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Tag [続刊レビュー] 2010.07.03
作品紹介はこちら→桃森ミヨシ「悪魔とラブソング」
8巻レビュー→目黒の愚行とその裏にある弱さについて少々…《続刊レビュー》「悪魔とラブソング」8巻
9巻レビュー→脆性と熱情が同居する目黒のピアノ演奏:桃森ミヨシ「悪魔とラブソング」9巻



1102916018.jpg桃森ミヨシ「悪魔とラブソング」(10)


おまえは俺が守る
だから俺に
ぜんぶあずけてくれ。



■10巻発売です。
 コンサートの日の事件が原因で、ケンカをする目黒とマリア。お互いに核心に触れることが出来ず、すれ違いの日々を過ごす。「目黒は私のことを嫌いになってしまったの?」そう怯えるマリアは、言い合いで自分を責め、幻覚に苦しむ。一方目黒は、マリアへの想いを再確認し…。学校は文化祭の季節。当然マリアのクラスも出し物を出すことになったけれど、その中で二人に変化は!?必見の10巻!!


~10巻です~
 ついに10巻まで行きました。桃森ミヨシ先生の代表作が「ハツカレ」で、全10巻。ついに並びましたね。この作品が桃森先生の代表作になるかどうかは、今後の展開次第ではありますが、ひとまずおめでとうございます。さて物語は、いよいよ佳境。見所は、目黒の決意からの行動と、マリアのトラウマ発症の二つです。


~ついに決めた!~
 今まで散々へたれて、時には最低のことをしてきた目黒ですが、ついに決めました。告白です。まずは優介のお膳立てがあり、そこから気持ちを固め想いを告げるという、それでもまだちょっと情けない流れですが、今までの姿を思えば大躍進。もうこれは素直に拍手してあげないと。


~しかし目黒さん…やっぱり…~
 しかしこれでめでたしめでたしとはなりません。ずっと暗示されてきていた、マリアのトラウマが徐々に発現。目黒の告白の成功にも、少しだけ影を落としていました。となると今度大事になるのは、マリアのトラウマの克服という方向。それを軸として考えると、マリアの相手として相応しいのは、そのトラウマを一緒に越えられる人物でないといけません。しかし今回、目黒はマリアを救うどころか、逆にどん底に落とすかのような結果を残してしまいます。想いが通ったとなると、途端に暴走がちになるのが、ヘタレ男のダメなところ。少女漫画のヘタレ男子は、ちゃんとヒーロー補正がかかるので、暴走することはあまりないのですが、目黒はさすがのヘタレっぷり。見事にやっちまいました。果たして目黒くん、挽回できるんでしょうか。とりあえずエロス的には「目黒先輩じゃダメ」なんだそうで…


~次巻予告に見る~
 どうしてダメなのか。もっと読み込めばその理由はいくつも出てきそうですが、今のところ判然としません。とりあえず11巻の予告を見ると、マリアは父に会うそうで…ってちょっと待て、マリアは確か母がレイプされて出来た子供なんじゃないの?それなのに、どうして。逮捕されているという前提であれば、特定はできるものの、そう簡単に会わせるなんて発想にはなりません。というかそもそも、レイプされたことで出来た子供を堕胎せずに生むということが、少々特殊であるように思えるわけで、その裏には何かしらの理由があるのではないのかな、と。ちなみに聖母マリアは、レイプされたことでキリストを身ごもったという説があり、このシチュエーションとなんとなくリンクします。もっとこの物語単体で見たときも、言葉が発せなくなるという状況が、あんなと同じであるという、あからさますぎるシチュエーション。何か…何かあるはずなんです。落としどころはまったく想像つかないですが…。


~救いを必要とする二人~
 話はだいぶ逸れましたが、目黒とマリアの力関係についてちょっとお話を。マリアは先にも話したように、トラウマを持っており、救いを必要としています。一方の目黒もまた、ピアノでの挫折による闇の中から、マリアに救いの光を見ることになりました。お互いに救われたがっている。こういう二人は、寄り添うのは容易いです。しかし双方共に乗り越えるのは、非常に難しい。しかし物語的に残された道は、越えるという選択肢だけ。さてどんな大変な道が続いているのやら…。なんて少女漫画では得てして、愛さえあればオールオッケーというスーパーパスポートが有効になってしまうことが多いわけですが。とりあえず、お父さんがどう絡んでくるのか、11巻を見守りたいと思います。しかしお父さんって…解せん。


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コメント

ハツカレが好きだったんでこの作品も読んでいたんですが、 重い展開は正直嫌ですね…リストカット未遂後のニッパチと亜由のとこは泣きそうになりましたが…
もっとラブをみたいですね(笑)
なので早くこの話が解決するといいなぁ☆
From: ぼー * 2010/07/05 17:59 * URL * [Edit] *  top↑
ニッパチと亜由のくだりは私も泣きそうになりました。
こういう暗いシーンでは、恋愛よりも友情のほうが破壊力が強い気がします。

希望の光が見えるのはいつなんでしょうね…
From: いづき * 2010/07/05 23:16 * URL * [Edit] *  top↑

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