているのではなく、ちゃんと彼の背負う重責を理解した上での行動です。その直前の6話では、こんなモノローグが描かれていました
けど
王子様のおヨメさんになるには
好き以上の何かが必要なんだ
いつまでも守られてるだけじゃ
ダメなんだ
王子様のおヨメさんになるには
好き以上の何かが必要なんだ
いつまでも守られてるだけじゃ
ダメなんだ
そこにあるのは「好き」や「憧れ」を越えた、「覚悟」。ついその直前まで、子供らしい振る舞いをしていた彼女とは、まるで別人のよう。その前後でのギャップから、私は一層彼女に心惹かれるのです。けれども覚悟をしただけで、そう易々としっかりと振る舞えるわけではありません。彼女のジンへのご奉仕は、失敗ばかり。挙げ句頑張りすぎたのか、熱まで出して、逆にジンに介抱されてしまいます。そんな状況に落ち込む月子でしたが、ジンのフォローもあり、二人は再び良き雰囲気に。そしてその後の、月子の言葉がもう本当に可愛くて、ニヤニヤでした…

じゃあ
手ぇ握ってて
ここで子供っぽい感じ!子供っぽい→大人らしく覚悟→とっても子供っぽい。下げて上げて最後にずどんと下げるという、この切り替え。反則も良いところですよ。最後の最後でこういう面を覗かせる月子に、ジンがご執心なのも良くわかります。そして気になるのが、このシーンのあと。手を繫いだまま一緒に眠った二人でしたが、最初のラブ握りから、朝起きたときは普通の握りに変わっているんですよね。これどういうことなんだろうという。眠りの中、無意識で繫ぎ合っていたのか、はたまた手がほどけそうになる度に、ジンが握り直していたのか。真相は定かではありませんが、最後まで一緒に手を繫いで眠るなんて、素敵じゃないですか。中村先生は、「未だに自分で描いている感じがしない。二人の世界すぎるからでしょうか。」とあとがきで書かれているように、とにかくこの二人の間には、誰も割り込めないような雰囲気というのがあるんですよね。そしてそれが目に見える形で現れたのが、例えば今回の手を繫いで眠っているところだったりするのかも。さてさてこれから、さらにどんなニヤニヤな展開を見せてくれるのか、楽しみで仕方ありません。
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