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Tag [続刊レビュー] 2013.11.27
1巻レビュー→自分が幸せになれないと決め込んでいるあなたへ:西炯子「姉の結婚」1巻
2巻レビュー→“なりたい自分”と“なりたくない自分”:西炯子「姉の結婚」2巻
4巻レビュー→“どうすべきか”と“どうしたいか”:西炯子「姉の結婚」4巻
5巻レビュー→唯一傷つけ合える関係:西炯子「姉の結婚」5巻
作者他作品レビュー→笑いと涙の芸道一直線コメディ!:西炯子「兄さんと僕」
崖っぷち28歳とロリふわ22歳の凸凹婦警コンビが行く!:西炯子「ふわふわポリス」



1106339905.jpg西炯子「姉の結婚」(6)


「欲しいもの」
それはいつも手に入らない
どこに行けば手に入る…?



■6巻発売しました。
 真木誠との不倫関係を解消した後、地元での生活に閉塞感を抱きつつも仕事に打ち込む岩谷ヨリ。そんな彼女に、東京に出てくるようにアプローチし続ける人気作家・夢幻堂遥。一方、ヨリを諦めきれない真木は、ある気一空くを実行に移すことに…。アラフォー女性の不安と葛藤。オトナ女子必読の恋愛指南、第6巻!
 

〜幸せな妹、幸せな友達〜
 早6巻、白ベースの表紙は彩り豊かな本棚の中でも毎回目を引きますね。物語は二人がそれぞれ、現在の生活に変化をもたらそうと様々画策する様子が描かれます。そのため、二人が相見えて何かするということはなく、完全に別行動での進行。
 
 まずはヨリの身辺で起こった変化ということで、夢幻堂遥から東京へと誘われるという出来事がありました。ただこれは、どちらかというと目に見える選択肢。むしろ個人的に印象に残ったのは、ヨリの身近な二人の結婚でした。
 
 
〜いつから友達の結婚が堪えるようになるのだろう〜
 まずは彼女のおひとり様仲間であった新川さん。カミングアウトの直前まで、ヨリは「仲間」なんて意識を持っていたようですが、その後に結婚を報告されます。それを受けて、お互い「おめでとう」「ありがとう」というやりとりをしていたのですが…


姉の結婚6-2
何気に友達の結婚報告が堪える


 性別的にも年齢的にも、自分自身でなかなかこういう感覚を味わうことはないのですが、職場の同僚の女性のお話を聞いていると、段々と友達の結婚式に行くとツライ・堪えるようになってくるようです。その辺って、いつ頃から感じるものなんでしょうか。自分の精神状態に比例しそうなものではあるのですが、自分には想像のつかないような感覚がそこにはあるのでしょう。私は結婚式に行くたび「もし自分が結婚してもこんなに人呼べないわ…」と不安になるときはありますが、そんなのは可愛い悩みなのでしょう。
 
 一方、こうしておひとり様同盟みたいなくくりで付き合うようになると、逆に報告する側も気を遣いそうですよね。内心「ごめん」とか言っちゃいかねなそうなのですが、それは決して口にしちゃダメ。「ありがとう」「おめでとう」は美しくあるべきやりとりではあったのですが、どこかよそよそしい感じがしなくもなかった…というのは、穿った見方をしすぎなせいですかね。


〜幸せな妹の結婚〜
 続いては、ヨリの妹であるルイの結婚。キャラ的にササっと結婚しそうという印象でしたが、やはり。こういう人って、いますよね。わがままなんですけれど、愛されていて、そして自分の思い通りの人生を送っている人。素敵で、そして羨ましい生き方です。そんな彼女の相手役となったのは、昔はワルだったけれど今は穏やかな好青年。


姉の結婚6-1
非常に優しそうで、そしてルイのことが大好き。彼女の全てを受け入れているような雰囲気で、「この人絶対相手のこと幸せにできるな」感がすごい。


〜二人の結婚が表しているもの〜
 印象的なのは、どちらも幸せに溢れている表情をしていること。いや、そりゃあそうか。結婚する時なんて、幸せなはずなんですもの。なんかこの作品で描かれてた結婚って、なんだかすごく歪んでいたんです。それは、家族という枠で捉えたときも同じ。6巻にて描かれますが、真木の家もヨリの家も、どこか歪みがあったように映ります。そこかしこにある歪み。正しい家族というのは決して存在しないけれども、理想はそれぞれの中に確かにある。それを欲求することが、根源的な結婚に対する原動力になるんじゃないかとも思うのです。新川さんの結婚もそうですが、何よりルイの結婚が、それを体現するシンボリックなものになってくるんじゃないのかな、とかちょっと思ったり。あそこだけは、いつまでも幸せたっぷりな雰囲気でいて欲しいものです。

 あ、あとどっちも男の方からの猛烈アプローチなんですよね。真木もそうですけど、そういう文法じゃないとだめなのかしら。もちろん男性がプロポーズをする方が形にはなるんですけれども、精神的な力関係で、明確に追う側と追われる側が別れていまして。そんな中、ヒロインのヨリも、真木の妻も、真の意味では必要とされた経験がない人でした。そんな結婚できない(しづらい)人との対比として、描かれているのかもしれません。結婚が恋愛の延長であり、恋愛とはどこまでも相手を欲するものなのだとしたら、ヨリはそこまでして欲した存在がいなかった(ゆえに真木の恋愛云々の話が出てくるわけで)。これはやっぱり自ら動かないと、ということなのでしょうか。だから、ヨリが重ねるべきは新川さんでもルイでもなくて、そのお相手ということになるのかもしれません。


〜子供の存在〜
 今回は、結婚を考える際に切っても切れない関係である、とあるファクターについてあれこれ描かれていました。そういえばこれまでガッツリこのテーマについては描かれていなかったような気がします。それが、子供の存在。今回描かれたのは3度。ひとつは、不倫相手の子供を身ごもった女性との再会。そしてもう一つが、ヨリ自身が妊娠したとウソをついたこと。そして最後のアレ。いやそう来ますか…。
 
 物語的に一番大きな意味を持つのは最後ですが、ヨリのそれも結構印象的でした。彼女には子供をもうけたいという欲求があるのか、ってのがちょいと気になるところです。当時はそういうことはあんまり考えずにあのウソをついたのでしょうが、気がつけば妊娠出産が厳しい年齢へと段々と…。そういった欲求もまた、結婚への意欲として反映されてくるところだと思うのですが、ヨリの場合はその辺もやや弱い感が。とにかく理路整然と収まり良く生きるための選択肢として“結婚”があるようで。繰り返しになりますが、もっと収まらないほどに自らの欲求で動く姿が見たい…!

 なんだかとりとめのない文章となってしまいましたが、色々と考えさせられることの多いお話でした。ほんと読み返すのも億劫な文章に…。内容も問題ありかもしれません、すみません。はい。

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Tag [新作レビュー] 2013.11.19
1106339904.jpg絹田村子「花食う乙女」


この粗忽者


■野草を食べて空腹をしのぐほど貧乏な占い師・谷口遠子が住み込みバイトでもぐりこんだのは、大学付属の薬用植物園。冷徹な研究者・宇佐美に振り回されたり、園内の植物がらみのトラブルに巻き込まれながらも、満腹時のみ百発百中の占いで、次々難関を乗り越えていく…!?植物うんちくあり、ミステリーあり、ちょっぴりラブもありの新感覚ネイチャーコメディ!!

 「さんすくみ」(→レビュー)の絹田村子先生の連載作です。巻数ついていないのでこれで完結でしょうかね。コメディなので、きちっとした締めがないという(笑)本作、タイトルから色々と想像する所があるかと思いますが、薬用植物園でのお話です。決してベジタリアンとか、女版岡本信人的なお話ではありません。ヒロインは、食うや食わずのギリギリの生活を送っている占い師・谷口遠子。所持金がなく、野草を求めて徘徊しているうちに、とある大学の薬用植物園へと迷い込んでしまいます。最近頻発しているという薬草泥棒として捕まったものの、占いによって犯人を見つけ出し、さらにバイトとして雇ってもらう所までこぎつけます。食い扶持を見つけたのは良かったものの、そこには冷徹で変わり者な研究者・宇佐美がおり、何かと振り回されてしまうのですが…というお話。
 
 花食うと言いつつ、花を食べるシーンはあまりなく、むしろ草、それも毒草を口にする描写が非常に多いのが印象に残りました。大学付属の薬用植物園ということで、そこには様々な薬用効果のある植物が栽培されています。中には食用のものに見えて全然違う毒草があったり。そういったものに尽く引っ掛かるのが、このヒロイン。あらまし紹介だと、ヒロインがまともで研究者の宇佐美が変人かのように受け取られるかもしれませんが、二人ともかなり変わっています。ただタイプは真逆で、ヒロインが短絡的でアホなのに対し、宇佐美はやや身長で捻くれた感じ。
 

花食う乙女
ヒロインは自分が得しようとしてドツボにはまり、結果まわりに迷惑をかけるような展開が多く、また宇佐美にあれこれ嵌められるパターンも多いという。一歩間違えればTRICKでの仲間由紀恵的なのですが、彼女の挽回ってそんなに多くなくて、結局やられっぱなしっていう所が泣ける。そこが魅力でもあるのですけれど。このパターンで毒草を引く率の高さたるや。


 恋愛要素はほぼナシ。もしこれが連載続くという形になればあるのかもしれませんが、ひとまず現時点ではなし。恋愛よりも何よりも、まずは衣食住という感じが強いからでしょうか。占いの力は満腹時にしか発揮されないため、余計にその感が強くなります。読んでいて、これ占い料金を現物(ご飯)にしたいいんじゃないかとか思ったのですが、そうもいかないのか。
 
 私は大学時代農学部だったので、こういった植物園というか農園は懐かしさを覚えます。ケシの花とか、そういえば栽培されているとかあったっけ。私は専攻がこういう系統ではなかったので、何ヶ月か限定で通っただけなのですが、キウイを収穫したりネギを植えたりと、なかなか長閑な日々でした。やはりそういう場では「これちょっと採っちゃっても大丈夫かな」とか下心が芽生えるわけですが、そんな欲求を心置きなく発揮してくれているヒロイン、ちょっと羨ましいです。


【男性へのガイド】
→専門知識が身につくほどでもなく、単純に職場コメディをみたいという方に。
【感想まとめ】
→絹田村子先生の作品らしい、ゆるめのコメディ。なのでポイントを絞って説明するのが難しいのですが、相変わらずなので、「さんすくみ」がお好きな方は変わらず楽しめると思いますよ。


作品DATA
■著者:絹田村子
■出版社:小学館
■レーベル:フラワーコミックス
■掲載誌:flowers
■全1巻
■価格:429円+税


試し読み

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Tag [続刊レビュー] 2013.11.14
作品紹介はこちら→*新作レビュー*水城せとな「失恋ショコラティエ」
2巻レビュー→徐々に他のもので浸食されていく、爽太のチョコへの想いがどうしようもなく面白い物語を生む《続刊レビュー》「失恋ショコラティエ」2巻
3巻レビュー→恋をするからこそ飛び出す、迷言&名言集:水城せとな「失恋ショコラティエ」3巻
4巻レビュー→諦めるための恋愛思考:水城せとな「失恋ショコラティエ」4巻
5巻レビュー→前向きな失恋と正しい恋愛:水城せとな「失恋ショコラティエ」5巻
6巻レビュー→失恋すら想い通りにさせてもらえない:水城せとな「失恋ショコラティエ」6巻
関連作品紹介→水城せとな「黒薔薇アリス」
恋の予感に、脳内会議は紛糾!?新感覚ラブパニック:水城せとな「脳内ポイズンベリー」1巻




1106318577.jpg水城せとな「失恋ショコラティエ」(7)


もしも生まれ変われるなら
彼女の赤血球になりたい



■7巻発売しました。
 チョコ好きな人妻・サエコに恋するショコラティエの爽太。長年に渡る想いに決着をつけるべく、バレンタインを機についに告白。潔くフラれて終わりにするはずが、彼女からの返事がないまま迎えたホワイトデー。家出してきたサエコを店に泊めてしまった爽太は…!?忘れられない夜がくる……。
 

〜ついに来ちゃいましたよ〜
 7巻にしてついに訪れました。はい、サエコさんとの情事が…。もう前々巻あたりから雰囲気バリバリだったのですが、一気にいきましたかー。弱っている所につけ込んで…というのは恋愛における常套手段ではあるのですが、こちらの場合はちょっと勝手が違うようで、爽太からしたら完全に青天の霹靂。主導権は完全にサエコさんで、来たその夜に抱かせるって手腕がもう凄すぎる。
 
 
失恋ショコラティエ7−1
一旦落ち着いたら後日立て直しってな感じになりそうなものの、抜け目無く忘れた携帯をゲットして引き寄せるっていう。シャワーも完全に狙って浴びてたでしょう。まったく、翻弄されたい(願望)。

 
 しかし爽太もずぶずぶです。正直必死に靴占いしてるあたりでは「お?頑張ってる頑張ってる。もしかしたらちゃんと逃げ切れるんじゃね?」とか期待していたのですが、やっぱりダメでしたねー。携帯を取りに行ったのが運の尽きといいますか、意思の尽きと言いますか。このどうしようもなさが、なんともやるせないです。これまで散々願っていたことだとはいえ、タイミングは最悪で、どちらを選んでも正解であり不正解であるというか。一旦落ちてしまえば後は楽なもので、あとは転がり続けるだけ。「えれななんていなかった」ばりにその後はサエコさんに溺れていきます。そりゃあ積年の想いが成就したわけですから、そこに夢中になるのは当たり前ではあるのですが、それでも一度は心に決め、ギリギリまで迷った女の子の事を割とさらっと流せてしまうのはスゴいというか、怖いなぁと。
 

失恋ショコラティエ7−2
だってラストなんか、めっちゃワクワクしてましたからね。えれなに対する後悔や罪悪感なんて皆無というか、すげー心強いですよね。


〜二大不憫の激突〜
 斯くしてえれなは爽太にフラれてしまったわけですが、確かにこの二人、付き合ったとしてもあまり上手くは行かなかったのではないかと思います。お互いに別に好きな存在がいて、同じ傷を舐め合えたからこそ成り立っていた関係ですから、好意的には見れども、やっぱりどこか不健全。そして振り返ってみれば、えれなってものすごく不憫な役回りだなぁと。
 
 登場後少しして、いきなり想い人にフラれますし、さらにその後別の男(爽太)に散々期待させられておいて捨て置かれるという。この子この作品でなんか良い事あったかな、ってぐらいの勢いで不憫です。
 
 そしてもう一人不憫なのが、薫子さん。いやーこの人もえれなに負けてない!すげーサバサバしていそうで一番メンタル弱めっていいますか、気にしぃですよね。タダでさえサエコさんのことが嫌だったのに、あろうことか職場の上で寝泊まりして挙げ句好きな人とやってるっていう。また彼女からしたら、職場(カウンターのこちら側)はサエコさんに邪魔されることのない、薫子さんと爽太が唯一交われる場所=聖域のような感覚があって、そこを冒されたというショックも、イライラをより募らせる要因となっているのではないかと思ったり。
 
 そんな不憫な二人が、今回夢破れた後に相見えるという(私にとって)最高のシチュエーションが訪れました。


失恋ショコラティエ7−3
 結果薫子さんがえれなに言いたい放題言って勝ちを収めるわけですが、彼女が放った言葉ってそのまんま薫子さんの心に突き刺さるブーメランという。言えば言うほど自分に返ってくるし、悪役になってはみたものの、それで平気でいられるほど強い心も持っていない。結果一番負けてるのって、薫子さんなのかもしれません。


 これでえれなは撤退になってしまうんでしょうか?ひとまず薫子さんが不憫役を一手に担うことになりそうですが、その後薫子さんは変な方向に。


失恋ショコラティエ7
何故かサエコさんに薫子さんが恋愛のレクチャーを受ける。

 
 薫子さんはこの一連の流れを「洗脳」と表現していましたが、本当に端から見たら洗脳そのもので、薫子さんが今後どう迷走するのか非常に楽しみです。てか何よりもまず目が行くのが二人の服装の違いですよ。サエコさんは女性っぽい感じのある服装で、一方の薫子さんは媚び売り一切ありません的なニット+パンツスタイル。あからさますぎて結構辛い。女性受けはどっちが良いのかはわかりませんが、男は基本前者が好き(だと思います。もちろん私も。)。あ、ただ普段薫子さんみたいな格好している人が、突然ちょっと男ウケする感のある服とかを着て、過剰に意識して恥ずかしがっているのとか見ると、すごくキュンとします(実体験)。


〜これから爽太はどうするのか問題〜
 さて、今後の展開はどうなるのか。なんていうか、一応爽太の願いは成就してしまったわけで、これからの方向感と言いますか、どうするのかなぁと。もちろん問題は山積していますが、えれなのことに後ろ髪ひかれる感もなく溺れまくっている彼の様子を見ると、問題がちゃんと問題として機能するのか不安もあり。なんて、絶対このあとドロドロですもの。楽しみでもあり、怖くもあり。さてさて、8巻ではどんな泥仕あ…ではなく、掛け合いが見られるのか、じっくり待ちたいと思います。

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2013.07.29
1106288644.jpg小玉ユキ「月影ベイベ」(1)


こいつの踊り見とると
胸の奥が苦しくなるがは
なんでなんやろ



■情緒溢れる町に小さな風がそっと吹き込み、人々の内に秘めた「何か」が動きはじめる…。伝統芸能“おわら”を守り継ぐ地方の町に、東京から転校してきた少女・蛍子。地元の少年・光はある日、誰もいないはずの教室で彼女の意外な姿を見て…!?

 「坂道のアポロン」(→レビュー)の小玉ユキ先生の新連載作です。前作は1960年代の長崎が舞台でしたが、本作は現代の富山のとある町(八尾)が舞台です。描かれるのは、伝統芸能である“おわら”をめぐる、秘密が入り交じった青春物語。主人公は、“おわら”が息づく町の高校に通う光。伝統芸能である“おわら”を愛する彼は、学校で「おわらファイブ」などと呼ばれ、結構な人気者。そんな彼のクラスに、ある日東京から転校生・蛍子がやってきます。体育の時間、誰もいない教室に光が行くと、そこには“おわら”を美しく踊る蛍子の姿が。東京の人間が知るはずも無い“おわら”を、こんなにも美しく踊るその姿に見とれた光は、その日以来彼女のことが気になるように。しかしどうやら彼女には、何やら秘密があるようで…というお話。
 

月影ベイベ1−2
恋愛には興味はないが、おわらには興味がある。そんな主人公の興味を惹き付けたのは、黒髪が美しい東京からの転校生だった。そしてその興味は、やがて踊りから本人へと向けられていくのですが。。。


 “おわら”というのはこの作品を読んで初めて知ったのですが、富山の伝統芸能で、今ではおわら風の盆というお祭りに、このおわらを観にたくさんの観光客が訪れるようです。例年9月1日〜3日にやっているようですので、ご興味のある方はチェックしてみては。
 
 さて、話が逸れましたが、物語の方に戻しましょう。主人公は、そんなおわらが大好きな高校生。そんな彼が、謎多き東京の転校生のおわら踊りを目の当たりにし、次第に惹かれていくことから物語は大きく動いていきます。単にそれだけであれば、爽やかな青春恋愛ものに落ち着くのですが、そうはいきません。彼のもう一人の親のような存在である喫茶店のマスターと、その転校生・蛍子はどうやら顔見知りで、しかもただならぬ関係のよう。


月影ベイベ
そこでは見るからに恋愛の匂いが放たれておりまして、けれども二人は頑なにその関係について話そうとしない…そんな所に主人公は自ら首を突っ込んで行き、その謎を明らかにし、さらにはその関係に変化をもたらす役回りになってくると思われます。前作は友情を軸に据えていましたが今作は恋愛。ということで、また違ったテイストになってくると思われ、楽しみですね。
  
 転校生との恋物語に、過去の関係を持ち込んで、より複雑で深みのある物語に。果たしてどのような過去があるのか。物語のポイントはまずそこなのですが、1巻時点では全くその全容は明らかになりません。そういう意味で、1巻は物語展開の準備をした段階で、本格的に動いてくるのはこれから。とはいえ現時点でかなり引き込まれるものがあり、続きが大いに楽しみです。
  
 また本作は現代の物語のはずなのですが、その舞台がそうさせるのか、おわらという舞台がそうさせるのか、どこか懐かしい香りのする、非常に情緒溢れる雰囲気となっています。読んでいるだけで、その世界に引き込まれるような感覚があります。これは前作も同様で、小玉先生のファンも納得のはず。もちろんまだ小玉先生の作品を読んだことがない方も、充分にその世界を堪能できる一作となっていると思いますので、どちらにせよおすすめです。面白かった。


【男性へのガイド】
→坂道のアポロンが良かった方は是非とも読むべし。主人公が男子というところも、割と入り込みやすいのでは。
【感想まとめ】
→心情の描き出しが丁寧で、かつ深みがあります。独特の雰囲気も健在で、今作も続きが非常に楽しみでございます。もちろんおすすめ。


作品DATA
■著者:小玉ユキ
■出版社:小学館
■レーベル:フラワーコミックス
■掲載誌:flowers
■既刊1巻
■価格:429円+税


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2013.05.25
1巻レビュー→自分が幸せになれないと決め込んでいるあなたへ:西炯子「姉の結婚」1巻
2巻レビュー→“なりたい自分”と“なりたくない自分”:西炯子「姉の結婚」2巻
3巻レビュー→“どうすべきか”と“どうしたいか”:西炯子「姉の結婚」4巻
作者他作品レビュー→笑いと涙の芸道一直線コメディ!:西炯子「兄さんと僕」
崖っぷち28歳とロリふわ22歳の凸凹婦警コンビが行く!:西炯子「ふわふわポリス」
オトナの情事×コドモの事情:西炯子「恋と軍艦」1巻
「娚の一生」2巻
恥ずかしい青春全開の弓道部ライフ:西炯子「ひらひらひゅ~ん」


1106276657.jpg西炯子「姉の結婚」(5)


俺はその人とだけ
傷つけ合うことができる



■5巻発売しました。
 真木との不倫を終わらせ、川原との結婚話も白紙になり、再び“女ひとり”の生活に戻った岩谷ヨリ。県が推進する“土佐島プロジェクト”に事務局長として尽力するなか、新たな気持ちが芽生え始めて…。アラフォー女性の生き様を描く、オトナ系恋愛ストーリー、第5巻!!
 
 
〜明らかになった真木の結婚の経緯〜
 もう5巻です。激動の4巻を経て、ヨリの身辺はかなりスッキリしました。真木との不倫は終わりにし、川原との縁談も破談。そしてそれと同時に本業の方が忙しくなり、いい具合に恋愛から頭を背けることもできつつあります。とはいえ“土佐島プロジェクト”では、メンバーに真木もいるため、関わりあいだけは避けられない状況に。これが縁というものなのでしょうか。どれだけ離れようとしても、こうして引き寄せられてしまう。しかしながら、ヨリはそれでも動揺することなく、良い距離を保ってこのプロジェクトに邁進してきます。
 
 そんな中今回描かれたのは、真木が結婚をした経緯。これまで結婚相手として得られている情報は、大病院の娘さんで、真木はそのおかげで現在の地位を得ていること、そして見ためがヨリに似ているということ。既にお互い愛はなく、仮面夫婦の状態だったわけですが、実はそれは結婚した当初からそんな感じだったようです。結婚は“愛”じゃない、そう割り切っている相手でした。驚く程、愛情の感じられない結婚。完全に割り切った、ビジネスライクな関係です。真木とヨリとの間にある障壁の一つに、真木の妻に対する想いみたいなものもあるのかな、と思っていたのですが、それはそうでもないのか。しかし借金の恩があるから、そう簡単に離婚もできない。結婚することも大変ですが、同時に離婚することも大変。そう簡単に身動きがとれないこと。これもまた、結婚の一面なのでしょう。


〜東京へ行くかの決断〜
 さて、真木との不倫関係が終わった後、特に進展もないままに、ヨリに仕事でちょっとしたターニングポイントが訪れることになります。
 

姉の結婚5−1
作家先生から、東京に来ないかと誘われる。


 今のヨリには婚約者はおろか恋人もおらず、実に自由な身です。東京へ行くことは、非常に容易い。果たしてヨリは東京へ行くのでしょうか。しかし西炯子先生の描く女性は、しっかり仕事してて、結果を残しているイメージが強いです。「娚の一生」のつぐみも、在宅に切り替えたとはいえ、それまでかなりの実績を残していますし。実績残した上での自由というか。仕事をして生きるという選択肢が常にある。だからこそ、結婚を遅くしている面は多分にありそう。自分で生きていくことができない人だったら、結婚のチャンスがあればそれに全力ですがりつくものだと思いますし(偏見かもしれんですが)。もしここで東京を選んだら、事実上ヨリは結婚を諦めるような気が。もちろん東京で様々な出会いはあるかもしれませんが、そんなものはこのお話では何の意味のないのです。真木のいる中崎に残るのか、全てを断ち切り東京に行くのか。静かに進んでみせて、物語はそろそろクライマックスを迎えつつあるのかもしれません。


〜傷つけ合うことができる〜
 今回はこれまで絡み合っていた人間関係がさらに絡み合うことはなく、小休止の様相。お互いに一旦休みを入れることで、様々な恋愛観や結婚観みたいなものが浮かび上がってきました。そしてその中で、様々な言葉が生まれています。中でも印象的だったのは、真木が放ったこの言葉でしょうか。
 

姉の結婚5−2
俺はその人だけ
傷つけ合うことができる



 傷つけ合うことは恋愛ではないと言った天野に対して、それに反論するかのように真木はこう話します。自分のようなペーペーではなかなか理解できない感覚。そこまで心に深く自分の“跡”を残せるほど、心でつながりたいということでしょうか。結果そうであったというような話しぶりではありますが、非常に興味惹かれるフレーズ。傷つけあうことができる、その恋の結末がどうなるか、確と見届けたいものであります。


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いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
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池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
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レビュー
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