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Tag [新作レビュー] 2015.04.27
81gvShYw7oL.jpg寺岡さこ「れもんろまん」



女子高生のコスプレした
大男がやってきた




■元男子校に、ついに女子生徒が入学する!沸き立つ校内だったが入学してきたのは、威圧感すさまじい漢女子・れもん。意気消沈する生徒たちだったが、女の子のように可愛らしい男子・三木はれもんに近づき、「この学校のアイドルになろう」と提案してきて……?漢女子×少女男子ラブコメ!!

 大きな女の子がヒロインの作品ってここ最近のトレンドなのか、結構出て来てますよね。本作もそんなジャンルに属する1作になるかと思います。物語の中心となるのは、元男子校にただ一人だけ入学してきた女子・れもん。名前はこんなにかわいいのですが、その見た目は大男そのもの。ファーストインプレッションは「女子高生のコスプレした大男がやってきた」。女子生徒が入学してくると期待感たっぷりだった男子たちは意気消沈します。けれども性格はとても優しく素直なれもん。女子的な見た目で男子たちの人気を博するクラスのアイドル・三木と仲良くなるのですが……というお話。


れもんろまん
ミキティこと三木くんとの関係はこんな感じ。俄然れもんの方が男前です。優しく素直な性格で、丁寧語デフォルトという男前っぷり。割と性格に関しては非の打ちどころがないという印象です。


 身長は180センチで体格もがっしり目。見た目は屈強な男ですが、その性格はものすごく穏やかで素直。見た目にも大きなコンプレックスを抱えているわけではなく、実に自然体です。とっても良い子なので、三木をはじめ特定の仲の良い友達はできるのですが、恋愛となるとなかなか難しいという。三木は友達として仲良く接しようとするのですが、それをれもんは嬉しく思い、恋心を抱いてしまうわけですね。大きな女の子が、小さな男の子に恋をしてしまうという凸凹を楽しむコメディ。

 大きなヒロインの方をいじったり動かしたりして笑いに持って行っても良いかと思うのですが、繰り返し言うようにとにかく「いい子」なので、なかなかいじれません。ゆえに相手役のミキティこと三木くんが奔走する形になり、実質彼の奮闘と迷走を楽しむというコメディになっています。小さい男の子で本気で学校の男子から口説かれたりするという面白いエピソードはあるのですが、どうにもヒロインのインパクトがデカいので、かき消されがちという。


【男性へのガイド】
→ほぼ唯一といえる女の子はこういう感じで、男の子は優男と女子っぽい子と、ピンと来るキャラがいるかどうかという所でしょうか。
【感想まとめ】
→設定や表紙からはもの凄い破天荒なストーリーがイメージできるかもしれませんが、むしろ至極真っ当にすれ違いコメディで、読み手によってはちょっと肩透かしを食らうかもしれません。ちょっとしたコンプレックスを抱える少年少女たちの一筋縄では行かない青春模様を、楽しんでみてください。


作品DATA
■著者:寺岡さこ
■出版社:マッグガーデン
■レーベル:アヴァルスコミックス
■掲載誌:アヴァルス
■全1巻
■価格:571円+税


■試し読み:第1話

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Tag [続刊レビュー] 2015.04.26
513k58obbYL.jpg餡蜜「カンナとでっち」(2)



オレらは将来
どうなってんだろな




■2巻発売しました。
 カナヅチを愛でる見習い大工・勝仁と同居生活中のカンナ。ある日、ひょんなことから彼に初キスを奪われてしまったカンナは、少しずつ彼のことを意識し始めちゃって……。父と交わした「恋愛禁止」の掟、守れないかも……!!?


~引き続き瑞々しく甘い同居ものです~
 同居ものとして押さえるべきところをこれでもかと辿っていく素敵な作品として1巻をご紹介したのですが、2巻も引き続き「これぞ同居もの」とも言うべきイベントの数々が詰め込まれ、ニヤニヤしっぱなしでした。正式に付き合ったりしているわけでもないので、ライバルだったり避けようのない不幸が起きたりといったこともなく、くっつくことのできないラインでのドキドキのやり取りが終始続くわけで、もうニヤケ死にするんじゃないかってくらい、瑞々しくも甘い内容となっています。ここ最近でも屈指の「楽しく幸せな恋愛もの」なんじゃないかと思っています。


~お留守番からのお風呂とごはん~
 2巻では勝仁が「男前大工グランプリ」に出場したことをきっかけに、一気にイケメンとして女性からの人気を博するようになるのですが、そこは同居人としてのアドバンテージがありますから、これといって二人の関係が悪化したりするようなことはありません。そして騒ぎ立つ周囲を尻目に、家という守られた場所でまたしても「同居ものスタンプラリー」を巡っていきます。極めつけはMission8で、両親が不在となった家に2人きりとなった場面。共同作業をしてからの、お風呂で向こうの裸にドキッとしたり、そこから料理をしてあげて和んだりと、やりたい放題。

カンナとでっち0002
 もちろん「恋愛禁止」という制約を守ろうとしての行動ですから、節度ある触れ合いにはなるんですけれども、だからこそ余計にエロい的な、制約があるがゆえのドキドキ感というものがキッチリと表現されていて、もう読んでいて「ありがとうございます」という言葉しか出てきませんでした。


~かなり恋愛色は強いのですが~
 物語に占める恋愛のウェイトはかなり大きなものとなっているのですが、そこまでロマンティックな苦さや甘さを感じることなく自然に読めるのは、相手役の勝仁が大工仕事に真剣に向き合っている姿が度々描かれるからだと思われます。もちろんヒロインのことは大事に想っているし、少なからず好意は抱いているのですが、仕事の時の切り替えがしっかりしているので、同じ雰囲気がだらだらと続くことがありません。真剣に仕事をしている姿は一つ相手役の魅力を描き出す大きなポイントになりますし、手を動かして具体的な「モノ」が出来上がってくるのも良い所ですよね。たとえば私はシステム開発の仕事をしているのですが、これってなかなかこうはいかないわけですよ。もちろんアプリ開発とか、あるんですけど、汗とか筋肉とかないので、どうしても大工仕事に比べると弱いというか…


カンナとでっち0003
このカンナの削り節をプレゼントするところとか、良いなぁと(笑)


また本作では、ちょっとした小仕事を共同で行うというイベントが度々投入され、2人の距離を縮めます。一緒に作業をするとそれだけで楽しいものですが、加えて最後に何か出来上がるという楽しみもあり、読んでいて実に羨ましかった。看板とか台とかだけではなく、お菓子の家なんてのも出てきたりして、女子のハートもがっちりキャッチ。いやー自分も大工さんになりたいっす(不純)


■関連作品レビュー
イケメン見習い大工とのドキドキ同居生活:餡蜜「カンナとでっち」1巻

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Tag [新作レビュー] 2015.04.25
51FBQQSF4ZL.jpg綾瀬羽美「セイシュンノート」(1)



この学校で
この場所で
わたし青春するんだ!




■昔から転校続きの陽芽は、今度こそ落ち着けそうな高校で青春を満喫しようと胸いっぱい。その名も「セイシュンノート」に、やりたいこといっぱいかきためてます。実現したら、1個スタンプを押すのです!でも、友達づくりになれてないから今度の学校でも早速失敗しそうに……。ひょんなことから助けてくれた近江の力を借りながら、恋に友情にスタンプをいっぱい集めたい!!

 「ビビッドチェリー」(→レビュー)などの綾瀬羽美先生の別マ連載作です。「ディアマイガーディ」などこなれた作風で、長期連載作品を是非とも読みたいと思っていたのですが、ついに巻数付きの単行本が発売されました。「セイシュンノート」というタイトルですが、文字通りセイシュンノートなるものが登場する、とある女の子の学園生活を描いた青春ストーリーとなっています。ではでは、あらすじを紹介しましょう。

 ヒロインは転校続きで一人も友達がいない陽芽。2年生になって少し経ったところで、新たな学校へと転校してやってきました。マンガやドラマの影響からか、「友達」「青春」というものに人一倍強い憧れを持っている陽芽。「今度こそは友達を作らないと」と気負う彼女は、のっけから話しかけて来てくれた女子のクラスメイトに「友達になってください!」と宣言し、プロフ帳を書いてもらうようお願いします。けれどもその勢いが悪い印象を与えたのか、あえなく撃沈。前途多難な予感がする中、陽芽に声をかけてくれたのはクラスの男子・近江。「かくれが」と呼ばれる空き教室で、近江とその友達・坂宮、そしてひょんなことから仲良くなったクール美少女・潤花と共に、青春の思い出作りを手伝ってもらおうとするのですが、、、というお話。


セイシュンノート0001
最初の「友達になってください!」という叫びや、ちょっとした触れ合いがあっただけでめちゃくちゃはしゃいだりとか、こうなんでも120%に捉えてくる所から受ける印象は「怖い」「きもちわるい」というもので、故に孤独は加速するという悪循環。イメージ的に近いのは、「恋愛ラボ」の真木とかですかね。あんなにアホじゃないんですけど、ちょっと引くレベルっていう。


 「セイシュンノート」とは、ヒロインが書いている、やってみたい青春的な行動リスト。思い立ったら書いており、日々その項目は増え続けています。例えば『お昼ごはんを一緒に食べる』とか『買い食いしながら帰る』とか、学校生活で普通にありそうな項目から『ピクニックをする』なんていうちょっとよくわからない項目まで様々。達成できたらスタンプを押していくのですが、まだ一つも埋まっていません。かくしてどんどん「青春」への憧れを膨らませていくわけですが、捌け口がないためにそれが気負いに変わり、結果それが彼女を暴走させることになります。

 そんな彼女を受け入れたのが、近江と坂宮という男子2人。近江はクールで人嫌いな気難し屋。けれども意図せず空気を察してしまい、かつ困っている人を放っておけないという優しさも持ち合わせているため、一人で困るヒロインを捨て置けないという感じ。坂宮はイケメンで女好きのチャラい男の子で、集団の中で会話を弾ませるなど潤滑油的な役割を担います。そしてもう一人、美少女の潤花はローテンションでサバサバした性格。男子にちやほやされるものの、それが周囲の女子は気に食わないらしく、割と孤立しがちです。そんなところが馬が合ったのか、ヒロインが半ば強引に友達認定をし、以降付き合っているという感じ。男女4人の青春物語というのはオーソドックスな組み合わせですが、集団で見てみたときに、坂宮と潤花は割とゴーイングマイウェイで、纏まりはそんなに感じられません。だからこそヒロインを入れても集団を保っていられるのだと思います。


セイシュンノート0002
普段は冷たいものの、面倒見はよい近江。彼がヒロインの相手役になります。このヒロインと対峙できるってのは、なかなか懐が深くないと難しいと思うのです。


 物語は陽芽がやりたいことをあれこれと提案して、それに乗っかったり乗っからなかったりして展開していきます。暴走しがちな1人と、それを制する1人と、とにかく受け身な2人という感じのパワーバランス。序盤こそ「変な子」という感じの陽芽でしたが、他人との間合いの取り方をなんとなく学び、それぞれの立ち位置が確立できた中盤以降はだいぶ「普通の子」という感じに。


 1巻はいわゆる「友情」という青春の土台構築で、1巻終わりごろにようやく恋の匂いが出てきて2巻以降展開していくという流れでしょうか。つまるところまだ準備段階という印象が強く、真価は2巻に発揮されるのではと思います。近江以外の2人についても描かれてくるでしょうし、潤花はまさに好きな脇役を地でいってますので、個人的にここも期待したいところです。2巻、楽しみですね。


【男性へのガイド】
→不自然な青春の形式を、素敵男子の手によって自然な形になっていくという流れは、恋愛色が強くないと言えどやはり女性向けの側面が強い内容なのかと思います。ともあれ鼻につくキャラ達ではないですし、みんな魅力的なので、ハードルは高くないと思いますよ。
【感想まとめ】
→本文に書いたように、本当に魅力が出てくるのは2巻からですかね。恋愛色が強くなったときどうなっているのか、気になります。


作品DATA
■著者:綾瀬羽美
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊1巻
■価格:400円+税


■試し読み:第1話

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Tag [新作レビュー] [オススメ] 2015.04.24
51o4PnUFO4L.jpg森野萌「おはよう、いばら姫」(1)



俺でも
誰かの助けになれるなら




■わたしはもうずっとずっと 答えをわからないでいる―――。
 「丘の上のおばけ屋敷」と噂のある空澤家でワケあって家政夫のバイト中の高校生・美郷哲。ある日、本邸の離れで暮らす謎の少女・空澤志津と出会い、どこか寂しげな笑顔に惹かれていく哲だが、再び会った時の彼女は様子が豹変していて……?

 森野萌先生のデザート連載作です。2冊目の単行本になるのですが、近所の書店ではかなり平積みされているようでした。裏表紙側の帯面には、人気作家さん達からの推薦コメントがあるなど、かなりプッシュされている模様です。で、実際に読んでみたのですが、これが面白くて。ではでは、内容をご紹介しましょう。

 物語の舞台となるのは、丘の上にある広いお屋敷。この家で家政夫としてバイトをしている高校生の哲は、ある日お屋敷の離れに暮らす、空澤家の娘・志津と出会います。噂では「病気で外に出られない」と聞いていたのですが、その様子を見る限りなんだかとても元気そう。実際彼女は「病気ではない」と言い張ります。彼女に頼まれるようにして、その日以降も度々離れで会うようになった哲と志津。哲は無邪気に笑う彼女に次第に惹かれていくことになります。この気持ちは恋に違いないと思い切って告白をしてみた哲でしたが、翌日になって彼女の様子は一変。生気を失ったかのように静かに佇む彼女は昨日とはまるで別人で、哲のことも覚えていないという。失恋に悲しむものの、どうにも彼女のことが気になる哲は、再び志津に会いに行くのですが……というお話。


おはよういばら姫0002
離れに暮らす志津は、親ともしばらく会っていないという。久しぶりに人と話したのか、哲と話すとなんだかとても嬉しそうにはしゃぐ。そんな彼女を前に、哲は少々戸惑います。


 まるで別人のように豹変して、当人は何も覚えていないということから想像できるのは、「多重人格者」でしょう。序盤は二人の出会いと距離を一気に縮める過程があり、中盤からその路線で進んでいくのですが、後半にかけて物語は思わぬ展開に。序盤の甘々な展開から、中盤から後半にかけては甘酸っぱさは残しつつも一転シリアスに。めくるめく展開に普通であれば振り落とされてしまいそうなのですが、そうはならずに普通についていけるし、むしろなんだか心地よい。主人公と、主人公の目を通して描かれるヒロインの心情描写が共に上手いのか、ガッツリと物語に入り込んで楽しむことができました。

 序盤、中盤、終盤と真実が明らかになるにつれ物語の様相は大きく変わっていくのですが、根底にあるものは不変で、「彼女を救えるのは、彼女の魅力に気づいてあげられるのは自分しかいない」というヒロイズムをくすぐる関係性。ヒロインの志津も、口数が少なく感情の起伏がほとんど見られないとはいえ、その見た目と相まってやたらと儚げに映って魅力的なんですよ。だからそういう感情が余計に掻き立てられると言いますか。

 そういえばこれまでほとんど触れていませんでしたが、主人公の哲もいい人感がにじみ出る犬っぽい男の子で、個人的には非常に好きな子です。イメージ的につながるのは、「星くずドロップ」のしの。家政夫なので、家事は得意というお約束的な設定ですが、一方でサッカー少年という意外な一面も持ち合わせています。詰まる所「いい人」で、だからこそヒロインが放っておけず、気が付けば惹かれていくというのにも納得なのです。


おはよういばら姫0001
外に連れ出そうとする哲。基本的に無気力で眠い感じが志津にはあります。起きたてだからというわけではなく、本当にいつもこのくらいスローでローテンション。


 多重人格的な設定を持ち込んでいる上に、男受けしそうなヒロイン、加えて頼りない男の子が主人公と、これまでのデザート(掲載紙)のイメージからはかけ離れているような内容にびっくり。正直男性向けの雑誌で連載されていたとしても違和感ない内容だと思います。アニメ絵っぽい描画に加え、ちょっとオタクっぽいネタも散りばめつつと、デザート読者層とマッチしているのか謎なのですが、評判はどうなのでしょうね。ともあれ非常に好みの物語で、是非ともオススメしたい作品でございます。


【男性へのガイド】
→先ほども書いたように、男性向けの雑誌で連載されていたとしても違和感ない内容かと思います。この手の物語がお好きな方は、
【感想まとめ】
→面白かったです。かなり自分好みの作品で、これは強くオススメしたいところ。


作品DATA
■著者:森野萌
■出版社:講談社
■レーベル:KC デザート
■掲載誌:デザート
■既刊1巻


■試し読み:第1話
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Tag [新作レビュー] 2015.04.24
1106512720.jpg高木しげよし「いつかの青春」



いつか追った夢はつかめなくても
今君は
確かにまばゆく輝いている




■古都・金沢から少し離れた温泉街。高1・結衣のクラスに現れたのは、昭和生まれの25歳の“同級生”井塚だった……!ふたりが作った“ルール”とは――!?他、世界に色を与える人たちが住む島のお話、傑作ファンタジーよみきり「イロトリドリの世界」も併録。

 高木しげよし先生の別冊花とゆめ連載作です。「いつかの青春」というタイトルですが、青春と書いて“はる”と読みます。高校に入学したら、クラスに25歳の新入生がいたというお話です。主人公は少しマイペースで、何かと事を押し付けられがちな女子・結衣。高校に入学してみたら、クラスにはなんと25歳の新入生・井塚が。担任の中学時代の先輩ということもあり、初日からかなりの浮きっぷりを見せる彼は、無口でなかなか群れようとしないことから、あっという間にクラスメイト達との溝を深めていきます。「井塚のことを頼んだ」と先生から言われた結衣は、見かねて声をかけるのですが、話を聞くと、思っていたよりも優しくしっかりした人で……というストーリー。


いつかの青春0001
結衣のこの一言で、井塚との青春づくりが始まる。


 いきなり25歳で高校というと不良組でやり直しとかを想像するのですが、井塚の場合はちょっと違っていて、実家の醤油屋を急きょ継ぐために高校に行かなかったという背景があります。弟が高校を卒業し、醤油屋に入るということで、未練が残っていた高校に入ることを決めたのでした。周囲と群れないというのは別に彼自身が壁を作っているのではなく、年相応に動きたくなかったり、遠慮をしていたりと、実にフラット。そういった誤解が解ければ、その余裕や姿勢は大人の魅力に早変わりするわけで、ヒロインの結衣もいつしか彼に惹かれるようになっていきます。

 物語の軸は、結衣が井塚に青春を楽しんでもらえるよう奔走するというものになるのですが、彼女が頑張れば頑張るほどに、彼の魅力に気づく女子が増え、複雑な気持ちが生まれだんだんと大きくなっていくわけですな。1巻完結ですので、劇的な展開というのはないのですが、短い中にもそれ相応に青春の楽しさや辛さみたいなものが落とし込まれており、満足度は高めです。井塚の青春を後押しするという体ではあるのですが、どちらかというとそれを通してヒロインの結衣が青春していくという感じが強いですかね。

 また同時収録されている「イロトリドリの世界」がなかなか良かったので、こちらについても触れておきたいと思います。世界の片隅にたたずむイロトリドリの島が舞台のこのお話。島民は何かしらの色を持ち、世界に色彩を与える仕事を請け負っています。そんな島には、すべてを飲み込んでしまう漆黒を持つ“黒”という男の子がいるのですが、そんな彼に“ピンク”の女の子が興味を持ち近づいていくという物語。典型的な禁断の恋物語なのですが、世界観とオシャレな雰囲気の絵柄・作風も相まってなかなかにロマンチック。


いつかの青春0002
いつかの青春がまさに青春を押し出した、少し汗臭いというか、青春の匂い立つ話であったので、そことの対比も良かったのかもしれません。短いながらも綺麗にまとめ上げており、読後感が非常に良かったです。こちらはファンタジックでロマンチックなストーリー。


【男性へのガイド】
→少女マンガ感は強いのですが、比較的地に足ついた物語展開ですので、男性も抵抗なく読めるのではないかと思います。
【感想まとめ】
→振り返れば収録されていたどちらの作品もしっかり着地でその読後感やよし。オシャレ感漂う良い雰囲気の作品でした。


作品DATA
■著者:高木しげよし
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめコミックス
■掲載誌:別冊花とゆめ
■全1巻
■価格:429円+税


■試し読み:第1話

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