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Tag [続刊レビュー] 2012.09.17
作品紹介→かわい千草「101人目のアリス」
4巻レビュー→クレアの魅力がついに大爆発:かわい千草「101人目のアリス」4巻
5巻レビュー→クレアさんさすがです:かわい千草「101人目のアリス」5巻




1106158370.jpgかわい千草「101人目のアリス」(6)


ありがと
オレの才能信じてくれて



■6巻発売しました。
 「君はヴァイオリンで一番になれる」ヴィックが異母兄弟・マックスを任すために自分を利用したと思い込み、傷ついたアリス。しかし混乱した彼を目覚めさせたのは、ライバル・マックスの言葉だった。「君は、本物だ」…仲間に励まされ、自分を見つめるアリスは、もう一度ヴィックと向き合うことを決意する…。
 

〜実に1年以上ぶりの新刊です!〜
 久々の新刊ですよ。なんと1年1ヶ月ぶり。毎度のことながら内容を覚えておらず、都度都度読み返すという(笑)5巻では、アリスが頑張る原動力となっていた幻のバイオリン“Margo”が見つかり、さらにヴィックがマックスの異母兄弟であることが判明と、非常に大きな動きのあった回でした。6巻ではどれほど大きく動いてくるのか…と思いきや、アリスを取り巻く物語は思いの外すんなりと良い方向へと動いて行きます。


〜イイ子すぎるアリスだが、そんな上手くいくはずないだろうに〜
 ヴィックが真実を隠していたことに対してアリスは激昂。しかし彼が自分の才能を評価していたことは嘘ではないと分かると、アリスはその怒りをやる気へと変換。ヴィックとの蟠りはなくし、本格的にレッスンに取り組むようになります。同時にジルコフ教授の特訓や、将来有望な生徒が出るというヴェルダ音楽祭への参加と、一気に追い風が吹いてきます。6巻開始時の不穏な空気はどこへやら。雰囲気的にはあと1〜2巻尾を引いてもおかしくないくらいだったのですが、どうしてこうなったのでしょう。その原動力となったのは、他でもないアリスのその行動そのものにあります。
 
 ヴィックの家族関係については「興味がない」で通し、騙していたことそのものについては、「自分の才能を評価してくれていたから」と消化。先生に対してもやる気をしっかりとアピールするし、マックスとヴィックとの兄弟関係にも首を突っ込み仲直りに執心し。一言で言うなら、物わかりの良い教科書的な「イイ子」なんです。けれども感じるのは、「よかったよかった」という感覚ではなく、明らかに違和感なんですよ。なんていうか、もっとアリスはわがままで、自分のことばかり考えていて欲しいというか。良い意味でも悪い意味でも「子供」あ印象なんですよね。この、一旦場を収めるために、で無理矢理押さえ込まれた感が、読んでいてすごかった。正直、「こんな上手く事が運んでいいのだろうか(いや、ない)」的に思っていたのですが、あとがきにて…


101人目のアリス6−1
※バレーボール=アリス



 ああ、やっぱり…。どうやら今は順調さの絶頂のようです。これが一気に落ちるってんですから、いやぁ7巻恐ろしい。読んでみたいような、読んでみたくないような…。今から読むの怖いってなかなかですよ(笑)アリスが無事であることを祈ります。



〜クレアが友達思いのステキな紅一点に〜
 さて、7巻で一気に落ちるであろうアリス。実は彼以外にも、脇役達がそれぞれに不満や不安要素を抱えています。それぞれが悪い状態にいると、復活の機会がなかなかなくなってしまうのですが、そこは紅一点のクレアに期待したいところです。今までも要所要所で良い働きをしてきた彼女。今現在の不安要素もこれと言ってなく、非常に頼もしい存在なのですが、ここにきて更に、非常に友達想いの一面を見せるようになってきました。

 今回ヴィックに騙されていたことに落ち込んでいるアリスを見るや、その悩みをごくごく自然に聞き出して…
 

101人目のアリス6−2
ヴィックに電話してこれ


 今までのアリスだったら、このへんはスルーして当然ってくらいのイメージです。それが今や自ら首を突っ込み、友達を想ってあげるという。これ、アリスが自然に話したって感じなのですが、クレアって自らそういう雰囲気出していて、引き出したと言っても同然。こういう雰囲気の人っているんですよね。なんでも話せちゃう、みたいな。しかも無闇にそのことは他人に話さない、気遣いも出来たりするものだから、もう素敵。また彼女、一緒につるむメンバーだけでなく…


101人目のアリス6−3
マックスにも


 クレアの真意は正直様々ありそうで、現時点でコレとは言えないのですが、単純にマックスに興味があるのか。マックスに話しかけるには、それ相応の音楽の実力がないと話しかけにくいものなのですが、クレアはその辺もしっかりクリア。基本空気読めるのですが、時に敢えて空気を読まない時があったりと、本当に動ける人です。テオ、ヴィック、アリス、そしてマックスと、主要な生徒達相手に自由に動くことができる彼女が、不穏な空気漂う7巻で躍動してくれるのではないかと、期待が膨らみます。てか何より彼女が好きなので、活躍してくれたらそれだけで嬉しいっていう、一ファンとしての期待感でしかないのですが(笑)


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Tag [続刊レビュー] 2011.12.19
作品紹介→*新作レビュー*雨隠ギド「まぼろしにふれてよ」




1106096773.jpg雨隠ギド「まぼろしにふれてよ」(2)


力になりたいんです!
道具は私たち人が作ったものだから!



■2巻発売しました。
 “欲魂”回収を続けるうち、道具にも想いがあることを知ったひとこは、道具の願いを覚えていようと思い始める。そんなひとこが初めて心を通わせたお布団のツクモ。彼女が去り際に残した「テンコウセイに気をつけて」という言葉が気になっていたある日、クラスに転校生がやってきて…!?ひとこも知らないひとこの過去の扉が開きはじめる…
 

~1年以上ぶりの新刊です!~
 長かった!1巻発売が2009年11月と表記されていますから、なんと2年ぶりの新刊ですよ!ずっと「2巻まだかな、2巻まだかな」と思っていたので、発売予定にこの名前を見つけた時は本当に嬉しかったですよ。


~狐かと思ったら狸だったでござる~
 2巻は1巻ラストにて布団のツクモが残した「テンコウセイに気をつけて」という言葉を発端として、物語は進んでいきます。案の定、「転校生」がやってきたのですが…
 
 
まほ#12441;ろしにふれてよ2-1
ツンツンかわいい


 なんか見ためといい、金髪というところから、「あ、この転校生絶対キツネだ。間違いない。」なんて思っていました。そういえば女性のタイプってキツネ系とタヌキ系で語られることがしばしばあるような気がします。個人的にはたぬきっぽい方が好きでしょうか。キツネ顔も好きですが(両方好きなんかい)。男性の場合、しょうゆ顔とソース顔で語られたりしますよね。私は典型的なしょうゆ顔だと言われます(どうでもいい情報)。さて、だいぶ話がそれてしまいましたが、転校生の二人ですよ。容姿的にキツネだ…!と思っていたら、
 
 
まほ#12441;ろしにふれてよ2-2
タヌキでしたー


 ですよねー。にしても二人ともタヌキというよりも実にキツネっぽい容姿。なんとも紛らわしいではないですか。しかもこの「のう姫」、典型的なツンデレタイプということで、個人的には「ごちそうさま」の一言です。ライバルポジションのツンデレキャラって、高確率で健気で純粋なのですが、この子もまた同じく「役にたちたい」という一心で動く健気な性格の持ち主。素直じゃない分余計に一生懸命なところが、素敵ではないですか。そして空まわる姿に余計萌えるという。
 
 なんとも楽しみな新キャラの登場ですが、どうも彼女たちはその「テンコウセイ」ではなかったみたいです。じゃあ一体誰が?ということになるのですが、そもそも「テンコウセイ」=「転校生」なのかっていうところから個人的には引っ掛かっていて、意外と違う漢字が充てられたりするんじゃないのかな、とかだいぶ穿った見方をしていたら…
 
 

テンコウセイ
ここで狐さんきたー


 やっぱり違う読み方でした。そしてこのタイミングで狐登場。この人も狐の美人さん(そもそも女なのだろうか)なのですが、私はやっぱりのう姫が良いです。ここで描かれたのは、ひとことリッピーの出会いと一つの別れ。過去回想的に描かれるこのお話は、2巻の中でも特に重要でかつ感動的なものになっていたのですが、そのまま2巻は終わり。結局このテンコウセイが何なのか、そしてこの狐の意図は何なのかは分からずに終えてしまいました。一つ言えるのは、ひとこは今ちゃんと自分に与えられた役割を全うしているということ。その中で、狐の存在がどう影を落としてくるのか、この後要注目のファクターが出てきました。なんとなく見ていても、狐が悪者のようには見えないんですよね。リッピーができた経緯だって恐らく狐の言っている通りで、多分真実を伝えているのでしょうし。一体テンコウセイがどのような存在で、どのような意図を持って絡んでくるのか、3巻を楽しみに待ちたいと思います。なんて3巻出るのいつなんでしょうか…。このペースで行くと、2013年?


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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2011.12.08
1106096774.jpgシギサワカヤ「さよならさよなら、またあした」


…彼女が
溶けて消えそうに見えたので



■心臓疾患のため、生まれてすぐに余命20年と宣告を受けた育。無気力なままに地方の女子校に赴任してきた正嗣。優等生である自分を好きになれない万喜。上手くいかないこともあるけれど、柔らかな幸せを感じるそれぞれの日々。「明日を今日にする」のは、こんなにも大切なことで、「当たり前の毎日」は、奇蹟が積み重なったものなんだ…

 シギサワカヤ先生のウイングスでの連載作です。シギサワカヤ先生の作品を当ブログでご紹介するのは初めてなんですよね。確かにあまり女性向けの媒体で描いているイメージがありません。こちらはウイングスにて連載されていた作品になります。もう表紙の女性の表情を見ただけでやや生気を削がれる感じで、「ああ、シギサワカヤ先生だなぁ」と(笑)
 
 物語は主要登場人物となるとある3人の視点が巡り巡る形で進んでいきます。一人目は表紙に描かれている少女・育。生まれてすぐに20歳まで生きられないかもと余命宣告をされ、以来両親の過保護の元、どこか無気力に流されるように生きてきた彼女は、1999年のとある騒動(ノストラダムスのあれです)に自分の運命を託すように(というかヤケクソに)、とある大胆な行動に出ます。そのターゲットとなったのは、彼女が通う女子高で教師をしている正嗣。父との確執から家から追い出され、親類を頼って縁故採用でこの女子校へ流れてきた彼が、この物語の2人目の主要人物。当然熱意など持っておらず、なんとなくで日々を過ごしていたところ、少し関わったことのある育から、卒業を前にしてまさかの逆プロポーズを受けるのですが…というお話。


さよならさよならまたあした1
ありふれた言葉であっても、使い方一つで誰かを救うかもしれない。見える形、見えない形での奇蹟が積み重なり、明日を作る。


 結局世界は滅びずに、けれど何故だかその結婚の話は流れずに、お話は続いていきます。そこを軸に、さらに物語に絡んでくるのが、育の小学校からの友人である万喜。メガネにちょっと無愛想な感じは、まさに“委員長”というタイプの真面目な彼女は、数少ない育の心許せる友達でした。以上3人の視点が入れ替わり立ち替わり、時は1990年代前半から、今の今まで飛び飛びに描かれ紡がれる物語は、幸せばかりではないけれど、それでもその中に埋もれた小さな幸福をしっかりと切り出し、心にじんわりと沁みるお話となっています。
 
 まず特徴的なのは、登場人物たちの名前でしょう。体が弱く余命宣告すらされているヒロインが「育」。跡継ぎ失格の烙印を押され、半ば逃げるように家を出ることになった相手役は「正嗣」(嗣は跡継ぎとかいう意味があります)。そして真面目に生きすぎたがために、人並みの触れ合いや喜びを掴んでこれなかった感のあるヒロインの友達が「万喜」。序盤物語に漂うのは、それぞれその背中に背負う「願い」に応えることができず、どこか無力感さえ感じさせる空気。そんな毎日を変えるきっかけとなるのは、人騒がせな予言であったり、絶対に関わることもないであろう歳の違う子であったり、自分とはタイプの違う器用な同僚であったり。


さよならさよならまたあした2
タイプの違う人間だからこそ話して楽しいこともあるし、同じ部分を抱えているからこそ仲良くなれることもある。終始真面目なわけでもないし、時には楽しく。コメディパートももちろんあります。


 意識してみなければ、これらはどこにでもあるような何気ない日常の風景。けれども意識してみれば、それは特異なシチュエーションで、そして深く見つめ考えれば、奇蹟の積み重ねのようにさえ思えてくる。タイトルの「さよならさよなら またあした」という何気ない言葉も、この物語を読み終えて改めて見返してみると、その重みがわかるってものです。相も変わらずどうすることもできない無力さはあるけれど、その中でも自ら意思を持って生きていくためのちょっとしたヒントが、無駄に飾られることなく描き出されている一作。読んだ人には、何かしら感じるものがあるのではないでしょうか。毒とも薬ともわからない、独特の雰囲気を纏った作品ですが、一読の価値はあると思いますよ?


【男性へのガイド】
→シギサワカヤ先生自身、様々な雑誌にて描かれてますしそもそもの受け皿は広いかと。単純に作風が合うか合わないかの問題じゃないでしょうか。
【感想まとめ】
→またしても読むのにエネルギーを使う作品が。ただこちらはHPがガリガリ削られている感はそんなになかったので、割と救いのあるお話なんじゃないかと思います。最後をどう受け取るかですが、それは読んでからのお楽しみ。


作品DATA
■著者:シギサワカヤ
■出版社:新書館
■レーベル:ウイングスコミックス
■掲載誌:Wings
■全1巻
■価格:590円+税


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Tag [新作レビュー] 2011.11.08
1106084717.jpg紺野キタ「カナシカナシカ」


おまえの世界へ戻れ


■幼い頃から誰かの気配を感じていた藍。勉強も運動もまるでダメ。いじめられそうになったこともあるけれど、何故だかみんな自分には手を出そうにも出せなかった。そんなある日、迷い込んだ異世界で母親によく似た少女・すずろと出会う。彼女こそ、両親の本当のこどもで、自分は異世界の出身で、母親のお腹の中で二人が入れ替わったのだと知った藍は!?

 「つづきはまた明日」(→レビュー)などを描かれている紺野キタ先生の、不思議な「縁」で結ばれた少年と少女の交流を描いたチェンジリング・ファンタジーでございます。あらすじ読んでもよくわからんという方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にこういうお話なので。。。主人公はどんくさくて勉強もできなくて、容姿も家族とは全然違う中学生の男の子・藍。生まれたときから誰かの気配を隣に感じていた彼は、ある日偶然発見した異世界への入り口を潜り、一人の少女と出会います。その少女こそが、自分が幼い頃から感じていた気配の持ち主。すずろと名乗るその少女は、見るからに母親にそっくりで、母親のお腹の中で彼女と入れ替わってしまったことを知るのでした。以後たびたび異世界を訪れるようになった藍ですが。。。というお話。
 
 日常に潜む異世界への扉と、自分の出自とその存在意義について思い悩む少年のお話。紺野キタ先生の作品は、割とあたたかい家族関係を描くことが多いような気がしていたのですが、今回は出発点に割と仲の悪い家族関係というのがありまして。妹と祖母から疎まれていて、そのことを本人も気にしているんですよね。そして自己評価が下がりどうにも我が家に居場所を見出せないでいる中、実は自分が母親の子供でなかったことがわかり、一層当人は葛藤することに。しかも自分は虫の子供だと来たもんだ。虫の子供である以上、生きやすいのは異世界であって、またすずろは本来こちらの世界で生きるべきだった。おとぎ話然としていますが、そこで描くのは結構シリアスで重苦しい話だったりします。


カナシカナシカ
すずろとの出会いで、揺らぐ自分の居場所、存在。


 異世界についてはあんまり説明ないのですが、それも語らせず雰囲気で享受してもらえれば。ベースはすずろとの対話。表紙の女の子ですごくちんまりとしているのですが、その物腰はわりとハッキリ。全てを見通しているかのような話し振りでもあります。その他にもなんだかヘンテコな生物が出て来たり、ファンタジックな要素はたくさん。作中でも「神隠し」という言葉で語られていますが、千と千尋の神隠しなどにも通ずるような、和ファンタジーとなっていますよ。

 様々な出来事や葛藤を経て、結局藍はひとつの答えを導き出すことになるのですが、その答えというのが多くの選択肢から自ら選び取るのではなく、“それしかなかった”上で自ら納得させるというように映るのが、この物語の美しさでもあり、納得しきれないところでもあったり。最初の設定から、自ら選びとっていくブレイブストーリー然としたものを想像していたのですが、恐らくそれは最初から考えられていなくて、どちらかというと今置かれている現状を納得させるという方向のお話なのかな、と思います。そういう構えで読めば、全く違和感なし。どちらにせよ、淡く派手さはなくともラスト非常に「救われた」感のある素敵な物語となっています。
 
 
【男性へのガイド】
→紺野キタ先生の作品は男性もお好きな方多し。すずろもさることながら、多分この主人公こそが受け入れる間口を広くしてくれる存在かと見ています。
【感想まとめ】
→終始雰囲気が良いわけでも、メッセージがはっきりと伝わってくるわけでもないのですが、それでも最後しっとりあたたかく終わらせてくれるので読後感は良いです。紺野キタ先生のファンタジーがお好きな方は是非。



■作者他作品レビュー
「SALVA ME」「日曜日に生まれた子供」「夜の童話」



作品DATA
■著者:紺野キタ
■出版社:新書館
■レーベル:ウイングスコミックス
■掲載誌:ウイングス
■全1巻
■価格:590円+税


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Tag [新作レビュー] 2011.09.06
1106062778.jpg夏目イサク「あやかり草紙」(1)


俺の願いごと
叶ってたよ



■三年前に両親を亡くし、親戚の家で肩身の狭い想いをしていたひまわり。ある日何気なくお参りにきた神社で、“社長”と呼ばれる胡散臭い男と、巫女さん姿の女の子“マル”に声をかけられるも、彼らはなんと神様!彼らに気に入られたひまわりは、半ば強制的に、少ない参拝客の願いを叶える手伝いをさせられることに。連日神様達にこきつかわれて、他人の願いを叶えながら、自分の願いだけがわからずにいたけれど…?

 主にBLでご活躍なさっている夏目イサク先生のウイングスでの連載作でございます。主人公はケガで部活を休んでいる中学生の男の子・ひまわり。向こう見ずで自由な性格の両親に振り回されるように、全国各地を転々としあげく両親は事故で他界。親戚は自分を引き取ってはくれたものの、両親を疎ましく思っていたため扱いはぞんざい。そのためひまわりは家に居場所も作ることができず、鬱屈とした日々を過ごしていました。そんなある日何の気なしに訪れた人気のない神社。せっかく来たのだからとお参りをしたら、怪しげな男女に声をかけられた…と思ったら突然その二人は消え失せて!?なんとその二人の正体は、神社の神様。神様が見える体質ということで「これは良い」と、半強制的に神社のお手伝いをさせられることになるのでした。お手伝いとは、神社に訪れる人たちの願いごとを叶えること。連日神様達にこき使われる中、自分の願いだけがわからずにいたひまわりでしたが…というお話。


あやかり草紙
人の願いを叶えることで、自分も成長していく。

 表紙やタイトルからもわかるとおり、和物ファンタジーでございます。元気いっぱいだけどちょっと擦れた主人公と、そんな彼に無理矢理手伝いをさせることで自然と彼の居場所を作る、優しい物語。物語は1話読切り形式で、参拝客のお願いごとを叶える形で展開。その中で主人公が抱える寂しさや悩みを浮かび上がらせ、最終的にそれを癒し解決するというパターンが定型となります。両親に散々振り回されて苦労をした少年が、またしても散々振り回されて幸せを見つけていく様子は、まさにハートフル。決して感動一本というわけではないのですが、物語の根底に流れる「温かさ」は作品全体に良い影響を与えており、読むと優しい気持ちにさせてくれる一冊です。
 
 BL作家さんということで、男キャラ多めでBL臭のする組み合わせも多々あるのですが、そういったエッセンスを残した方が既存のファンもガッツリキープできるということなのかもしれません。やたらと裸になる狛犬(人の形)は過剰演出な気もするのですが、むしろ迸るホモの香りは主人公と親戚の男の子であったり、もう一人の狛犬であったり。。。いや、そういう目で見るからそう映るだけか。。。そんな中一服の清涼剤となってくれるのは、神社の神様でもある女の子・マル。この子が神様になった経緯を描いたお話が、ベタなんですが泣けるんですよ。こんな風に思ってくれているのだとしたら、自分達も幸せだなぁ、なんて。ちょっと物を大事にしようと思える一話でした。詳しい内容は、読んでからのお楽しみです。


【男性へのガイド】
→BL感を押したようなレビューになりましたが、そこまで強く薫るというわけじゃないですので、ご安心を。
【感想まとめ】
→1話1話しっかりとハートフルに感動を用意してくるのはさすがの腕前というところでしょうか。この手のお話はさほど珍しくないのですが、しっかりと作者さんの味付けをして、読ませる物語に仕上げています。


作品DATA
■著者:夏目イサク
■出版社:新書館
■レーベル:ウイングスコミックス
■掲載誌:Winds(連載中)
■既刊1巻
■価格:590円+税


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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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