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Tag [新作レビュー] 2010.07.14
1102940322.jpg森永あい「キララの星」(1)


メガネを取るくらいなら
パンツを脱いだ方がマシだ!!



■今は亡き、伝説の大女優の娘だけど、本人はオーラの欠片もなく実に平凡な女子高生の亜弓。最近はもっぱら、父の経営する弱小芸能事務所を手伝っている。そんな弱小事務所の救世主、売れっ子アイドルが、ある日突然愛の逃避行!そしてその子を連れ戻す為と、父親は海外へ行ってしまう!そして結果、プロダクションを引き継ぐハメに…。違約金5億の返済のため、目指すはスター発掘!そして見つけた、ダイヤの原石は…!?

 「極楽♨青春ホッケー部」(→レビュー)や「僕と彼女の×××」(→レビュー)などの作者である、森永あい先生の新作です。今度の舞台は芸能界!と言っても、ヒロインは芸能事務所側の人間で、表舞台には出てきません。ヒロインは、伝説の大女優の娘である、亜弓。そんな偉大な母親を持ちながら、本人は芸能人オーラゼロ。今は残された父と共に、弱小芸能事務所を切り盛りする毎日。そんなある日、事務所の看板アイドルが、仕事をぶん投げて海外へ愛の逃避行。彼女が居なければ事務所が傾くということで、父は彼女を追って海外へと出ていってしまいます。そんな父が去り際に残した一言が「俺が帰るまで事務所を頼んだ!」。残されたのは、売れっ子の一人もいない芸能事務所と、違約金5億円。借金返済の為には、一発逆転スター発掘しかない!と息巻く亜弓の前に現れたのは、クラスでも最も地味な男の子・星。しかしその彼、メガネを外すと驚くほどの美少年。星くんにビビビときた亜弓は、彼こそが救世主と、芸能界へ誘おうとするのですが…


キララの星
美少年を目の前にしても、お金のことで必死なために恋愛対象としてはみれない。トキメキをプラスさせるには、そこからさらに踏み込んだ関係にならないといけないわけですが、これからどう展開するのか…。


 メガネを取ったら驚きの美少年…というのは、もはや見なくなったステレオタイプなお約束。そんなネタ的な設定を持ち込み、相変わらずの力技の連続で、ストーリーを展開します。ミソとなるのは、相手役が頑に顔を出すことを拒んでいること。その見ための良さは自覚しているものの、それゆえに幼い頃から危ない目に遭いまくっており、トラウマに。そしていつしか、目立たないように目立たないように生きるようになっていたのでした。そして出た台詞が、「メガネを取るくらいなら、パンツを脱いだ方がマシだ」の一言。どちらも一歩も引けない、強い思いがあるのです。ゆえに、お互いのかけ合いは常にテンションマックス。力技も映えるってもんです。
 
 力技とは、例えば素顔の写メを撮ってパソコンに保存、脅迫の材料にして芸能事務所に入れさせたり、動物好きが原因でアパートを追い出され、結果親の居ないヒロインの家に一緒に住むことになったりなど、とにかく作品にひとつふたつしか投入されないような、ありえない展開が次々と投げ込まれてきます。リアリティを求めて読んじゃダメ、ハイテンションコメディとして、怒濤の展開に身を任せましょう。ちょっと一本調子すぎるかな、と思っていたら、ラストにまたしても力技。うーむ、侮れない。


【男性へのガイド】
→森永先生の力技は、一度拝んでおいて損はないかも。ただ「僕と彼女の×××」などに比べると、題材的に男性に勧めるには弱そうではあります。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→いつも通りの森永先生。それは良くも悪くも変わりがないということで、そこをどう捉えるかによって評価が分かれそうなところであります。


作品DATA
■著者:森永あい
■出版社:講談社
■レーベル:KC別フレ
■掲載誌:別冊フレンド
■既刊1巻
■価格:419円+税


■購入する→Amazon

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