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2015.01.29
1106442353.jpg東村アキコ「東京タラレバ娘」(1)



いくつになっても自分が主役
人生という長い脚本のヒロインは私自身
それって幸せなことだと思ってた




■独身、彼氏ナシ、女子会中毒の全国タラレバ女に捧ぐ!!
 「キレイになったらもっといい男が現れる!」
 「好きになればケッコンできる!」
 タラレバばかり言ってたら、あっという間に33歳。
 私たちの明日はどっちだ!?

 東村アキコ先生のKISS連載作です。この人ほんと幾つマンガ描くんだろってくらい単行本出してますよね、すごい。本作は独身アラサー女のちょいとイタ辛い生き様を面白おかしく描いたコメディとなっています。物語の主人公は、鎌田倫子・33歳。脚本家を志しガムシャラに働いて、気が付けば独身のままいい年齢になっていました。今ではネットドラマの脚本を中心に、独立して表参道に小さな事務所を構える程度には食えています。独身の友達たちとの女子会が、何よりの楽しみ。やりがいのある仕事に気の置けない友達、東京での暮らしは楽しい……のですが、結婚の予定は未だ無いのが気になる所。なんとなく結婚の匂いを感じてはしゃいでみるも、それは全くの勘違いでした。そのことを居酒屋(女子会)で愚痴っていたら、年下の美青年に「行き遅れ女の井戸端会議」「タラレバ女」とののしられる始末。腹は立ったけれども、どうやら自分たちに時間がないのは本当らしい。折しも近づく東京五輪、そのころには自分は40歳。果たしてその時、どうなっているのか。危機感を覚えつつも、なかなか道は見えてこないアラサー東京生活なのでした。


東京タラレバ娘1-1
物語はその後、居酒屋の暴言青年が売り出し中のモデルであることが判明し、脚本家である倫子は敵意むき出しに彼と対峙するという形でころがっていきます。


33歳とはいえ、仕事もしっかりしてきたし、これまで積み上げてきた自負がある。タラレバ言うなと言われても、今の自分をありのままに承認してくれるパートナーはいないわけで、過去を振り返りつつ、自分で自分を愛でるか同じ立場にいる友達同士で傷をなめ合うしかないわけですよ。そうなると自ずとタラレバってしまうわけで。私は男性ですけれども、普通にタラレバ的な想像をするときありますもの。私も年代的にもアラサーで、男女の違いはあれども身につまされる話ではあるのです。

 物語の基本は、タラレバしがちなアラサーを嗤うスタンスなんですけれども、時折それがシリアスな方向に倒れることがあり、それが良いスパイスとなって物語を引き締めてくれます。ただこき下ろすだけだったら読んでて辛いんですけれども、こういう味方のような視点が入ることで、「あ、ただただ貶めるだけじゃないんだ」という安心感をもって読めるとでも言いますか。この強弱の付け方は東村アキコ先生のうまい所ですよね。


東京タラレバ娘1-2
婚活パーティに少し顔を出して知る現実。現実は、思っている以上にシビアでした…。


 また本作では、イケメンの青年がヒロインの脚本を「30過ぎたおばさんが都合よく男に言い寄られてリアリティがない。夢見てるのか。」なんて痛烈に批判しているのですが、1巻ラストの方では本作自体がシチュエーション的にそういう状態になっているわけで(明らかに狙っている)、さてこれはどっちに倒すのだろうと早くも落としどころが気になる所です


 
【男性へのガイド】
→東村アキコ先生の作品ですから男性も読みやすいと思っているのですが、ネタがネタだけに他作品と比較するとどうだろうとも。
【感想まとめ】
→相変わらずの東村アキコ節でやはり普通に面白いです。一方で一巻ラストからどう転がるのかはちょっと気になるところ。


作品DATA
■著者:東村アキコ
■出版社:講談社
■レーベル:KC KISS
■掲載誌:KISS
■既刊1巻
■価格:


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2014.11.08
1106451662.jpgアキヤマ香「長閑の庭」(1)



君の胸の芯から出た答えなら
僕は一字一句大切に読もう




■地味な内面と見た目から、ドイツ語で黒を意味する”シュバルツ”さんと呼ばれている大学院生・朝比奈元子(23歳)。かねてより憧れていたドイツ文学教授・榊(64歳)にうっかり告白するも、勘違いだと断言されてしまう。それでも変わらない教授への想い……。これはただの”嗜好“か?“恋“なのか?恋の定義を模索する、年の差恋愛未満ストーリー。

 「アスコ―マーチ!」(→レビュー)や「ぼくらの17ON!」(→レビュー)などを描かれているアキヤマ香先生のKISS連載作です。地味目な大学院生の女子が、64歳の大学教授に恋をしてしまうという枯れセン要素を多分に含んだお話。主人公はゼミでシュバルツさん(ドイツ語で黒の意)と呼ばれている、人付き合いが少々苦手な地味女子の朝比奈さん。ふとしたやり取りからゼミの堅物教授・榊を好きになってしまった彼女は、以来密かに彼を想いつづけています。内気な彼女がアプローチなんかできるはずもなく、ゼミの仕事で会話する機会があれば嬉しいという程度。ところがある日、勢い余って自分の想いを告げると、それは勘違いだと言われてしまうのでした。“好き“って、“恋“って一体何だろう…。恋の定義に考えめぐらす、朝比奈さんの苦悩の日々が始まるのでした。

 「アスコ―マーチ」や「ぼくらの17ON!」はいずれも高校生の青春模様を描いたエネルギー溢れる作品だったのですが、本作はガラっと雰囲気を変え、静かな印象を与える仕上がりに。これまでのアキヤマ香先生のイメージとかけ離れた雰囲気だったので、「え、こんなの描けるんですか!」とまず驚いたという。

 ところで年配の大学教授との恋というと、今度映画化される「娚の一生」(→レビュー)が思い出されます。「娚の一生」が完結し、海江田先生的な枯れセン成分を渇望していた方々(いるのか?)からしたら、本作の榊教授はまさにうってつけの存在と言えるのではないでしょうか。あっちほどギラギラしていないですけれども、これはこれでジェントルでヨロシイ。

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苦手分野に関しては慌て赤面するような一面もあり、こちらの方が人間味があって可愛げでしょうか。


 ドイツ文学のゼミということで、私立文系のチャラい研究室を想像していたのですが、教授筆頭にドイツ語・ドイツ文学に真面目に向き合う面々が揃っており、どちらかというと国立大学っぽい雰囲気も。とか思ってたら、取材先立教大ですって。私の父が私大のフランス文学のゼミ出身で、しゃべるの大好きな営業マンだったことから、勝手に私がそういうイメージを勝手に抱いていただけかもしれませんね…。



nodokanoniwa.jpg
物語は、真面目な朝比奈さんが「恋とは、好きとはなんぞや」と思い悩み、あれこれ奮闘することで進んでいきます。


出発点は恋なのですが、それをきっかけに女子としてレベルアップしたり、また人間関係も広がりを見せたりと、一人の人間としての成長記的な側面も。肝心の恋愛ですが、恋の駆け引きやアプローチという段階には全くいかず、帯にある「恋愛未満」という表現がぴったりな状況。一生懸命がんばっている朝比奈さんがもう可愛らしくて、応援してあげたくなるキャラクターなんですよ。

 恋のフィールドは基本的にゼミ内で閉じるので、わき役たちを交えて恋の矢印が飛び交っているという状況。表だった動きはないものの、伏線はばっちり張られているので、2巻以降面白くなってきそうです。

 
【男性へのガイド】
→鼻につくようなキャラもいないですし、ヒロインも良い人ですしハードルは低めかとは思います。一方で華やかさに欠けるので、あとは好み次第でしょうか。
【感想まとめ】
→ゼミものは好物ですので、はい。現状で面白いですが、色々と動きだしたらさらに面白くなりそうで、2巻への期待感も込めてのオススメ。


作品DATA
■著者:アキヤマ香
■出版社:講談社
■レーベル:KC KISS
■掲載誌:KISS
■既刊1巻


■試し読み:第1話

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2014.09.09
1106433428.jpg石田拓実「カカフカカ」(1)



ヘンな意味じゃなく協力してほしい
絶対ヘンなことしないから




■就活に挫折し、現在フリーターの寺田亜希(24歳)は、同棲していた彼氏にフラれ、友人の紹介でシェアハウスで暮らすことに。そこで再会したのは、中学の同級生で、初カレ兼はじめて「した」相手・本行智也だった。ここ2年ほど「たたない」という彼だが、亜希に偶然接触したところなぜか反応が!全体ヘンなことはしないという約束で、亜希は協力を求められて……!?

 石田拓実先生のKISS連載作でございます。ちょいエロというか、下ネタ挟みつつ女子があれこれ考えるマンガということで、石田拓実先生らしい作品だなというのが物語を読んでの印象でした。

 物語は冒頭のあらましの通り。就活で心折れ、自己評価が低くなっている中で、さらに彼氏にフラれどん底状態のヒロイン。まずは住処と、友達にシェアハウスを紹介してもらい訪れると、そこには中学時代の元カレかつ初体験の相手(←これが重要)が。学生時代からそうだったけれど、何を考えているのかわからない彼から持ち掛けられたのは、まさかのED治療の提案。どうもここ2年ほど全く息子が反応しない中、ふと亜希に触れたら反応したということで、これは現状を打開する一手になるやもしれん…と思ったのだそう。のらりくらりと押し込まれる形で受諾してしまう亜希でしたが。。。というお話。


カカフカカ1-1
解決の方法は「添い寝」。「何もしない」という約束があるので、ここまでしかしません。


「何もしない」という前提はありつつも、その方法は添い寝で体が密着、しかも結構勃ってるアレが背中越しに当たるという、なかなか異様でエロティックなシチュエーション。そんな異常なシチュエーションに、なんとなくドキドキしてしまうんですな、ヒロインは。大人びた元カレってのもあるでしょうし、初体験の相手ってことで更に意識してしまっている部分もあるのかもしれません。それに自分にしか反応しないってのは、種類はともあれ特別感があるのではないでしょうか。
 また本行の本業(ダジャレ)は小説家でそこそこ売れっ子。ただでさえ自己評価の低くなっている所で、しっかりとした人に必要とされているという感覚が、いっそう断りづらくさせているきらいもあります。

 忘れてはいけないのが、ここがシェアハウスであるという所。もし2人だけだったら一気になだれ込みそうなのですが、2人のほかに男女が1人ずつおります。1人は本行の元担当編集の年上の男性。彼は2人の関係を理解し後押ししてくれるのですが、もう1人の女の子が厄介なのですよ。彼女は作家である本行を信奉している信者めいた子で、ちょっと怖いくらいに本行が大好き。そんな彼女が目を光らせている中で、添い寝を敢行しているわけですから、ドキドキ感はいい意味でも悪い意味でも上がるもんです。

 かくして添い寝が定着してきた中で1巻は終わり。この後どうなっていくのか、非常に気になる所です。このはしたなさを隠さないヒロインの心情描写がとても良く、石田拓実先生の作品なんだからそれはある種当たり前でもあるのですが、「かくかくしかじか」を読んだ後にこれを読んだので「こんなの描けるんだ」という無駄な感動が。

 というのも、東村アキコ先生によって描かれていた石田拓実先生がこれですから…

カカフカカ1-2
すげえなって思いません?せん?ちなみに、本作の帯も東村アキコ先生が推薦文を寄せられています。

 
【男性へのガイド】
→このヘンなシチュエーションを受け入れられれば後は特にハードルもなく楽しめるのではないかと思いますです。
【感想まとめ】
→ひっついて寝るのは好きですし、そこでのドキドキ感も好きなので、まさにストライクな作品でございました。特に寝ながらお腹触るとこ!面白かったです、オススメで。


作品DATA
■著者:石田拓実
■出版社:講談社
■レーベル:KC KISS
■掲載誌:KISS
■既刊1巻
■価格:429円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2014.08.04
1106422083.jpg江本晴「恋のウニフラ」(1)


私と恋愛してくれませんか?


■恋を忘れた少女漫画家、キクコ。26歳、彼氏ナシ。そんなキクコが運命の出会い!?久しぶりのトキメキを感じた相手は恋を知らない少女マンガ編集者・瑞江(28歳・童貞)だった!しかしマンガ業界において、マンガ家と編集者の恋は御法度!どうなる2人の恋…禁断のラブコメのスタートです!

 江本晴先生のKISS連載作になります。「恋のウニフラ」というタイトルなのですが、“ウニフラ”とは“ウニフラッシュ”の略で、マンガで心情を現す時に登場するウニみたいな吹き出し的なあれ。下の方に画像出していますので、ご覧ください。なんでウニフラかというと、ヒロインが少女漫画家さんで、そのお相手となるのが編集者だから。
 
 主人公は主に売れっ子のアシスタントで生活費を稼いでいる売れない少女漫画家・キクコ。作品は描けども、担当編集からはダメ出しの嵐で、未だ先は見えません。26歳、そろそろイイ歳、けれども仕事は不安定で、頼れる恋人もいない…沈んだ彼女でしたが、一人の男性との出会いが彼女の心を復活させるのでした。後日ひょんなことから再会してびっくり。なんと彼は、彼女がお世話になっているマンガ雑誌の編集者だったのでした。しかも何故か、女性と付き合ったことがなく未だ童貞という彼から「私と恋愛してくれませんか」とお願いされて…というストーリー。


恋のウニフラ
これがウニフラ。タイトルに使っているだけあって、作品中でも度々力の入ったウニフラが登場します。


 28歳で女性経験ナシ、しかも掲載誌の編集部員…収入こそ良いものの、26歳女子としてはなかなか手を出し辛い相手でございます。けれどもヒロインのキクコは彼の「恋愛」のお願いを受け入れてしまうんですねー。それは単純に心ときめいたからだけではありません。初々しい彼とのやりとりをそのままマンガにしてみたところ、担当編集から好評だったため。長らく恋愛から遠ざかっていたため、描くマンガも薄っぺらかった彼女。ゼロから何かを生み出すほどの才能もなく、キャリア的にもラストチャンスの気配…もうここにすがるしかないという背景もありました。久々の恋のトキメキに加え、仕事も好調に働く気配…一石二鳥な恋愛に見えますが、とはいえ相手は編集者なので周囲には絶対に言えないですし、何より童貞なので女性の扱いに慣れておらず、相手の言動に落ち込むこともしばしば。決して楽な道ではないのです。
 
 編集の瑞江さんは28歳童貞ということですが、すごい性格が捻くれているとかそういうことはないのです。中高男子校で、大学は理系、社会人になってからは「自然研究」という雑誌一筋で仕事に明け暮れていたよう。いわゆる草食系の理系男子で、人柄は真面目で誠実。但し女性と関わる機会が殆どないので、女性に対する細やかな気遣いはできないというアレ。一方のキクコもしばらく恋愛から遠ざかっており、男子に対する免疫力は低下中。ということで、お互い20代中盤〜後半という年齢にも関わらず、「大人な恋愛」といった雰囲気は皆無の実に初々しい光景がそこに。当人達は必死なんでしょうけど、時に滑稽、時に羨ましい恋模様が繰り広げられます。
 

恋のウニフラ1−1
バレたらいけないので、変装してのデート。その真面目さに、ヒロインは惹かれていく。あとちょっと恋愛経験あるぶん、こちらの方が優位に立てる感覚も新鮮のよう。


 ヒロインは先述の通り才能に溢れた漫画家ではなく、崖っぷちで、自分切り売りでなんとか食いつないでいけそうという状況。編集のダメ出しにもめげずに描いてやる!といったガッツもなく、「この瑞江との恋にすがる!」というある種の開き直り感すら窺えます。一応漫画家漫画ではあるのですが、この恋愛を通して彼女が漫画家として成長するといったストーリー展開は可能性としては低そうです。あくまでメインは恋愛であり、マンガは恋愛を進めるためのアイテムといった位置付けで読むのがちょうど良さそう。
 
 ちなみに本作の表紙デザイン、先日ご紹介した「海とドリトル」にすごく似ている気がするのですが、これはわざと似せているのでしょうか。背表紙とか、レーベルで統一したのかな?とか思ってしまうほどで、表紙もなんとなく構図が似ている感があるという。もしまだ見ていない方がいらしたら、書店に行かれた際に見てみてください。


【男性へのガイド】
→瑞江さんは鼻にかからないタイプの男性で、応援してあげたくなります。男性ウケ良さそう。
【感想まとめ】
→面白かったです。「ラブコメ読んでるなぁ」という感じのする純度高めのラブコメ作品でした。割とあれこれ急展開するのですが、余計な要素を詰め込んでいないのですんなり内容が入ってくる、読みやすい作品でございました。


作品DATA
■著者:江本晴
■出版社:講談社
■レーベル:KC KISS
■掲載誌:KISS
■既刊1巻
■価格:429円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2014.07.28
1106422082.jpg磯谷友紀「海とドリトル」(1)


雨 去って
飛び立つ鳥の
みずしぶき



■大学に入って知り合った彼氏と別れた七海は、痛手を癒すために登った富士山で、クジラを捜す男2人組と遭遇する。彼らは海洋動物の行動を観測する研究者だった。彼らと海に出ることになった七海がそこで見たものは…。魅惑の海洋動物と恋の世界へようこそ…

 「本屋の森のあかり」の磯谷友紀先生の新連載になります。ちなみに磯谷先生はmotto!で掲載されていた「恋と熱病」も単行本が発売されており、2冊同時発売となります。こちらも機会があればレビューをできれば良いですね。
 
 というわけで、「海とドリトル」のご紹介に参りましょう。今回の舞台となるのは、海洋動物を研究している大学の研究室。ヒロインの七海はとある大学で心理学を専攻していましたが、失恋し傷心している中、ひょんなことから「クジラを捜している」2人組の男性に出会い、その後本当にクジラとご対面。その出来事に感動した七海は、彼らを追ってその大学の研究室に編入、海洋動物学の道を歩みはじめることになるのですが…というお話。


海とドリトル1-1
興味の対象はクジラ。実際にその姿を目の当たりにして、その魅力に一気に引き込まれてしまう。


 描かれるのは、海洋動物学というジャンルでの四方山に絡んだヒロインの「成長物語」と、研究室を舞台にしたいわゆるラボプラス的な「恋愛模様」の二本立て。海洋動物学はおわかりの通り理系で、研究室は当然男子が多め。理系研究室なので院生やポスドクなどもそれなりにおり、年齢層も割と広めです(要するに選択肢は多い)。女子も少数おりますが、それぞれキャラが立っていて、またなんとなくクセがありそうな匂いがしています。男性陣も主要メンバーは主張しすぎない中でもきちんとキャラ分けはできており、イイ線行ってる理系男子の集団という印象。
  
 「本屋の森のあかり」も仕事と恋愛のバランスがいい塩梅だったのですが、本作も絶妙なバランスで物語が進みます。海洋生物学の初心者にもわかりやすい知識解説と、魅力の描き出し。さらにヒロインを中心に個性的なキャラ達が織り成す青春模様。知的欲求と性的(恋愛)欲求の両方が満たされていく感じが良いですね。このKISSのワンテーマと恋愛のバランス感って結構難しいイメージがあって、突拍子もない業界とかを取り上げちゃうと途端に出オチ感が強くなってしまったりするんですよね。これは海洋生物学というチョイスが良かったのか、はたまた磯谷先生だからこそできるのか。えーと、なんというか、好きです。
 
 海洋生物学と言っても魚ばっかり研究しているわけではなくて、鳥や浜辺の生物なんかも研究対象になります。そのためフィールドワークは海ばかりというわけではなく、陸地で過ごすことも多いという。お泊まりしながらの研究とか、楽しそうですよね(実際はそうじゃないのでしょうが)。私は学部こそ農学部なのですが、こういったフィールドワークは殆どすることなく卒業してしまったので、なんだか羨ましくもありました。


海とドリトル1−2
ヒロインは興味だけでやって来た子ではあるものの、元フィッシング部でそれなりに実地調査で役に立てる素養はあるという。なので足手まとい感とか、そういうのはあんまりないです。


 登場人物で一番気になるのは、研究室のボス・准教授の烏丸先生でしょうか。30代後半という若さで准教授になっている出世頭なのですが、バツイチという経歴持ちなのが、どうにも気になる存在にさせていると言いますか。1巻を見るかぎりではヒロインとそういうことにならなそうな感じが強いのですが、いや一番美味しいのは彼だと思いますよ、はい。なんて他の男性陣もそれぞれに魅力的で、どのルートに行ってもそれなりに盛り上がりそうではあるのですが。


【男性へのガイド】
→恋愛色はそこまで強くなく、また草食系男子多めで、少女漫画がお好きな男性には良いテンションなのではないでしょうか。
【感想まとめ】
→面白かったです。こういう大学生活送りたかったですね。勉強も、恋もっていう。


作品DATA
■著者:磯谷友紀
■出版社:講談社
■レーベル:KC KISS
■掲載誌:KISS
■既刊1巻
■価格:429円+税


■試し読み:第1話

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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